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21 原点希求

 私の心の中に生まれたのは目的。惰性で動き回る時間はもうこれでおしまい。そう、見るべきは未来であり過去の面影でもある。


 深層心理など全くわからない。だが、これだけは言える。これは私もしくは誰かが生み出した幻影の中。想像によって創造された世界。


 物理法則が通用しない、ファンタジーのような世界ということ。ここでは私が死ぬことは許されず、永遠に生きていなければならないということ。


「あとは、罪の意識。この記憶とちゃんとした形で向き合うこと」


 ミーちゃんとの記憶。私が胸の奥に仕舞いこんでいた大切な記憶。そして、いなくなってから開けることが出来なかったタイムカプセル。


「私は、どうすればいいの?」


 そういえば、ここは猫の国と呼ばれているという情報があった。これの信憑性は米粒以下どころか一ミクロンにも満たないとは思うが、信じてみる価値はあるのかもしれない。


「謝ったところで、罪が消えるわけではないのはわかってる。でも、一歩踏み出さないと。一生前に進めないから」


 だから、明日への一歩を踏み出すために私は彼女を探す。この感情は利己的なものでしか無いのだろう。だが、利己的の何が悪いのか。


 開き直ることの何が悪いか。わがままに振る舞うことの何が悪い。誰だってそうなりたいことはあるのだから。何も悪いことなんて無い。


 人間なんてほとんどが自己中心的だし、私は人間という枠に当てはまる。つまり、私が自己中心的でも何もおかしいことはないというわけだ。


「私は、前に進みたい。ずっと思い出を引きずるだけの人にはなりたくない。前に進める強さが欲しい……」


 だから、足を前に進める。ゴールがどこにあるかなんて私にはわからない。それでも、前に進み続ける。進むしか無かったから。それ以外の逃げ道は、自分の手で閉ざしたから。


 この原動力は惰性なんかではない。私が進みたいから進む。止まることはおそらく無い。ブレーキが壊れたトラクターのようになったってかまわない。


 それが一番の近道になるのであれば。私は私を保ったまま壊れたってかまわない。だってこれは夢なのだから。


 誰かによって作られた、私のための夢。私が一歩進む勇気を得るための踏み台でしか無いのだから。


 だから止まること無く歩き続ける。飽きること無く歩き続ける。


「疲れた……」


 でも、止まらない。止まれないのだ。止まったら私が私で無くなると思ってしまったから。


 足の裏が何かに刺されたように痛む。ミーちゃんを悼むことすらも出来なかった私に弱音を吐く資格なんて無い。だから我慢。血が滲んでこようが気にしない。


 お腹が空くこともないし、喉が渇くこともない。気づいてしまったらあとは簡単なお話。幻影の都では、夢の中ではそんなものは必要ない。


「……見つからない」


 それは私の努力不足。強引な言い訳で無理矢理心を奮い立たせて、


「本当にここにいるの?」


 疑問は全て押し殺して、


 理性というものを無くすまであと一瞬というところで、私はとある事実に気づく。意図的に探さなかった場所があるということに。

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