7 無意識に作られると怖い④
「灯台〜♪ 灯台〜♪ なんでそんなに明るいの〜♪」
なんて謎の歌を歌いながら石を積み上げスキルで接合させていく……そんなおれは言わずがな少しオカしくて誰も声をかけてこない。
「ちょっとマサル? 一日中創作した歌を歌いながら石積みしてるのはホラーよ? 無事故で建設中の灯台に怪奇話とか誰得なのよ……」
遂に作業三日間になって灯台内部の空洞が大きくなってきて、良い感じに音が反響するのを良い事にエスカレートした俺の歌はかかったエコーのせいでニトリで怪奇話にまで発展していた。
「せめて夜中にそこで歌うのは止めて! すっごい街に響いてるから!」
「んっ? 街に響いてる? そうか! 灯台の地上施設はカラオケにでもするか!」
「歌うなって言ってんでしょ!!」
回転しながら飛ぶフィナの投げた金槌の狙いは正確に俺の頭を捉えていたが当たる瞬間にアイテムボックスへと収納する。
「じゃあ、取り敢えず警鐘を中に取り付けて非常事態を告げる搭の役割でも持たせるかな?」
「それなら実用的にも許せるわ……」
「あっ、リュリュに灯台の最上部に設置するレンズを作るからガラス工房の準備を頼むと伝えてくれ」
「分かったわ、程々にしなさいよ」
念には念をと釘を刺していくフィナに大変だなぁと他人事の様な感想を残して作業へと戻る。
「灯台は俺たちを導く〜♪ 希望の光〜♪」
「歌うのは止めろって言ってんのよ!」
フィナの投げたハンマーは今度こそマサルの頭を完全に捉えたのだった。