日常
私立○○学園バスケットボール部は、部員が5名しかおらず、
1人欠員が出ただけでも試合人数が足りなくなってしまうにも
関わらず全国ベスト8に入る強豪チームであった。
その強さは主に、首相百島の強さにある。
彼女はどんな状況でも、けして3ポイントシュートを外すことない
最強シューターなのだ。
そのうえ容姿端麗で、腰ほどまである長い髪が美しく、
おそらくDカップはあるであろう巨乳が揺れるのだ。
校内でも人気はトップであろうことは疑いようもなかった。
8月上旬、学校は夏休み中旬に差し掛かり、バスケ部の練習は
毎朝9時から行われている。
この日も9時10分前にもなれば、部員がやってくる。
今の時間は午前7時。
しかし、首相の百島は体育館のバスケットコートにいた。
校内にまだ人影はなく、体育館ももちろん無人である。
恐らく鍵を開けた用務員さんと百島しかいないのではないだろうか。
用務員さんがいる表玄関と百島がいる体育館は校舎を挟んで反対の位置にある。
この時間、ここまで誰もこないことはリサーチ済みであった。
百島は6時55分の用務員さんが出勤してくるのと同時に校内へと入る。
すぐさま体育館へと向かい、着替えに入る。
扉を全開にしたままで。
日差しが窓から差し込み、生暖かい風が流れてくる。
百島はブラウスとスカートを脱ぎ、鞄へと入れる。
体操着を着ると思いきや、いそいそと下着を脱ぎだした。
「今日はいい天気ね、今日は屋外コートで練習しようかしら」
百島は全裸になり、体育館横の屋外バスケットコートへと歩いていく。
もちろんちゃんと靴下とバスケットシューズは着用している。
コートの周りを軽く走っていると犬の鳴き声が聞こえてくる。
木で遮られた向こう側は公共の歩道になっており、犬の散歩で通る人がいるのである。
百島はびくつきながら、ストレッチへと切り替えるのであった。
いつものようにフリースローを始めること1時間。
年頃の女の子が体育館で全裸になる、というだけでかなり恥ずかしく、緊張することなのに、
ぐずぐずしていれば、他の部員たちがやってきて恥ずかしい姿を見られてしまう。
そして、部員の口から、瞬く間に全校中に知れ渡ってしまうという恐怖感。
それらを克服して、フリースローだけに集中できるようになるのは至難の業だ。
しかし百島はすでに克服し楽しむ余裕すらあった。
1回、2回、3回……10回……20回……30回、31回、32回。
ファンブル。
いつもなら、もっと続けていられたのだが、今日は
誰かの話し声が聞こえてきたのだ。
まずい、まずい、まずい。
慌ててボールを茂みに隠し、自分も隠れる。
「ボールの音が聞こえた気がしたんだけどな、誰かいるのか?」
隣のクラスの男子生徒と同じクラスの男子生徒が歩いてきた。
体が一瞬で熱くなり、鼓動が早まる。
お尻に刺さる雑草の感覚がクリアになり、上ってくる蟻の感覚がより身近に感じられるようになった。
「バスケといったら百島さんかな?」
「いや、いくらなんでも早すぎじゃね? まだ8時だぜ」
……。
「返事なしか、まぁいい。さっさと始めようぜ。 昼までには終わらせたい」
「だな、部活さぼったくらいで庭の草虫りとかやってらんねぇぜ」
「さぼったら成績に響くとか脅すしよ」
「はぁ、せっかくの夏休みなのにな。 っし、やるぞー」
「うっせーよ」
彼らは草むしりを始めた。