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死刑!

 いいかげん、手や腰が痛くなってきたけど、アタシたちは必死で穴を掘ったわ。

 でも、またしても邪魔が入ったのよ!

 

 なんだか、アタシたちが林の中に入ってきたのと同じ道を、何人かがしゃべりながらたどってきたの。

 

 「お姉さま!

  今この光景を見られたら、どう考えても、わたくしたちが犯罪行為を働いているようにしか見えませんわ!

  どうしましょうか?」

  

 「どうするもなにも、何とかごまかして引き返してもらうしかないでしょう?」

 

 「むん……妹さんの幻覚トリックで心霊現象としてごまかすこともできるかも。と思う」

 

 コソコソ三人で相談していると、声の主たちが徐々に接近してくるのが分かったわ。

 

 「っつーか、何で救急車なんだ?

  ケーサツじゃねーのかよ?」

  

 「知んねーけど、ゼッテーおかしいべ?

  フツー、こんなとこ来ねーだろーがよ」

  

 「埋めたのって、こっちで合ってんの?」

 

 「わかんねー。

  ま~、合ってんじゃね?」

  

 「あいつ、もう残ってねーだろ。

  ちゃんと埋めたから、今ごろ、大自然に還ってんべ」

  

 「どーせ、あんとき一緒にいた誰かだろ……。

  また、他の奴ぶっ殺して、埋めに来たんじゃねーの?」

  

 「ぎゃはははははははははははははは!」

  

 うわぁ……。

 なんか、先客を埋めた連中がやってきたみたい。

 派手で悪趣味な恰好からして、まともじゃなさそう……。

 

 アタシたちに逃げるヒマもなく、やってきた連中は、アタシたちみたいな風体の人物と出会うとは、考えてもいなかったみたいで、アタシたちは、目を丸くしたまま、お互いを見つめ合ってしまったわ。

 

 先に口を開いたのは、向こうのほうよ。

 

 「ナニやってんだぁ! オメーラァよぉ!! 人の土地に勝手に入りやがって、ただで済むと思ってんじゃねーだろーなっ!!! ぐぉらぁあ????」

 

 屈強な男六人に、取り囲まれるアタシたち。

 しかも、あまりにバイオレンスな展開に、ガベジくんはぶるぶる震えながら、失禁しているわ。

 ほーんと、スカトロ大好きなんだから。

 

 とはいえ、ここはどうにか丸く収めたいわね……。

 なので、アタシは神テレパシーを使って、超高速でメルポメネーと相談よ。

 

 「ねー、どーする?

  アタシとしては、穏便にコトを済ませたいんだけど」

  

 「気を失わせて、記憶を抜きましょうか?」

 

 「あ、それいいわね。

  一人でできる?」

  

 「当然ですわ。

  ですが、どうかなさったのですか?」

  

 「ちょっと、主人公(仮名)ちゃんが、冥府で変なことに巻き込まれそうなの。

  助けてあげたいのよ~。

  あと、ヤボ用がいくつか」

  

 「かまいませんわよ、お姉さま。

  ここは、わたくしにお任せあれ」

  

 「ほ、本当?

  メルポメネー!!

  アタシを助けてくれるのね、さっきも自分勝手で散々振り回したのに、あなたって子は、なんてお姉ちゃん思いなの!

  ありがとう!

  これは借りにしてもいいわ!

  本当にありがとうね!」

  

 やっぱり、いざとなると肉親の情愛というのは、頼りになるわ!

 

 アタシは、すぐさま冥界へワープよ!


 冥界へワープするのは、さすがにちょっと時間がかかるのよね……。

 それまで、主人公(仮名)ちゃん、なんとかがんばってね!

 

 ちなみに、冥界に行くにはその前に横たわっている大河を渡る必要があるんだけど、その前にできている謎の巨大建築に、主人公(仮名)ちゃんは、収容されてしまったのよ。

 

 自分がスパイ容疑をかけられていることも知らず、主人公(仮名)ちゃんは、雑居房にたたきこまれたわ。

 そこは、種々雑多な人々がひしめき合っていて、座るくらいしかスペースが残ってないのよ。

 

 ホントに不快な気分で、主人公(仮名)ちゃんは、なんとか隙間にお尻をねじ込んで、座ることに成功したわ。

 

 (なんなんだろう、これ……。

  夢にしてはリアルだけど、夢の中ではだいたい、これはリアルな夢だ、とか思わなくて、フツーに現実だと思い込んでるわけだから、やっぱりここは、夢なのかも。

  でも、その理屈で言うと、わたしが現実だと思ってる世界も、実は夢かもしれなくて。

  とすると、これも夢かもしれない、っていうか夢であってほしかったりして!

  だって、夢なら、そのうち覚めるんだもんね)

 

 さすがにぼんやりさんの主人公(仮名)ちゃんも、こんなストレスフルな環境では、どうにも悩みが尽きないようね。

 目の前の鉄格子とにらめっこしていると、こつん、と鉄格子を叩く人がいるわ。

 

 「よ~!

  久しぶりじゃん!」

 

 なんと目の前には、脇役(仮名)ちゃんがいるじゃないの!

 でも、鉄格子の向こう側、だけどね。

 つまり、脇役(仮名)ちゃんは、牢屋に閉じ込められていないの。

 

 主人公(仮名)ちゃんはびっくりして、質問したわ。

 

 「なんで、外に出てんの?

  わたし、なんだか急に、ここに入れられたんですケド」

  

 あきれたようすで、脇役(仮名)ちゃんは、

 

 「知らねーよ。

  つか、うち、牢屋に入れられたことねーんだけど。

  オメー、何やったんだ?」

  

 「何もしてないよぉ!

  ただ、質問に答えただけだって!」

  

 「ほーん。

  うちとイケメン(仮名)はさ、主人公(仮名)より数時間くらい早くここに着いたんだけど、その間に、人の話を聞いて分かったことがあるんだよ」

  

 「なに?

  大事なこと?」

  

 「おう。

  まず、最初のジジイいんじゃん。

  あの、キメェ奴。

  あいつにキラわれたり、ナメられたりすると、牢屋行きになる」

  

 「ガチかよ!

  ちくしょう、あのくそじじい……」

  

 「それと、牢屋に入った人ってのは、死刑になる」

 

 「……え?

  なにになるって???」

  

 「死刑」

 

 「ううっそおおおおおおおおお???」

 

 おおお……時間が、時間が、迫っているわぁ……。

 

 早く、ワープ終わってちょうだいよ!


 ところで、新玉ねぎがおいしい季節よね。玉ねぎはいいわよね~、いろんなおかずに使えるし、なにより、しばらくほっておいても、なかなか腐らない! それに硬いから飛び道具にもなるし、切ったら、目つぶしが可能だから、近接戦闘にも使えるわ。

 ところで、次回の主人公(仮名)ちゃんは、どーなっちゃうのかしらね……?


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