タイトル未定1
書籍作業に追われているので手抜きではありますが
「という訳で結婚式するから航海は一時中断したんだ」
「何がという訳なのよ! 変な報告の省略をしないで!」
上機嫌で適当に報告をするにこやかな俺と要領を掴めないアデリナの会話はヴィンターリアに響いていた。
「大体、航海はヴィンターリアの国家事業としてやっているのよ、勝手に止めるとか許されるわけないでしょう」
「ちょっとアデリナ、落ち着く。今回は事態が事態だけに仕方ない」
「フィナさん⁉ 私が間違っているっていうの?」
「間違っているとは言っていない、でも仕方ないとは思っている。一つとはいえ島を発見して探索も出来たから成果が上がってない訳じゃない。航海は一度仕切りなおしても問題ないと考える」
「仕切り直すって……そう言えば船と船員は?」
「船はマサルがアイテムボックスにそのまま収納して船員はビクティニアス様とアイラセフィラ様も協力してくれて転移でヴィンターリアに戻っているわ」
「なんでビクティニアス様たちが⁉」
突然に出てきた主神たちの名に驚き転移で人を転移で運んで貰ったという事に更に驚く。神の力で何かをなされるのは自分たち神の為か世界の為でなければならないらしい。しかし船員を転移させる事が世界の為になるとは思えず、女神たちの為になるとも思えない。
「そりゃあビクティニアスの為ならアイラだって手伝ってくれるし」
「…………ビクティニアス様の為?」
余計に訳が分からなくなったアデリナにフィナが笑いを堪えきれず助けを出す。
「マサル、アデリナに誰の結婚式か言ったの?」
「えっ? 言ったよね?」
「聞いてないわよ? って、誰と誰の式なの? って待って! 聞きたくない! 言わないで!」
仕事が増えるのを察したのか逃げようとするアデリナ。
「現実逃避しても仕方ないし、どうせ逃げられないんだから諦めて。はい、お茶」
「分かったわよ……で、誰の結婚式なの?」
アデリナが落ち着く為にお茶を含むのを見て俺は悪戯心が芽生える。
「結婚するのはシュテンツェン元女王エメラルダとポータリィム司令ランスロットだな」
「ぶふっ‼」
盛大にお茶を吹くアデリナ。
「いつの間にそんな事になったの⁉」
「マサル……その冗談は色々とマズい。アデリナ、よく考えてエメラルダとランスロットじゃあ女神が動かない」
フィナが冷たい目線で俺を咎める。
「結局誰と誰の結婚なのよ⁉ ちゃんと教えてよ!」
「マサルとビクティニアス様よ、結婚するのは」
「ちょっと! フィナ⁉」
あっけなくバラされて焦る俺にアデリナは思考の深みにハマっていく。
「騙されないわよ! そんな話が急に出てくるわけない……わよね?」
「アデリナには同情するけど本当。私はマサルみたいな子供っぽい事しないし、主神をネタに使うほど愚かでもない」
フィナの言葉に一気に冷静になったアデリナは顔色を変えた。
「ちょっと! もしかしてヴィンターリアでやるつもりじゃあないでしょうね⁉」
「えっ? 駄目か?」
「ダメに決まってるじゃない! 私とザーグが結婚した場所とアルステイティアの主神が同じ扱いで許されるわけないでしょ! 格ってものがあるでしょ! 格が!」
「となると会場から作り直しか?」
「会場だけじゃなく何もかもが足りないわよ!」
ひっそりとした結婚式ではどちらにしろ許されない雰囲気だ。
「アデリナ……グレイタス王国にも連絡を入れて協力を仰いだほうが良い。ヴィンターリアの経済が破綻する」
「後で建てた会場なんかの利権問題とかも起こるかも知れないし、最初からアクシオン王を抱き込んで下を抑えた方が楽だものね」
「それ以前にマサルが本気になったら資材が足りない可能性が出てくる。グレイタス王国からも採取出来ないと厳しいと思う」
「確かにそんな事になれば経済が破綻するわね。こうなったら土地を確保して新しい街を造るくらいの規模で最初から考えた方が良さそうね」
