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ネコのVRMMO世界ゆったり観光旅行  作者:
【第一章】世界旅行の始まり
11/25

10.初めてのクエスト

 色彩豊かな都市の中を、ゆっくり進んでいく。


 ……あの後、なんとか武器を食べていたという疑惑を晴らすことに成功したわたしは、安堵した様子のお姉ちゃんからスキルのレベルが低いと告げられたので、MOBの狩りを始めることにした。


 アドバイスとして、討伐用のクエストを受注しながらやった方が効率がいいと言われ、今に至る。


 先ほど教えてもらった通り目を凝らして周囲を見る。するとやはりプレイヤーやNPC、そして建物の頭上に文字が浮かび上がった。


 お姉ちゃんが言うには、わたしたちプレイヤーはNPCを一目見ただけで判断できるらしいけど、一応区別できるようにか名前の色がそれぞれ違った。


 プレイヤーは青、NPCは白。

 そして『クエストNPC』は、黄色。


「あっ」


 目立つ色なので、すぐに見つけることができた。


 それは『カフェ』と文字の浮かぶ建物。そのテラス席に腰かける初老の男性。


「こんにちは!」

「ん? おお、これは旅人さん」


 挨拶をしてみると、男性は柔らかな笑顔で、


「ようこそ花の都市に。どうですかな? この街は」

「とっても綺麗です!」

「はは、そうでしょうそうでしょう」


 嬉しそうに何度も頷く男性。


 そういやNPCにはいくつか返答が用意されているとか聞いたっけ。今回わたしは肯定で返したけど、否定したりするとまた別の反応があるとか。それによってクエストが受けられたり受けられなかったりするから注意しなきゃいけないんだよね。


「……だからこそ、この景色を保ち続けていきたい」


 男性の笑顔に、少し悲しげなものが見えた。


「旅人さん、もしよろしければ……一つ頼まれごとを引き受けていただけませんか?」


 お、クエストを受けさせてくれるみたい。


「あっ、どうぞどうぞ!」

「ありがとう」


 男性は再び柔らかな笑顔を取り戻すと、わたしがさっき抜けてきた草の門を指差した。


「【始まりの高原】に『グロウイーター』という厄介なモンスターが生息しているのです。奴らは花を食料としているため、繁殖を続ければこの街を喰らい尽くしてしまう恐れがある……そう考え、夜も安心して眠れませぬ……。どうか奴らの数を減らしていただきたい」



クエスト

『グロウイーター、三匹の討伐』



 直後、ウィンドウが表示された。


 YESとNO、二つのマークが設けられていたので、迷わずYESを選択。


 すると、ピロリンっ、と明るい音が放たれた。

 どうやら受注完了の合図みたい。


「分かりました、それじゃ行ってきます!」

「ええ、どうか無理はなさらぬよう……」


 手を振って応えると、早速ブロッサムを出た。


 狩りを行なっているプレイヤーたちに混ざって、辺りを見渡してみる。


 うーん、イノシシはたくさんいるけど他の暇そうなMOBの姿が見えないなぁ。多分みんな同じクエストを受けているからかな?



 ――ぼこっ。



 足元の地面が盛り上がったのは、そんな時だった。


「ん?」


 不思議だったので、しゃがみ込んで確認しよう。


 ぽこぽこ、とさらに地面は山形に作られて、


『ギシャアーッ!!』


 鋭利な牙を生やした口が、勢いよく生えてきた。


「フニャアーッ!!」


 同じような叫びを上げてひっくり返ってしまう。

 ほ、ホントにびっくりした……!



【グロウイーター】Lv.2



 やがて上昇を止めた口の化け物は、植物のような形をしていた。口を閉じればつぼみの形にそっくりな円形の顔に、貧弱な細い棒状の体、足は葉っぱになっていて、ゆらゆらと揺れ動いている。


 わたしはすぐに立ち上がるとアイテムポーチをしまう。戦闘時はしまっておいた方がいいもんね。


 そして、間髪入れずに腰の小太刀を引き抜く。……ふっふー、何だか様になってきたなあ!


 だからこそ、気づけた。



 ――パクっ。



 ……戦闘時は決して気を抜いてはいけないことを。


「〜〜ッ!!?」


 ま、真っ暗になった! 急に目の前が漆黒に! それに何だかぬるぬるするう!


 慌てふためいていると、後方に吹き飛んだ。


 解放され、強制的に青空を見せつけられる。……ああ綺麗だなぁ、と考えながら地面に倒れ込む。


 減少するHP、首の上辺りから頭の天辺までに感じるベタつき、口元から透明な液体を垂らすグロウイーター。


 ……な、なるほど、さっきまで口の中に……。


「うへぇぇ」


 襲いかかる不快感に耐えながら、立ち上がる。


 今度はこっちの番だ!


「てーい!」


 間合いに踏み込み、細い体躯に小太刀を――


「わっ、と、とぉ!?」


 振るおうとして、派手に転んだ。


 ……足元に散らばった唾液を踏みつけて。


「いだだ……」

『シャシャーッ!』


 そしてこの場所は、相手のテリトリーだった。


 迫りくる大きな口。


「んっ!」


 だからわたしは、近くを濡らしていた唾液にダイブ。ツルツル滑りながら、攻撃を回避する。


「ふぐぇぇ……」


 結果、体全体がヌルヌルになったけど。


 涙目になりながら、もう一度わたしはグロウイーターに向かって駆けていく。


 今の方法で、いいことを思いついたんだ!


 小太刀を逆手に構えながら間合いに入り、勢いを保ったまま唾液に飛び込む。


 当然ながら前方に向かって激しく滑り出す。


 けど、意識をしてバランスを取っているから今度は転ばなかった。……敵に近づくことができた!


「ふーん!」


 横を通り抜けながら、斬撃!


 細い体に赤いエフェクトが刻まれる。


『ギ、シィッ!?』


 グロウイーターのHPが一気に半分まで減少。


 あれ、いくらスキルが上がったといってもこんなに減るものなのかな。……そういえばMOBには耐性や弱点があるってお姉ちゃんが言ってたっけ。


 ええと……属性? 攻撃だけじゃなく打撃や斬撃にもそれは存在しているとかなんとか、ちょっとよく分からなかったけど……つまり、グロウイーターは斬撃に弱いってこと、なのかな?


 とにかく今分かっていることは、もう一回同じ攻撃をすれば倒せるっていうこと。


 だから、


「いくぞー!」


 再び唾液滑り斬を披露すると、グロウイーターは断末魔とともに消滅した。



スキル【小太刀】Lv.UP!



 やった、小太刀のスキルがまた上がった!

 ドロップアイテムはなかったけど……嬉しいな。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・武器

【小太刀】Lv.3 【両手剣】Lv.1 【刀】Lv.1

【弓】Lv.1

・その他

【料理】Lv.1


《奥義》


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 確かさっき確認したスキルから考えると、今はこうなっているはずだ。


 あと小太刀のレベルが二つ上げれば下にある奥義を覚えることができるんだよね。楽しみだなぁ。


「さて……あと二体!」


 気を取り直し、わたしは次の獲物を探し始めた。



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