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ひとりAV鑑賞会

 スゴイ殺気に包まれたアタシは、刺客たちと離れようと、じりじりとあとじさりしたわ。

 

 「ま、まさか、あんたたち、アタシみたいな可憐な美女を、そんな凶暴な武器で、切ったり、殴りつけたり、突いたりしようとしてるわけ……?

 まるで、昔の野蛮な時代に生きていた非力な農民とか、奴隷みたいに……。

 そ、そんなの、世界の人権団体が黙っちゃいないわ。

 ニンジャにも、グローバリズムを意識したマニフェストが必要なのでは……?」

 

 「死して屍拾うものなし!」

 

 「引かれ者の小唄とはこのことよ」

 

 「マイケルサンデルに泣き付きな、ホー(売春婦)」

 

 なんか、トンチンカンなこと言ってるから、よーく見てみたら、こいつら、日本人じゃないわね。

 外人じゃないの。

 しかも武器だって、熟練の手つきからほど遠くて、ただやみくもにビュンビュンいわしているだけだわ。

 

 だったら、この死地を斬り抜ける方法はひとつ!

 

 「キエーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 

 叫びながらダッシュしたアタシは、当摩の新造にとび蹴りをかまし(ドスッ!)

 

 「ギャッ!」

 

 輪多の邦火史の急所にパンチを放ち(バシッ!)

 

 「グワワ」

 

 風時の宇太が持っていたナギナタを奪い、柄でぶん殴ってやったわ(ボム!)。

 

 「アッ、おのれの武器で……」

 

 アタシは、颯爽と勝ちを得た満足感に浸りつつ、言ったわ。

 

 「フフフ、うぬら、シノビを名乗るなら、この程度の技はつかってみせい」

 

 敵の出方を見透す、透破。

 敵の動きを乱す、乱破。

 そして、敵を蹴散らす突破。

 この三つの流れで多人数を相手に一歩も引けを取らない、小具足腰回りの術と剣術を統合した魔剣、○人流、突破の太刀をくらわしてやったわ。

 昔の忍者マンガ、「カ○イ伝」を読んでいたのが役に立ったわね!

 人生の大事なことは、すべてマンガから学んだ!

 

 と、もだえ苦しむアホニンジャどもを見下していたアタシの耳に、奇怪な声音が聞こえてきたわ。

 

 (ホホホ……お姉さま。

  せっかくアキバでスカウトしてきたアメリカ人のコスプレメイトをひどい目に会わせてくれましたね……)

  

 「ムッ、木霊の術」

 

 声の主はまちがいなくメルポメネーである!

 しかし、姿を見せぬメルポメネーがいかにして、アタシに声を聞かせているのか?

 

 賢明な読者諸氏はすでにお察しのことであろうが、どこかに無線なり、遠隔操作で声の出せる機械を、事前に設置していたに違いない。

 その証拠に、声の背景には、シャーという無線特有のノイズが聞こえている。

 これぞ、現代版、木霊の術とも言うべきものであろう。

 

 またも、すさまじい殺気。

 

 素早く背後を振り向くと、なんと、メルポメネーが大きな牡丹模様の、しかもミニ浴衣なんかを着ているわ!

 

 ……また、メルポメネーの悪いクセが始まった。

 すぐ、制作中の作品世界にかぶれちゃって、おかしなことするんだから。

 

 ここは、姉であるアタシが、きちんと指導してやらなくちゃ。


 一緒に見ようとする脇役(仮名)ちゃんを追い帰し、真昼間からカーテンを閉め切った部屋で、主人公(仮名)ちゃんは、ついに禁断の扉を開こうとしていたわ。

 

 DVDを持つ指が、かすかに震えている……。

 

 焦りと期待、そして恐怖がないまぜになったこんぐらかった気持ちで、ホームセンターで購入した安物のDVDプレイヤーのトレイに、DVDをそっと乗せたの。

 

 すいーんとDVDは平べったいDVDプレイヤーに吸い込まれ、点滅したモニタに、あのいつものめんどくさいDVDの注意書きが映るの。

 その後、少ししてから、クラブミュージックっぽいアレンジのBGMとともに、派手な画面が映ったわ。

 

 始まった……!

 

 胸の鼓動が高まるわ!

 

 以降は、主人公(仮名)ちゃんの感想です。

 

 「えー、結構カワイイじゃん。

  なんでアイドルとかにならないのかなー?

  もしかして、AVってもうかるのか?」

  

 「うわー、体験人数一人って、わたしと大して変わんないじゃん。

  こんなかわいいのに、不思議なこともあるもんだね」

  

 「あ、出てくる人、超イケメンじゃん。

  これだったら、アタシだって、カメラの前でHできるかも。ってウソウソ」

  

 「うへー、こんな音するんだ?

  ほんとかよー?」

 

 「オモチャにもいろいろあるんだねえ。

  でも……今度買ってみようかな……」

  

 「うひゃー、これってどうなの?

  どうしてもやんなきゃいけないことなのかな~?

  正直、アタシはできる気しないな~」

  

 「え?

  そんなとこまでするの?

  いやいやいや、ないわ~」

  

 「……うお~、こんなふうに、される、んだ~。

  そっか、そうなんだ……」

  

 「うは~、なんか、こんなに乱れちゃうわけ?

  ガチかよ……」

  

 「……」

 

 結局、ほとんど黙り込んだまま、じっくり見てしまったのよ。

 意外と研究熱心ね!

 

 でも、お料理に、ラブラブな感情をこめようとする目的から、ずれてないかしら?


 にしても、一戸建ての二階と一階の温度差はすごいわね。今でもすでに二階は夏の暑さなのに、一階は妙にひんやりしてるんだから、びっくりしちゃうわ。

 ところで、次回の主人公(仮名)ちゃんは、どーなっちゃうのかしらね……?


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