どうやら話はまとまったようで政治の話は全部アデリナとアクシオンに任せてしまおうと決める。
「で、一応聞いてみるが俺が主体で好きに物作りしていいんだな?」
「貧相なのにならなければ問題ないわよ。どうせ私にも必要な会場のキャパシティーすら分からないから、しっかりとビクティニアス様とアイラセフィラ様にも相談してやって頂戴。国は極力最優先事項として協力するから」
報告、連絡、相談だけはしっかりしてとアデリナとフィナに何度も繰り返し言われる。
「じゃあ、フィナはアデリナとザーグを連れて転移でグレイタス王国の王都まで飛んでくれ。俺はビクティニアスたちと会場の場所について決めてくる」
「いや決めてこられても! ってもういないし!」
アデリナの文句を背に受けながら走る俺は心から胸が躍った。
「ビクティニアスの為に俺が作る結婚式! ここで本気にならなきゃ男が廃るぜ!」
俺とビクティニアスの結婚の話は瞬く間にヴィンターリアとグレイタス王国だけではなく世界中に駆け巡った。その背景にはビクティニアスとアイラセフィラを除く七柱のアルステイティアの神々が信託を伝え続けた結果だった。
「なんであんな辺境に⁉ 魔物の領域だぞ! 神々の婚姻といえど我々にそんな兵力は無いぞ! ヴィンターリアにだってそんな力は無いはずだ!」
早速グレイタス王国ではマサルの指定した会場の場所の開拓をどうするかを揉めていた。
「馬鹿者! 止めんか! マサル殿が場所の指定をよこしたということは自分一人でもやるという事だ! 我々はマサル殿に我々全ての母であるビクティニアス様を幸せにして頂くのだ! 子である我々がその手助けをするのに躊躇う理由が何処にあろうか!」
グレイタス王アクシオンの言葉に人々の胸に灯る熱い何か……地上に降りることもなくなって数百年……もう地上の自分たちは母たる神に愛されなくなったのだろうか? そんな風に考えていた事もある。
「ビクティニアス様を、この世界を変えてくれたマサルに恩を返す時は来た! 職人や兵士を可能な限り用意し出発せよ! グレイタス王国の本気を見せてやるのだ!」
マサルが指定した会場の場所はヴィンターリアとグレイタス王国の中間を北上した場所にあるどこの国にも属していない山脈地帯である。一番近い都市はグレイタス王国の王都だった為に急いで出立した職人や軍隊は自分たちの負担はとても大きなものになるだろうと覚悟を決めていたのであった。
「山が無い? これは夢なのか?」
「決められた高さから山を切り取って……磨かれたような滑らかさだぞ。これが神の力?」
「こんなに硬い岩をどうやって? それに山はどこに消えたんだ⁉」
高さ百メートルの辺りで黒く硬い岩で出来た山が消滅したかのような余りにも現実離れした光景に息をのむグレイタス王国の人々。
「おっ? もうアクシオンはもう手伝いを寄越してくれたのか。まだ整地途中だし移動で疲れただろうし休んで貰ってても良いよ」
作業着に身を包んでタオルで汗を拭く俺を呆然と見るグレイタス王国の人たち。
「ザーグ! 彼らの持て成しは任せていいか? 俺はちょっと温泉掘りの様子を見てくるから」
「あぁ、自分たちのキャンプの準備でも始めて貰うよ。竈なんかは任せて良いか?」
「あぁ、竈も食材も任せてくれて構わない。魔物も寄って来ないはずだから風邪とか引かないように準備して貰ってくれよ」
「「「「「「ザーグ⁉」」」」」」
ザーグの名前に驚くグレイタス王国の人々。
「あの元グレイタスの騎士でヴィンターリアの王配の⁉ じゃあ、さっきのは……」
「あははっ、あれがビクティニアス様のお相手で新神のマサルだよ」
「「「「「「あれがっ⁉」」」」」」
黙々と見ても何してるか分からない作業をする俺を天然記念物の生き物のように皆で観察される。
「あれは? 何してるんですか?」
