夜中の騒動の巻
今日も無事アップできました。1500文字くらいで少し短めです。明日もがんばろ(=゜ω゜)ノ
うちの村には12の家族が生活を共にしている。家の配置は例えるなら時計盤のように見張り台を中心に円の形をしていて、さらにその周りを深い森が覆っているのである。
ある夜、誰もが寝静まった静かな時間。けたたましい音が村じゅうに響き渡った。警報の鐘の音である。カーンカーンカーン。
半蔵は鐘の音を聞くや否や飛び起き、楓に家から出るなと言い残し、家の入り口に立てかけてある2メートル程の槍を持って見張り台の方へ駆けて行った。俺は楓の目を盗みこっそりと家を出て半蔵の後に続いた。
見張り台の下には夜になると篝火に火が灯される。その篝火が一つ無残にも破壊されていた。近くにいたのはなんと、3メートルはありそうな荒れ狂った巨大な猪の姿だった。
見張り台は猪の体当たりを何度も喰らい今にも崩壊しそうになっている。警報を聞きつけた大人たちが猪の周りを少し距離をとって囲っている。
「でかいな‥‥。」
「あぁ、大猪だ。しかも特大サイズだな。」
「なんでこんなところに‥‥。」
そんな会話が聞こえてきた。いや、でか過ぎでしょ?どこの国だよこんなの野放しにしてるとこは?と、突っ込みをいれたいが今はそんな状況じゃない。大人たちはそれぞれが槍を構えているが荒れ狂う猪に近づくことさえ出来ずにいた。
そんな時、俺の後ろから男の声がした。
「いや〜、申し訳ない。うっかり数匹取り逃がしちゃいましてぇ〜。皆さん怪我とかしてないですよね?」
と、緊張感のかけらも感じさせない旅人のような白いマントを羽織った男が歩いてきた。周りにいた大人たちがその声に気づいて問いかける。
「なんだあんたは?他所者がなにしにきた?」
「その話は後でお話ししますんで、先に猪を処理してきますね。」
と言って男は軽く地面を蹴り、あっという間に猪のすぐ後ろまで跳躍して見せた。
え?なんだ?鳥か?飛行機か?いや‥‥誰‥だ?今、10メートルくらいは飛んだよね‥‥。俺は男の姿を目で追った。
さらに男は荒れ狂う猪の上に飛び乗り、頭部の後ろを右手で一発。どーん、と言う音と共に猪は横たわり動かなくなった。
俺は見逃さなかった。猪を殴る男の手にモヤが出現していたのを。
男は猪を背に大人たちの方へと近寄ってくる。
「あれは皆さんで召し上がって下さい。お騒がせしたお詫びです。それと、今日どこかに泊めて頂けませんか?最近野宿ばっかりでして‥‥えへへへ。」
「‥‥‥‥‥‥‥。」
あっけらかんと話す男に村の大人たちは呆然としていた。少しの間沈黙が続いた。
「あぁ‥‥泊まるところならうちに来るといい、大したもてなしはしてやれそうにないがな。それよりも、あの猪のこととあんたのことを聞かせてくれ。」
沈黙を破ったのは、半蔵だった。
それから、夜中だったこともあり村の大人たちは
猪の処理は明日にすることにし、数人の見張りを残しそれぞれの家に散っていった。
白マントの男と半蔵は共に家の方へと歩みを進めた。俺はこっそり出てきたのでまた、こっそりと家に先回りして心配そうに入り口で半蔵の帰りを待つ楓にばれないように家に入り何事もなかったかのように布団に忍び込んだ。
しばらくして、半蔵たちが帰ってきてなにやら話をしてるようだったが詳しい話は明日聞くことにして俺は眠りについた。