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結婚式の日取りが決定!

 なにげにギラついたおっさんたちが、興味津々で見守る中、アタシとメルポメネーは急いで、宿から出たわ。

 なんか、二人で宿泊してたんなら、代金を二人分出せとかで、もめそうになったけど、

 

 「わた~し、にほんごわかりませ~ん!!!」

 

 で、何とか乗り切ったわよ……。

 あ~、疲れた。

 

 で、アタシはメルポメネーと話を付けようと、みちみち相談したわ。

 

 「アポローンさんは、あんたになんて言ったわけ?」

 

 「お姉さまから、どうぞ」

 

 涼しい顔でアタシに情報を吐き出すよう促すメルポメネー。

 イライラさせてくれるわねぇ? 妹のくせに、生意気なのよ!

 

 まあいいけど!

 

 どうせ、同じことしか言われてないわ。

 アポローンさんが、わざわざ口先で、アタシたちをだますような姑息なことをするとも思えないし。

 

 「ピューティア大祭に、作品を出さないように言われたわ。

  アルテミスが小うるさいから、アポローンさんも、泣く泣くアタシの出品を止めざるを得なくなったそうよ」

 

 「それだけでは、ないのではなくて?

  わたくしがアポローン様からうかがったのは、お姉さまは、スケジュール管理から、疲れた時のマッサージまで、雑用を一手に引き受けてくださるとのことでしたわ」

 

 「そんなこと言われてないし!

  ねつ造すんな!

  なんで、アタシがあんたの雑用なんてしなきゃいけないのよ?」

  

 「さっそくですが、ノブナガ・オダの資料が欲しいですわ。

  ランマル・モリとの悲恋を構想していますの。

  わたくしは、日本に取材旅行に来たのです」

  

 「あんたの通俗的なお涙ちょうだいの安っぽいメロドラマのハナシなんか結構よ!

  だいたい、その二人とも、男でしょお?

  恋愛が成り立つわけないじゃないの!」

  

 「実は、ノブナガは、女だったのですわ」

 

 「いまどきそんなの、古臭いわよ!」

 

 「そして、ランマルも女だったのです」

 

 「だから、それも、おかしいでしょおお?

  ふりだしに戻さないでちょうだい!

  とにかく、アタシの話を聞きなさい、いいわね?」

 

 「聞くだけなら、構いませんけれど」

 

 「お姉ちゃんのお話を聞くということはね、いい? その内容に絶対服従する、ということを意味するのよ!

  わかったわね?

  ……アタシ、あんたの手伝いをする気ないから。

  ピューティア大祭までに、今の作品を何とかでっち上げて、匿名希望で出品するつもりだからね。

  アポローンさんには、なんかうまいこと取り繕っておいてちょうだいよね」

 

 「横暴ですこと。

  アポローン様にチクっちゃおうかしら」

  

 「……あぁん?」

 

 「いいえ、独り言ですわ。

  挿入歌にはオーボエなんかを使ってみようかしらって、考えておりましたの。

  こんなかんじで。

  

  しのう~は、いちじょ~う

  し~のびぐ~さには、なにを~しよ~ぞ~

  いちじょう~かた~りお~こすよ、のぉ~

  

  いかがですかしら?」

 

 「あんたには、歌詞なんて必要ないわね。

  ずっとボエ~って歌ってりゃ、ちょうどいいわ。

  ジャイアンみたいに」

  

 「必要以上にハイになって、はしゃいでりゃ、ギャグになってると思ってるような、センスないお姉さまの冗談って、ぜーんぜん笑えませんわね!」

 

 「はしゃいでねーよ!

  センスあるよ!

  ……たぶん」

  

 ああ、つい弱気になってしまったわ……。

 これも、アポローンの奴が、アタシを全否定したから……。

 って、人のせいにしてもむなしいだけよね。

 

 いいわ。

 アタシは、アタシの思うままに全力を尽くすまでよ。

 見てらっしゃい!

 


 なんとなく、って感じで大事な話を始める主人公(仮名)ちゃん。

 でもでもぉ、ちゃんと計画練ってからにしたほうがよかったと思うけど、平気かしら……?

 

 「というわけで、今度さ、屋外で結婚式あるから、来てよ」

 

 『へ?

  ケッコン?

  誰が?』

 

 「え? そ、そりゃ、トモダチだよぉ。

  も、もちろん、わたしも脇役(仮名)も知ってる人。

  ででも、それより、弁当持ってく。

  わたしが作った奴、おせちみたいな箱、十個分くらい」

  

 『ガチで?

  ヤベー、超食いて~。

  でもさ、いつやるんだよ? 結婚式』

  

 「え? す、すぐだよ、すぐ。

  ていうか、三日……そう、三日後!

  ね、すぐでしょ?

  三回ねて、三回起きたら、もう当日だし」

 

 『おー、三日後なら空いてるわ。

  バイトあるけど、ボサるから、問題なしな。

  てか、どこ? 結婚式場』

  

 「う、う~ん? しきじょお……式場はぁ……。

  こ、公園だよ、コーエン!

  知ってるでしょ?

  ほら、手賀沼公園! 幼稚園とか、小学の遠足とかで行ったよね?

  そこそこ!

  お金もかからないし、オープンスペースを堪能するっていう。

  すっごい、おしゃれ?」

 

 『へ~! やるじゃん!

  おっと、やっぱ手ぶらじゃまずいよね?

  カネ、どんくらい持ってきゃいいんだよ?

  いわゆるコーデン? ゴレーゼン? とかそうゆうの。

  いくら?』

  

 「え、いや、いくらって言われても……?

  相場はどんだけとか、ぜんぜん知らないっていうか、出したことないっていうか、って、そうじゃなくて。

  あれだよ、つまり、後で……後で回収するから!

  当日はいらないから!」

  

 『ふーん、そうか~!

  ビンボーにやさしいね。

  うれしいな~タダメシ、楽しみだなぁ、オイ!

  ん? そういえば、何時からだよ?』

  

 「はぁー……どのくらいがいいんだろうねぇ……。

  ま、春先だから、お昼前くらいかな、でも起きれなかったらサイアクだしな……。

  よし、10時!

  10時集合!」

  

 『りょーかい!

  現地集合? 一緒に行く?』

  

 「あ~、も~! よくわかんないけど、それは後で決める!

  と、とにかくそーゆーことだから、ちゃんと来てね?

  わたしは忙しいから、もう切る。

  じゃね!」

  

 えらく、なりゆき任せで決めちゃったわねえ?


 口内洗浄液でうがいすると、ついうっかり飲みそうになってしまうのよね。だって、あれって妙な甘みがあるから……。でも、飲んじゃいけないものって、つい飲みたくなってしまうものなのよ。昔、シャボン液を一気飲みしてひどい目に会ったことを思い出すわぁ……。

 ところで、次回の主人公(仮名)ちゃんは、どーなっちゃうのかしらね……?


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