「百八十メートルちょっと掘ったら水源があるっていうから魔道具で穴を掘ってるみたいだね。向こうは更に五十メートルくらい深いところに温泉が出るらしいね」
「えっ? そんな便利な物が?」
「ミスリル製だしマサルとアイラセフィラ様の作品だよ? 値段は知りたくないよね」
そんな話をしてる傍から地下水を掘り当てたマサルは皆が呆然としている間に簡易的な水路を作り上げていく。
「これは夢でも見ているのか? 見る見るうちに何か月もかかる水路が出来上がっていく」
「今朝のうちに地下には下水も出来ているみたいだし常人には手が出せないよね」
「この山の上で下水道完備⁉ 贅沢な話だな……」
「多分、お湯も水も結構好きに使えるようになるから想像以上だぞ」
「水もお湯も好きに使える? どれだけグレイタス王国と技術に差があるのか想像も出来ませんな」
「実際にその技術があるのはマサルだけだけどな、彼からの伝言だ『大いに技術を学び盗んでいってくれ』だって、頑張れよ」
神の下で新しい技術を学べると職人たちは興奮し盛り上がるのであった。
「全然参考にならないじゃないか……」
「良いから手を動かせグレイタスの……マサル様は仕事が終わってないと厳しいぞ」
グレイタス王国から遅れて五日後にはヴィンターリアからの職人たちも集まって、何か仕事を割り振って欲しいというので平野から会場までは約百メートルの高さまでちょっとした登山になるので道の整備をお願いしたのだ。
「最短ルートで登れる階段と馬車で登って来られる距離は長いがスロープになっている幅広の道を石畳で急いで作ってくれだなんて……」
「何が不満なんだ? 材料は各所に置いてあって整地された場所に決められた石板を決められたように隙間なく並べるだけだぞ」
「俺たちはもっと高度なことが学びたいんだ! ヴィンターリアのこそ神の言う事だからと言いなりか?」
「グレイタスの職人にはこの仕事の高度差が分かってないようだな……今までに敷いてきた石板の道はどれほどになる? 直線距離で四百メートルといったところか? それで何も感じなかったのか?」
グレイタスの職人たちは振り返り下からずっと並べてきた石の道を見る。
「丁寧に並べてきたから美しい仕上がりになっておる」
「歪みもなくよくここまで来たもんだ。大概これくらい進むと少しくらい歪むもんだ」
「入らない石板も無かったから助かっているな」
「「「「「「馬鹿じゃないか⁉」」」」」」
グレイタス王国の職人たちが口々に言うと、ヴィンターリアの職人が口を揃えてグレイタスの職人を批判した。
「丁寧に並べたら歪みなく作れるように整地して材料を切り出して加工しているのが何で分からない!」
「自分たちの技量だと思っているのか⁉ なんて傲慢なんだ⁉」
「一つの欠けも寸法違いも無い石板を見てどれほどマサル様が気を使っているのかを想像できないとは……」
ヴィンターリアで俺の加工した石板なども扱った経験があるからこそヴィンターリアの職人も今回の加工された石板を見て神の本気というものを思い知らされた気分だった。
「よく見てみろ石板の表面は完全に磨くのではなく馬車の車輪が滑らない程度に凹凸を残した上で水が溜まらないように道の外側に逃げるよう溝が加工しているし、石板の下はやはり元々の地面ではなく水捌けのよいものに変えられている、これも地面と石板の間に水が溜まって斜面を滑らない工夫だろう」
散々にグレイタスの職人たちが言われ反論の言葉も出なくなった頃、やっと様子のおかしい事に気づいた俺が何事か見に来た。
「作業が止まっているが何かトラブルか?」
「いえ、ちょっとした見聞の差による意見の相違があっただけです」
「悪いな完全に俺の基準で作業の用意をしていたからグレイタス王国の人たちには見慣れない手法を強いることになるけど許してくれ。ヴィンターリアの皆は俺に慣れてるから作業の意図も幾らか見えているだろうけど今の作業は顔合わせで手始めだ。協力して更に大きな作業をする為の礎を気付いてくれ」
