ん~☆ジャンピングニャン
「で、でも、侮辱なんかしていませんわ。
ちょっとインタビューしただけで……そりゃたしかに、両者に感情的なもつれが生じたことは、事実ですけど」
「本当の問題は、侮辱うんぬんじゃない。
自分の愛人のもとに、女が訪問したことを、姉が知ったことだ」
「というと……アタシがウィルビウスと関係を持ったと、疑ってらっしゃるんですの? アルテミス様は」
「それが真実かどうかは、重要じゃない。
誤解を招くようなマネをしてしまったこと自体が、失敗だ。
ウィルビウスが、ケガをしていたから、何があったのかを、姉は問い詰めたそうだ」
「アタシも、ずいぶんやられたんですのよ。
一週間は、あざが消えなかったわ」
「キミのケガなどは、どうでもいい。
インタビューするなら、まずはじめに、こちらか、姉に許可を取るべきだったんだよ。
目的や質問内容を明らかにしてな。
それが無理なら、終始穏便に済ませて、周囲にわからないようにするべきだった。
ウィルビウスだって、何があったか、姉にはなかなか白状しなかったそうだぞ。
誰にも知らせず、キミと二人で会うなんて、軽率だったと理解してるんだろうな」
「アタシも、考えなしだったのは認めます。
でも、ウィルビウスだって、いきなりアポなしの突撃インタビューを受けるのを、快諾したんですのよ。
どうしても嫌なら、門前払いすればよかったのに。
きっと、ヘンな下心があったんですわ。
だって、アタシ、セクハラ受けましたもの!
ケンカの原因は、それですし」
アポローンさんから、薄く笑ったような気配が伝わってきたわ。
きっと、アタシの傍若無人な愚行(←自分でもわかってんのよ!)を、あざ笑っているのね。
とほほ……調子に乗って、無茶しなきゃよかったわ……今になって、大後悔時代よ……。
1492(いようくに)だと、コロンブス……。
って、アタシはブスじゃないわ!
ウィルビウスの奴、アタシを喪女呼ばわりしやがって……クソが!
世の中には、いくら真実でも、面と向かって言ったらダメなことがあるのよぉ!
↑か、哀しい……。
どっぷり感情移入して、涙やよだれを、たらたら垂らしながら、歌い上げた脇役(仮名)ちゃんから、マイクが主人公(仮名)ちゃんに渡ったわ。
「さあって、久々に、ちょーっとリミッター解除して、歌っちゃおっかな。ボフォッ(←マイクに息がかかった音よ)」
ついに、真打登場! みたいな意気揚々とした態度で、お友達のふたりを睥睨する主人公(仮名)ちゃん。
これほどまでの自信に裏打ちされた選曲で、果たしてどんなオチを付けてくれるのかしら?
これで、いままで続いたカラオケ三部作の是非が決まるわ……!
イントロ、スタート!
♪「アイム、スキャッ○マーン」♪
って、コラァァァァァァァァァァァァァァァ???
歌詞、書けねーだろーがぁ!
いや、書いてもいい、書いてもいいよ?
でも、ほとんど擬音ばっかになっちゃうじゃないのよっ!
そんなの何百行並べても、どうしようもないでしょ!
この作品は、アヴァンギャルドなポエムじゃねーのよ、あくまで大衆的な分かりやすいコメディとして作ってんのよぉ!
誤解を招くといけないから、言っておくけど、スキャットマン・ジョンさんはいいのよ?
むしろ、彼はすごく立派なアーティストなの。
幼少時から、吃音症というハンデを抱え、周囲の無理解に傷つきながらも、ジャズピアニストとして身を立てて、一生懸命、他の人とコミュニケーションを取ろうと努力したのよ。
でも、やはり会話をするときに、吃音が出てしまうことが、心の重荷となり、ドラッグにはまってしまったこともあったようね。
そんな中、仲間のミュージシャンが、ドラッグが原因で死亡。
一念発起して、ドラッグを絶つことに成功したの。
しかし、現実逃避の手段を捨てたことにより、自らの吃音に対する引け目が、いっそう彼を苦しめたわけ。
おりからの不況で、仕事も不安定になった彼は、ついに自らのハンデを武器にして、スキャットで構成された歌を構想、発表したのよ!
なんと、デビューは御年、52歳。
自分のように吃音症で悩む人たちに勇気を与えるために、あえて自ら歌うことにしたそうよ。
そして、世界的な人気を博しながらも、57歳で惜しまれながらこの世から去ったわ……。
うう……泣ける話よね……。
まあ、せっかくだから、他に主人公(仮名)ちゃんが歌っていた曲を掲載して、カラオケ三部作は終わりとするわね。
なんか、深夜のバラエティ番組(憤り新党? かなんかよ)に取り上げられていたアニメだそうよ。
って、アニソンかよ……。
ま、こんなのよ、うろおぼえだけど。
♪♪♪
ん~☆ジャン○ングニャン
(アニメ「スー○ャット」劇中歌)
(著作権侵害の恐れがあるため、作者が削除しました♡)
♪♪♪
あはは、もう笑うしかない、内容のなさよね。
でも次回は、きっと新展開するわ。
アタシの立場も、どんどんまずいことになりつつあるしね……。
ようつべのCMで思い出したけど、大人になったノ○タくんと、シズ○ちゃんのも、キッツイわよね~。なんだか似たような発想のCMは何年も前から、あるわけでしょう? それに、あのキャラクターたちの未来っていうのは、もう大まか決まってるわけじゃない。この先どうなるか? なんてサスペンスもないし、今風の大人にしただけってカンジだしね。
ところで、次回の主人公(仮名)ちゃんは、どーなっちゃうのかしらね……?