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父と娘と

ランスロットが使うには少し重いかと思ってアイテムボックスの肥やしにしていたアダマンタイトのバスターソードを片手で持って振り回す少女の姿に言葉を亡くす一同。

「天性の闘神って事だな……カレンが振るうとまるで羽根でもはえているのかって感じで剣が宙を滑るな」

「ちょっとマサル大丈夫なの? 父親のプライド叩き折られたりしない?」

 心配するビクティニアス。アイラとフィナも俺の方が不利だと感じていて口が重い。

「マサル……今からでもカレンちゃんに言って木製の練習剣にして貰わない?」

「アイラセフィラ様……重い剣を軽く使うのは難しいけど、軽い剣を重く使う方がもっと難しい」

「多分、カレンちゃんはそれすらも軽くやってしまうんでしょうね……」

 対して俺の出したのは装飾過多に見える少し黒ずんだ鉄鞭。長さもショートソード程しかなく、バスターソードに比べるととても頼りなく見える。

「お父様……本気でそれで私のお相手を?」

 目を細めて俺の手の内の獲物を見る。

「あぁ、カレンを間違っても怪我させる訳にはいかないからな」

「私に怪我? 刃もついてないその武器で?」

「もう準備は出来てるだろ? かかっておいで」

「くっ……行きますっ!」

 全力で翼を作って低空加速し、バスターソードを振り抜くカレン、

「駄目っ、カレンちゃん熱くなりすぎよっ!」

 バスターソードが俺の鉄鞭と当たった瞬間に俺は優しく力を流しす。

「なっ!!」

 身体ごと居なされて慌てて身体の体制を整えるカレン。

「剣が触れたのに音もしないし感触が無い?」

 気がつくと身体が上下反転してマサルのいる場所を通過していた。

「……何かの術?」

「冷静になりなさい! 熱くなると見えないものも増えます!」

 混乱していたカレンにアテナの激が入る。

「ちっ、一体どっちの味方だ……こっちは冷静な顔で冷や汗かいてるっていうのに」

 極めて冷静に息を整えカレンに弱味は見せまいと戦いの構えをとると既にすぐ目の前でカレンは剣を振り抜こうとしている時だった。

「おっと、危なっ!」

 なんとか回避して鉄鞭を突き出す……狙いはカレン自身ではなく剣の柄で衝撃で剣を落としてくれたらラッキーくらいの攻撃だ。

「そこまでっ!」

アテナが制止をかけて戦いを止める。

「実力は互いに分かったでしょ? 今はカレンちゃんに勝ち目は無いわ」

 しゅんと小さくなるカレン……。

「お父様強かった。力でも技でも全然勝てなかった」

「まぁ、これでもヘパイストス師匠のもとで本気で戦闘訓練してたからな……いくら闘神に近い資質をしてるとしても経験が足りなかったな」

 俺は見得と父親としての誇りを護るのに必死で実際はもう何度か繰り返していると学びとられ吸収された技能で五分五分以下の戦いを強いられていたであろう。

「ヘパイストスも神界の英雄ですものね。実際に戦争をした数少ないも深く化け物ですからマサルの強さも納得ですね」

 何だかんだで息すら乱さす正面から受けきったマサル……心技体全てをキッチリ鍛えてあるのが証明された形である。

「それにしてもアダマンタイトのバスターソードをよくそんな武器で受けきったわね……それに驚いたわよ」

「そりゃあ、鍛冶の神ヘパイストスも出来を認めてくれた俺の神器だからな」

「それはズルくない?」

「ズルくはないと思うぞ? 別に戦闘能力が上がる訳でも雷や炎が出る訳でもないからな」

 そう俺の神器はただ壊れないようにと作られたものなのである。

「攻撃を受けると神鋼が反応して硬度と弾性を適切に向上、調整してくれるだけの得物だからな」

「それって……神の壊れない武具の不壊属性の先を行っている気がするんだけど……」

「それを意識して作ったから間違いないと思うぞ? そもそも壊れなくても負荷はかかるし、使い手にダメージは届くからな。それを減らしてやるのを前提に考えてみたんだ」

 これは完全に俺のオリジナルの技術でヘパイストスも未だに再現出来ないと言っていたものである。

「未だに刃物や防具迄とはいかない不完全な技術だけど初めてヘパイストス師匠に認めて貰った大切な技術だよ」

「ヘパイストスが鍛冶技術を認めたってだけで凄いんだけどね」

 ヘラは苦笑いで話を聞いているようだ。

「お父様っ! 私にもお父様みたいな神器を作って下さいっ!」

 というカレンに一番に反応したのは意外にもアテナだった。

「いきなり神器? 全くマサルとビクティニアスの娘は困った子ね。仕方ないわ、ここは私が一肌脱ぎましょう。ヘパイストスがマサルを鍛えたように私がカレンの指導をまたに来てしてあげるわ」

 こうしてカレンにも優しくも厳しい姉が出来たのだった。

「くっ、出遅れましたわ……」

 悔しそうにするのはアイラで、資質が違い過ぎて中々な事を教える事が出来ない為にいつまでも少し寂しそうだった。



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