この後、何度も衝突しながら作業をこなして会場までの道と階段を作り終えた頃にグレイタスの職人たちとヴィンターリアの職人たちはようやく一つのチームと言える一体感が芽生えたのであった。
「この前に海に行って仕留めた獲物を解体するから食えるなら皆に御馳走するよ」
ある日の晩にそう言って出したのは釣りを邪魔して鮫を食いちぎった巨大な首長竜である。
「うわっ! デカっ!」
「口から鮫の頭がはみ出してるぞ! げっ、凄い歯をしてる」
「ちょっとアンモニア臭いな……」
アンモニア臭いのは海を潜るためにクジラなどのように海水より軽いアンモニアを体内で調整している為だろう。たまに腐敗したクジラが爆発したなどと聞くがこれは体内に腐敗によって発生したメタンガスやアンモニア、硫化水素が溜まった結果だ。
「なんていう生き物なんですか?」
おっと鑑定してなかったな……ついでに鮫と連れた魚も観てみるか。
【シーサペント】
地球のジュラ紀に生息していたプレキオサウルスに似てはいるがより巨大で凶暴な首長竜の魔物。吻が長く円錐状の歯が多く並ぶ顎はとても強い力で獲物を食いちぎり食べる。背には硬い亀のような甲羅があり外敵から身を守っている。肉はとても強い滋養強壮効果がある。
【タイガーシャーク】
地球にいるイタチザメに似ているが小型だがより凶暴な鮫。十数匹の群れで生活している。知能は低く何にでも噛みつく習性がある。一割が食べれないものを食べて死ぬと言われている。食用には不向き。
【フライングマークルゥ】
空飛ぶ鰺なんて名前をしているが空は飛ばない。空を飛びたいと頑張って進化をしているが生態的にも環境的にも叶うことがまず無い。癖が少なく油ものっていて刺身でも美味しいが揚げた物が絶品である。
「空飛ぶ(フライング)鰺じゃなく揚げた(フライ)鰺か……今回のメインディッシュは決まったな。あのデカいのは燻製にでもして保存食にして世話になってるグレイタス王国にも渡すか」
お手伝いに来てくれている奥様方にも協力して貰って鰺を捌きに捌いて揚げに揚げた。
「すげぇ! これが海の魚⁉ 旨めぇ!」
「なんだこれ! 揚げ物って言ったら高いくせに胸やけするようなくどさがあるのにこれは別物だ」
「なんだ? 周りのこれは……黒パンを粉にしたもの⁉ 黒パンがこんな風に使えるのか」
鰺フライは絶賛され一人一匹をペロリと皆が平らげ(と言っても一匹が五十~六十センチもある)満足そうに就寝したのだった。
新しい会場作りは順調に進み徐々に全貌が見えてきた。
「完全にグレイタス王国の王城より立派ですね。建物全体が艶の有る美しい石で出来てますがどこでこんなに手に入れて来たんですか?」
「海の底に潜って一帯の地形を変えながら入手したんだ」
「地形を変えながらって……」
「根こそぎともいうね。別に生態系が変わるような事も海流が変わるような事もしてないから大丈夫さ」
気が付いたら結婚式の会場にと大きめの教会を作ろうとしていたのが大聖堂と言えるような巨大な何かが出来上がっていった。ニトリでは現在リュリュとメイによってステンドグラス用の色ガラスが量産しているし各地から良質の材料が今も届いているのだった。
「本当に協力してくれる皆に感謝だな」
住民たちと共に大聖堂の周りが白い敷石で造り変えられている頃、地球の神界では妙に張り切って何やら準備をしてる女神たちがいた。
「マサルはビクティニアスのドレスに掛かりっきりで自分の服装にはあまり興味を持っていなかった様なのでわたくしが隣り合うドレスに見合う燕尾服を作らせましたの! 見て下さい、この見事な銀糸の刺繍を!」
「素晴らしいですわ、アテナ! あれは結婚式は花嫁が主役だからとか言っているようですが、結婚式では二人のバランスという物がございます、マサルの作った自分の衣装は素材は一級品だし、製造の神だけあって素晴らしい仕上がりでしたが、デザインが地味過ぎてつまらなかったですもの!」
