いんた~ぁあ☆みっしょん
ここまで、結構長かったから疲れたでしょ?
長い映画には、途中でインターミッションなる休憩時間をはさむという習慣が、昔あったというわ。
それにあやかって、ここでいったん雑談をはさむわね。
今では長い映画でも、インターミッションを挿入しないらしいわね。
近年、映画の尺が長くなっている現象というのは、家で鑑賞しているときに、いつでも一時停止できるという利便化が反映しているっていう話を聞いたことがあるわ。
インターミッションが設けられなくなったのも、きっと、それと同じ理由なんでしょうね。
あと、映画を上映する機械が進化したから、というのも大きな理由だそうよ。
けど、正直、90分超える映画なんて見たくないアタシとしては、インターミッションなんかあったら、もう家に帰っちゃうけどね。
そういえば、皆さんは”ゲームブック”というものを、ご存じかしら?
昔々に、スーファミとかプレステみたいな家庭用ゲーム機が無かった時代、キッズたちの間に大流行した娯楽用の書籍のことをいうのよ。
内容は、手動のノベルゲームみたいなものよ。
ゲームの進行途中で、サイコロなどを使用したランダム要素を盛り込んでいるんだけど、どういう種類の要素を加えるかによって、作品のジャンルが決定するのね。
つまり、ランダム要素が、怪物との戦いなら、ファンタジーになるし、宇宙戦艦の艦隊戦なら、スペースオペラになる、と、ざっくり言えば、そういうものなの。
で、これらの書籍は、いったんは流行の終息とともに姿を消したのだけれど、およそ十年位前に、再評価の機運が高まって、復刻ラッシュがあったのよ。
そーいえば、その時の復刻から外れてしまったゲームブックに、”ギリシャ神話アドベンチャーゲーム”というのがあったわ。
これは、”アルテウスの復讐”、”ミノス王の宮廷”、”冒険者の帰還”という三部作で、大長編の上に、ゲーム要素が薄く、ノベル寄りで、しかも救いのない悲劇という、キッズ向けの娯楽であるはずのゲームブックにあるまじきクレイジーな作品だったの。
このお話の序盤で、アタシが披露していた”時計仕掛けの偽英雄、アルテウス”の元ネタは、これなのよ。
とはいえ、ゲームブックはアルテウスが故郷のトロイゼーンに帰還するところで完結しているから、クリューソテミスという人物は登場しないしトロイア戦争にも巻き込まれない、つまり、終わるべきところでキッチリと終了した、ビシッと引き締まった大傑作なわけ。
もっとも、こうした文芸作品はアタシたちムーサイが、人間にインスピレーションを与える形で提供しているわけだから、本当の作者は、アタシが語っていたように、ムーサのメルポメネーであり、その失敗作がゲームブックの元ネタだ、ということはここでちょっとだけ言っておくわね。
さて、いままでの話は、全くの前フリで、本題は”ノミ”のハナシ。
復刻されたゲームブックのラインナップに、”グレイルクエスト”という、円卓の騎士、アーサー王が統治するイングランドを舞台にしたシリーズがあるの。
これは、またゲームブックとしては変り種で、ブラックジョークがてんこ盛りの、斜に構えてやる系のゲームブックで、自分が死ぬこともギャグの一つになっていて、戦闘なり、間違った選択で、キャラクターが死ぬと、
「おいおい、また死んじゃったのかよ? しょーがないから、お約束の14へ行け!」
とかいわれちゃう内容なのよ。
そして、これは挿し絵も独特で、フーゴ・ハルという日本人(!)が描いているんだけど、お約束で毎回出てくる”詩的魔人”というヘンなおっさんが、実に個性的な出で立ちをしていたことに、すごい衝撃を受けたモノよ。
で、こないだ、ユーチューブを見ていたら、なんと!
その”詩的魔人”とかなりそっくりの人を見つけてしまったのよ!
そのアーティストの名前は、”クラウス・ノミ”。
で、さっそくググってみたんだけれど……なんてこと、もう故人なのね、しかも、死亡当時の社会常識では、かなり物議をかもす亡くなり方をしたらしいわ……。
まったく、内容だけでなく、挿し絵までもブラックジョークにまみれていたってわけね。
これ読んでたキッズたちは、当時それを知ってたのかしら……?
ま、ここしばらくのアタシのBGMは”クラウス・ノミ”さんになりそうね。
ノミのハナシもこれで終わりだけど、なんだか、異常にかゆい刺し痕に不審を抱いていたアタシは、ついに座っていたじゅうたんから、なにかが勢いよく跳ね飛んだのを見つけたの。黒っぽい、固い粟の粒みたいな何かを、とりあえず手近の紙に挟んだら、プチっとつぶれると同時に、じわっと赤い血が紙にまるく広がったのよ! ひひええええええええええ!
ホントあの時はびっくりしたわね、初遭遇だったからね……。
ところで、次回の主人公(仮名)ちゃんは、どーなっちゃうのかしらね……?




