表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人喰らいのとっておき  作者: クソクラエス
4/6

第4話

 そして男は辺りを見回した。

 高い天井に広い床、隅々まで掃除が行き届いているこの屋敷の主人がこの少女だと?何か冗談だろう。

「冗談だろう?」

 しかし少女の答えは何も変わっていなかった。

「何故ここで冗談を言う必要がある?」

 確かにそう言った。

「じゃあ誰と住んでいる?家人か?」

「いや、一人だ」

 考えられなかった。

 そして聞きたいことが矢継ぎ早に頭に浮かんでくる。財産はどうしている?食事は自分で?

 だがそんな質問よりもはるかに、聞きたいことがあった。

「君は、戦争の影響を受けていないのか?」

 それは先ほど、彼女を初めて見たときに感じた違和感に対するものでもあった。

 この物資不足の世の中、1日食べるだけでも大変だというのに彼女は顔色こそ白いものの、極端に痩せているわけでもなく、まるで戦争による影響が全く見られなかった。

「戦争?ああ、人間のやることか」

 人間のやることという言葉に違和感を覚えたが、彼女は続けた。

「私は山の中で暮らしているからな。それに……」

 男の体は強ばった。固唾を呑んで覚悟した。

「私は人間ではない」

 やはりそうかと思った男の思考は、極めて冷静だった。

 それならこの少女が山中で一人住んでいることも、戦争などなかったかのような容姿をしていることも、彼女が人間ではないということなら辻褄が合う。

「なら君は何者だ」

 男は淡々として問いた。

「人喰らいだ」

 少女も淡々としていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