「そう言えばヘラ様はご自身の衣装はご用意なさったのですか?」
「これでも婚姻を司る神ですもの、相応しい衣装くらい既に持っていますわよ」
そう言えばこの女神は婚姻の女神だったなぁ……と浮気癖のある旦那を折檻する姿しか普段見れないので忘れていた事実を思い出す。
「何でこの女神を妻にして浮気なんて出来るのかしら……まさかゼウスはドMなのでは?」
「何か言いましたかアテナさん?」
姿勢を正し『いえ、何でもありません』と敬礼をして誤魔化し……いや、見逃して貰って自分のドレスの確認も行う。
「しかし、良かったです。ヘパイストスはお留守番って事になって、安心して貴女がアルステイティアに行けるってものです」
「弟子に選別に好きな物を持っていけと言って別室に隠していた雷霆のサンプル品を持っていかれるとは愚かですよね。しかし、今回は自分の言葉の責任をとって貰い、マサルではなくヘパイストスに罰を受けて貰うのは良い考えでしたね」
「もう少し頭を使ってくれたら重宝しますのに……まったくロクな神がいないのですわ!」
「ヘラ様もわたくしも神ですよ? それでゼウス様はどうするんですか? 出席なさるので?」
「夫は何だかお疲れ様のご様子でヘパイストスを監視するとか言ってお留守番するらしいのです」
自ら罰と称して夫婦で篭っていた後、妙にゼウスは窶れていてヘラは艶やかになっていた。…相当に搾り取られたのであろう……お疲れのゼウスを心の中でそっと労い、そのまま記憶の片隅に追いやる。
「はっ! 大変ですよヘラ様! 結婚式に持っていくお祝いの品がまだ用意されていません!」
「なんですって⁉ ここでケチったら地球の神々の格が疑われます。何か最高の物を用意しなくては……アテナはちょっとお使いを頼まれて頂戴? 神酒をちょっと切らしてるの、貰ってきて頂戴」
「分かりました。御代はいつも通りゼウス様にツケときますね」
……結婚式はもうすぐそこに迫っていた。
「ねぇ、アイラ? どうかしら?」
「とっても素敵ですよ、姉様。本当に姉様の為だけに作られたのがよく分かりますね」
マサルに渡されたドレスを身に纏い、鏡の前で姉妹で微笑みあう二柱の女神。そう遂に俺とビクティニアスの結婚式の日がやってきたのだ。
「それにしてもよく間に合いましたね。半年程でこのような大聖堂を作って、周囲に交通網を完成させるとはグレイタス王国とヴィンターリアの民たちはずいぶんマサルに鍛えられていますね」
「それに異界の女神が降臨すると聞かされて王族たちは大混乱みたいよ?」
各国の王族とその関係者たちはヴィンターリアの城の中で立ち振舞いや会話の内容、ヘラとアテナ、そして主神ゼウスなどの情報を必死で覚え直し、失礼の無いようにと対策を立てている。
「姉様たちの結婚式を狙った盗賊たちはどうなったのでしょう?」
「あれはマサルが留置所を作って拘留してるわ……水鏡に映してあげるから見てみたら?」
そうして映された光景に目を疑うアイラセフィラ……。
「……うっ、何がどうなってるんです? あれは流石に引きますね……」
出口のない地下牢に閉じ込められた囚人たちは一緒に閉じ込められたスライムと骨の魔物スケルトンにずっと追われ続ける。
地下牢の中には隠れるところも水が飲めるところもある為に油断せずに逃げ続ければ生き残ることは出来る。
「あのスケルトンは何か魔法の力が感じられるわね……強化されているの?」
「自分たちの式がターゲットだったのを知ったマサルはかなり怒ってたみたいですね。武器を取り上げられた囚人たちでは絶対に勝てませんね……」
「獣や魔獣でさえ近づかないのに本当に愚かね」
「そうですわね、本気のマサルを怒らせたら何が起きるか想像するだけで恐いですもの」




