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重大発表!

 「無力なものを誘拐するなどという卑劣な行為が、オリュンポスの神々に許されると思っているのか?

  汚れた犯罪者が、生きる場所は、オリュンポスには一寸もあるまい」

  

 アポローンさんは、アタシに冷たく宣告するわ。

 

 もう、アタシはどんなにおびえていようが、初めに自分で決めた方針通りに動くことにしたの。

 

 「どんな処分でも、甘んじて受けますわ。

  ですから、このお話に出てくるキャラだけは、そっとしておいてくださると、約束していただけませんでしょうか?

  それなら、アタシも、アポローン様の大切なものを、すぐにでもお返しいたします」

  

 「盗人猛々しいとはこのことだな。

  認めるわけにはいかない、キミの自分に都合のいいばかりの言い分は」

  

 「仕方がないではありませんか!

  アタシが誘拐に手を染めたのは、こうでもしないとアタシの言い分は、アポローン様に握りつぶされてしまうからですのよ?

  アタシのように、力の劣った者が、強い者になりふり構わず声を上げることは、いかなるときも許されないのですか?

  モラルを、秩序を、そして法を守ることが、アタシの言い分を、アタシ自らが封殺することになると知ったならば、アタシは、いっそ、既存の慣習すべてを踏みにじることにためらいは持ちませんから!」

 

 長セリフを言い終えて、きりっとした表情のアタシに、うんざりしたようなアポローンさんが言ったわ。

 

 「なんかもっともらしいことを言ってるが、そもそもの原因は、キミがウィルビウスにいらないちょっかいをかけたことなんだがな。

 自分の悪行を棚に上げて、いい気なものだ」

 

 あ……あら、そういえばそうかしら……?

 

 ま、まあいいじゃない!

 クライマックスには勢いってものが必要よ!

 とにかくアタシは、強大な敵に立ち向かうかよわい乙女なのよー!

 

 「あの岸辺をごらんください」

 

 アタシが指差す方向には、アスクレーピオスが立っているわ……と見るや、その姿はトランスフォームし、たちまち小学生くらいの女の子へとトランスフォームしたの。

 

 女の子の足元には、鋼鉄のワイヤーでできた環が落ちているのね。

 女の子がその環を拾い上げ、頭を突っ込んだわ。

 首飾りのように環が女の子の胸元にたれさがり、その環の端は、ひも状のワイヤーがつながっているの。

 そのワイヤーの先は、手賀沼の水面の下に消えているわ。

 

 女の子は、可愛らしい手を、ひらひらと風にそよぐ旗のように振ったのよ。

 

 「アスクレーピオスじゃないか。

  あいつ、ポロンに化けて何をしようとしているんだ」

  

 「あれは、アスクレーピオスじゃありません。

  ポロンちゃん本人ですよ」

  

 「そんなわけないだろう。

  警察の包囲を抜けた顛末を観察していたが、きちんとアスクレーピオスは人を治療していたぞ」

  

 「それができるほどに、念入りにカムフラージュしたのですわ。

  でも、それを信じるも信じないも、アポローン様のお好きになさって」

 眠っているみんなの目を覚ますには、大きな音よ!

 

 と、考えたヒヨコちゃんたちは、スマホをスピーカーにつなぐと、大音響で音楽をかけ始めたわ。

 

 起き出したみんなの前で、ついにヒヨコちゃんとガベジくんは、今日の結婚式が誰のためか、発表したの。


 「今日の主役は、マルとねむらたくのりさんで~す!!!」


 びっくりしたのは、マルちゃんとネムタクよ。


 「おいおい、なんでそんな大事なこと、直前まで言わねーんだよ」


 至極もっともの指摘に、ヒヨコちゃんは首を傾げたわ。


 「どーしてだっけ……?

  ま、いろいろ私が考えた結果だったんだけど」

 ま、まずい。あったかくなると、春にもましてねむくなるわよね。きっと、温度が高いと、あまりものを考えなくなるというのが、人間の体のつくりなのだわ……。

 ところで、次回のヒヨコちゃんは、どーなっちゃうのかしらね……?


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