シンクロニシティ・トライアングル
『題名、間違ってませんか?』
『いいえ。”神聖お兄ちゃん帝国”よ』
アタシは間違ってないわ、たぶん。だから即座に否定。
すると、奥からもう一人、店員が出てきたの。
店員1『CDじゃないの? ほら、かまってちゃんとかなんとか……』
店員2『あー、そうかもしれませんねえ』
アタシ『違います! 本ですよ、マンガです』
店員2『ああ、マンガのテーマソングなんですか?』
店員1『あーなるほど、アニメね』
アタシ『アニメじゃないです!』
店員1『なんだ、それなら知ってますよ。昔のロボットアニメでしょ、ダブルゼットなんちゃらとかいう』
アタシ『……ダブルゼットなんて、アタシ、言ってないけど?』
店員1『いやいや、テーマソングがそちらのおっしゃったタイトルなんですよね』
アタシ『歌じゃないって!』
店員1『えっ? 参ったなぁ、全然話が通じないよ。あ、そうだ! 誰か英語しゃべれるひといない?』
店員2『そうですねぇ……ラカンブンマイさんなんか、できるんじゃないですかね? 外人だし』
アタシ『はぁ??? 通じてるでしょ? アタシちゃんと日本語しゃべってるわよね!?』
店員1『あぁー! すいませんすいません。ちょっと待ってくださいねー。もうすぐ、わかる者が参りますので』
アタシ『なんで待たなきゃいけないのよ! アタシの言うことわかってるでしょ? ねえ? 理解できてるでしょお??』
ラカンブンマイ『インディトーンラッ!』
アタシ『何語しゃべってんのよ? 今度はこっちがわかんないわよっ!』
ラカンブンマイ『あー……ワタシ、できる、ニホンゴ、スコシ。アナタ、ニホンゴ、OK?』
アタシ『何がOK?だよ! アタシのほうが流暢なんですけど!?』
店員1『どうぞ! こちらにお伺いください!』
アタシ『待ちなさいよ! ちゃんとアタシの言うこと聞きなさいよ!』
ラカンブンマイ『ナンデモ、イイナサイ。ワタシモ、サイショ、ニホン、不安ダタ。ケド、ミンナ、ヤサシ。メシ、ウマイ』
アタシ『何の話だよ! フザっけんなよ!!!』
店員2『うわ~、なんかあの外人、メッチャ怒ってますよ。大丈夫でした? 先輩』
店員1『もう全然ムリ。おれ英語とか全くわかんねーもん。ガチで怖かったわ。なんかわめいてるし』
店員2『外人ノリのでかい声、案外キツいっすよね。コスプレでこんなとこまで来て、そうとういっちゃってますよ、あのコスプレ大使』
店員1『どこのコスプレ租界から出てきたんだか』
アタシ『コスプレじゃねーよ! 仕事だよ! これは制服なのーーーーー!』
数分後、アタシは警察官に拘束されていたわ。
さっそく、三人は主人公(仮名)ちゃんの作ったチャーハンを食べ始めたわ。
脇役(仮名)ちゃんはがっつきまくっているわね。
「うまい! うまいよ、これ! やっぱ主人公(仮名)はおふくろの味!」
「あー、これならまあまあ食えるわ。ウェイパーの味しかしねえのがウメー。マヨネーズとか入れたらもっとウメーけど」
イケメン(仮名)くんは、だるそうにスプーンを口に運んでいるの。
主人公(仮名)ちゃんは、ちょっと複雑よね。
(ウェイパーで悪かったな! キサマラ、愚民の舌に合わせてやってんだよぉ!
……わたしの本当に好きな味にしたら、きっとだれも食べてくれなくなっちゃうんだから。
ママでさえ、殺す気かあっ? って激怒したくらいなんだもんね)
突然、脇役(仮名)ちゃんがぴたりと動きを止めたわ。
「あー、なんかかゆ……」
と、はしたなくも股間に手を突っ込んだのよ。
「お。ヤベ」
同時に、イケメン(仮名)くんまでもが、ジーンズの上からがりがりとひっかき始めたのよ!
おどろく主人公(仮名)ちゃん。
(うそ。いきなり何やってんの?
二人とも、めちゃくちゃ行儀悪いな~。
メシ食ってる最中なのに、料理に失礼だよ!)
憤慨するも、自分の調理中のことを思い出して、反省しきり。
(いやいや~、わたしもそうだったっけか。
やっぱ、あれ、行儀悪かったよね~。
いかんな、人のことばっかり非難してちゃ~ダメだわ。
そりゃ~カレシもできんわ)
そういう気付きも大切だけど、もっと重要なことに気が付きなさいよ!
(ん? そういえば……おかしいよね)
そう! おかしいのよ!
(お米、三合炊いてたはずだけど、ちょっと少なくない?
もしかして、昨日寝る前に一合食ったっけ?)
そーじゃなくて!!!
最近、本編より前書きの分量が多いような気がするわね。いったいどっちがメインだか、アタシわかんなくなってきているわよ! ところで、次回の主人公(仮名)ちゃんは、どーなっちゃうのかしらね……?