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タイトル未定3

「結婚式綺麗だったね」

「うん、凄い素敵だった」

 マサルとビクティニアスの結婚式が終わり夢でも見ていたかの様な時間を惜しむようにメイとリュリュは大聖堂の一角で座り込んでいた。

 外ではお祝いムードが続いていて笑い声が聞こえてくる。

「こんな大きな大聖堂作っちゃってアデリナさんもアクシオンのおじちゃんも困ってたね」

「どこの誰が管理するのかを考えただけで頭が痛いって言ってたね」

「もうお兄ちゃんに全部投げちゃえばいいのに、国の資材を使っているからって事務仕事や整理が大変みたいね」

 実のところ両国の資材はそれほどに使っておらず、マサルがうろうろした時に回収したものを可能な限り投入したので完成形の建物を見た印象程には資材を消費していない。

「でも凄いよね、こんな大きな建物のステンドグラス制作を私たち任されたんだよ」

「もうリュリュちゃんは職人さんとして色んな人に認めてもらえるようになったね」

マサルのおかげだと思う反面、ちょっとした反抗心も芽生えてくる。

「でも師匠酷いよね。いつの間にかビクティニアス様にプロポーズしてて結婚まであっという間だったもんね」

「あははは! お兄ちゃんのやる事だもん仕方ないよ」

「笑ってるけど、メイちゃんは良いの?」

 リュリュが聞くとメイは少し俯いて考えて満面の笑みで答えた。

「お兄ちゃんが幸せなら良いかな? もともとアデリナさんにも言われてたんだ……マサルは私や他の女性といても女として見ていないって……お母さんにもさっさと諦めなさいって言われてたしね」

「やっぱりルルさんは応援してくれなかったんだ?」

「うん、ちゃんと別のものを貰ってるでしょって、ちゃんと大事にされてるじゃないって言われたよ」

 自分だけが特別になりたいなんて言えなかった……それを言ってしまうと全てが無かったことになる気がして……恋人にはなれなかったけど自分は十分特別を貰っていたから。

「戦争に負けてお父さんも死んで生きていくのも大変だったのが夢みたいよ」

「私もスラムで食べるところにも寝るところにも困ってたのが夢みたいよ」

 そんな悪夢から救ってくれたマサルは父のように頼りになって兄のように慕った唯一の男性。

「もうあんな人いないんだろうなぁ……」

「いたら大変だよ! 師匠が二人もいたら世界がひっくり返っちゃうよ」

 お茶らけて言うリュリュにメイは吹きだしお腹を抱えて笑う。



「おっと、二人ともおんなところにいたのか。探していたんだぞ」

 ミコトはメイとリュリュを探していたようで小走りで寄ってきた。

「マサルさんがお昼に集合写真を撮るから集まっておいてくれって言ってたぞ」

「「写真?」」

「その時の事を精密な絵に残す技術さ」

「絵になるのね」

「そのまんまが残るからメイもリュリュもちゃんとメイク直しておけよ?」

 ミコトの指摘に互いの顔を見てメイもリュリュも思わず吹き出してしまった。

「もうメイクボロボロじゃない!」

「そういうメイちゃんこそ!」

 笑いあう二人に背を向けて立ち去るミコト、しかし服の裾を掴まれ止められてしまった。

「そのままが残るって言ったわよね?」

「じゃあ私たちをエスコートさせてあげるから待ってなさい」

 どこまで本気なのか冗談なのか分からない二人に両腕を掴まれてミコトは逃げるに逃げれず集合場所へと連れていかれる。

 あっという間にメイクを直したメイとリュリュから逃げれず周囲から微笑ましい視線を向けられて居た堪れないミコトだったがとどめを刺したのは同じく集合写真に集まったアイラセフィラだった。

「ミコト君胸を張りなさい! みっともないわよ?」

 慌てて姿勢を正し胸をはり、どこか遠くを見るミコトを見てメイとリュリュは声を揃えたのだった。

「「まだまだね!」」


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