0.姉による【Frontier World】講座
「【Frontier World】について知りたい?」
プレイヤーであるお姉ちゃんは、わたしの質問に目を丸くさせていた。
まるで、不思議でならない、と言いたげに。
「へえぇ、あんまりゲームやらないアンタがねぇ。どうしたのよ一体? ……まあいっか、同じ趣味を持ってくれたならあたしも嬉しいし」
お姉ちゃんはご機嫌な様子でわたしの頭を撫でて、
「……さてゲームについてだけど、まず『VR』ってところね。これは今までの据え置き型と違って、自分自身がゲームのプレイヤーとなって仮想世界を動き回ることができるの。今テレビで引っ張りだこでしょ? 社会現象にもなるほどの人気だもんね」
ふーむ、確かに最近はこのVRっていう言葉を毎日のように聞くよね。この技術を利用すれば、医療とか他のことに役立てることができるとかなんとか。
なんでもこの技術は昔の人たちが、心から実現してほしい! と願っていたものなんだっけ。
「――世界の果てに存在すると言われている『終点の地』にたどり着くこと、それが【Frontier World】のストーリーよ。鍛え上げた武具やアイテム、スキルを駆使しながら困難に立ち向かい、様々な都市を回っていくの」
終点の地、かぁ。かっこいい名前だな〜。
「システムとしてはよくRPGに見られる『敵を倒せば経験値をもらえて、一定値まで届けばステータスが上昇する』っていうのを取っ払った、スキル重視型」
え、ええと……? な、なるほど……?
「説明としてはそんなとこかしらね。まぁそんな深刻そうな顔しなくてもやってれば慣れるわよ。……そうだ、あとはMMOだから自分だけじゃなくリアルタイムで他のプレイヤーが同じ世界に存在してる、ってことぐらいかな。というわけで」
そこまで言うとお姉ちゃんは、わたしの額を指で突く。
「今度はあんたの番。どうして急にVRMMOがやりたいと思い始めたの?」
そして、どこか興味津々にそう尋ねてきた。
だからわたしはこくりと頷いて、
「うん、それはね――」