マリオさんとキノコ
アタシひとりやきもきしててもしょうがないか。
あとは、登場人物の自主性に任せちゃいましょう。
せっかく日本に来たんだから、もう少しだけ観光して行こ~っと!
日本にいられるのも、今日の夕方くらいまでだし、っていうのも、もう宿泊費がないからなのよね。
メルポメネーは取材旅行ってことで、きちんと経費が出てるわけだけど、アタシは単なる出張扱いだから、昨日の一泊分でお金はおしまいなの。
日本に滞在中のアポローンさんに呼ばれたっていうシチュエーションだったのよ。
まったくひどい扱いよ。
いったんオリュンポスに帰っちゃったら、簡単にテコ入れできなくなっちゃうから、あらためて理由をつけて、長期滞在できるようにしようかしら……?
あー、でもいい口実が考え付かないわ。
こうゆうときこそ、気分転換よね!
三ノ輪から、てくてく歩いたおかげで、なんか上野公園まではるばるやってきてしまったわ!
仕方がないから、動物園でパンダでも見ようっと!
オリュンポスには、ペガサスとかキマイラとかフリーキーな動物しかいないから、コロコロかわいいパンダちゃんは、ほんっと~に楽しみにしてたのよね~!
いや~ん、早く見に行こ~っと!!
そーいえば、バイト先の店長、マリオさんに告白して、お食事に行った主人公(仮名)ちゃんはどうなったのかしら?
と、気になっている方々、ご安心なさい。
ふたりはすでに、ベッドインしているわ!
そこはマリオさんのお家で、主人公(仮名)ちゃんは、シャワーを一人で浴びた後に、お部屋を真っ暗にしてもらってから、月明かりで、コソコソと脱衣の末に、ようやくマリオさん(作戦上、着衣)がお待ちかねのベッドにもぐりこんだのよ。
主人公(仮名)ちゃんは、困ったように、目をぱちくりして、天井とにらめっこね。
(いや~まさか、こんなことになるなんて、信じらんない。
ホントーに嘘みたいだよ……。
なんか、夜の10時が10時じゃないみたい。
わたし、こんなへんな10時なんて、まだ未経験ゾーンだし。
これからどうなっちゃうんだろう。
ほんとに……ヤっちゃうのかよ???)
恥ずかしいやら、戸惑うやらで、すっかり混乱している主人公(仮名)ちゃんを、ここぞとばかりに上手にリード、まんまとH寸前にまで持ち込んだマリオさん(52歳)は、ご満悦のようね。
今回は、詳しく書くのはこっ恥ずかしいから、ふんわりと流すけど、大人の男のベシャリを駆使した完璧なムード作りによって、緊張でカチコチの主人公(仮名)ちゃんも、だんだんほだされてきているわね!
マリオさんのスキンシップも抜かりなく、うなじをすりすりされたり、肩をだっこされたり、ほっぺにチューされたり、くちびるをなめられたり(なにこれ?)しているうち、ついに主人公(仮名)ちゃんは、ベッドに横になったの!
マリオさんは、このタイミングで、
「じゃ、そろそろ○○するよ」
とか、そういう野暮は言わないのね。
ここからは、言葉な不要とばかりに、さっさと衣服をパージ、お布団の中に滑り込んだわ。
あれこれ手続きを踏まえたうえで、ついにマリオさんは入場資格を手にしたと確信したのね。
すっかり観念した主人公(仮名)ちゃんの上に昂然と頭をもたげ、鍵穴にキーを繰り込もうとしたその時!
首を絞められているような、奇怪な悲鳴がマリオさんの口から洩れたの。
背中をそらしたマリオさんは、そのまま、ゆっくりと主人公(仮名)ちゃんの上に倒れこんだわ。
30分後。
涙を浮かべる主人公(仮名)ちゃんと共に、マリオさんは救急車で病院へと搬送されてしまったわ。
心筋梗塞ですって!
こわいわねぇ、病気って。
カラスの巣を見つけたと思ったら、こんどはツバメの巣が近所の壁にあったわ。あれって本当に食材になるのかしらん。フツーに泥をこねたような色をしてるんだけど。
ところで、次回の主人公(仮名)ちゃんは、どーなっちゃうのかしらね……?