カラオケじゃダメなのかな?
突然の、アポローンさんの発言に、アタシは目が点よ。
ボーゼンとするアタシを、全く気にしないで、アポローンさんは、給仕の人にカードなんか渡しているわ。
でも、でも、ほんとにどうなってんの?
どうしてアタシが、ピューティア大祭で棄権して、妹のメルポメネー、しかもムーサイの中じゃ悲劇担当の手伝いをしなきゃならないわけ?
こんなの、何もするなって言ってるようなもんじゃないの!!!
わからない、なにもわからないわ、理由が、せめてワケを知りたい、アタシの何がいけなかったのかしら……?
でも、聞いたからって教えてくれるような相手じゃない、アポローンさんっていう、冷酷な人(いえ、神よね)は……。
でも、聞いてみる?
不興を買うのを承知で、このアタシを簡単に踏みにじって、しかも、なんの痛痒も感じていない冷血漢に?
ああ、無駄よ。
一切が、無駄なことなのよ。
理由を知ったからって、どうだって言うの?
神々の下した決断は、B級の神であるアタシには、到底くつがえせるものじゃない。
だったら、おとなしく従ったほうがいいじゃないのよ……。
いいえ!
いくらアポローンさんだからって、このまま、あっさり引き下がるなんて、できないわ!
「どうしてなのですか? わかりませんわ。理由を教えてください」
アポローンさんは、お茶をすすりながら、まるで何も聞こえなかったかのよう。
うう……。
お、重い。
重すぎるこの沈黙……。
アタシが緊張でカチコチに固まっていると、アポローンさんは、手持無沙汰のような、気のない様子で、口を開いたの。
「ウィルビウスだよ」
「うわわ」
おどおどしながら、ガベジくんから離れる主人公(仮名)ちゃん。
そして、改めて、ガベジくんをまじまじと見たの。
カオは濃くはないけど上品で、スタイルに至っては文句ないわ。
細くて、しかも何より、主人公(仮名)ちゃんより、あたまひとつぶんは、余裕で背が高いのが、もうサイコー!
(ヤバい……! わたし、初めて人を好きになっちゃったかも……!)
すっかり感動する主人公(仮名)ちゃん。
そこへ、脇役(仮名)ちゃんが、
「これからどこ行く? とりあえず、そこ入る?」
駅前の居酒屋を指さしているわ。
でも、主人公(仮名)ちゃんは、脇役(仮名)ちゃんの背後に、こそっと体を隠したわ。
当然、大きい主人公(仮名)ちゃんは、小さな脇役(仮名)ちゃんに隠れるはずはないけれど。
不思議そうに主人公(仮名)ちゃんを見る、脇役(仮名)ちゃん。
「何やってんだよ? どこ行く?」
ガベジくんも、首をかしげているわ。
でも、主人公(仮名)ちゃんは、つい、うつむいてしまっちゃう。
「うん……どこでもいい……」
やっとのことで、答えたわ。
一方、ガベジくんは、
「むん……まだ夕食食べてないから……ファミレスにしたほうがいいかな。と思う」
「え? ファミレス? 今の時間じゃ、あんまり騒げねーじゃねーかよ!
うちら、今日はパーッとやりたい気分だからさ!
おい、主人公(仮名)も何とか言えよ!」
でも、主人公(仮名)ちゃんは、うつむいたままで、ふにゃふにゃしてるわ。
「うん……ファミレスも、いいかも……」
「おいおい! さっきは騒ごうかっつってたじゃん?」
「そだね……飲み屋も、いいよね……」
「どっちだよ?」
どうしちゃったのかしら、主人公(仮名)ちゃん?
続きは、次回でね!
こないだ、ゲオでDVD借りに行ったら、なんだかレジで早口でペラペラしゃべってると思ったら、このDVDには日本語吹き替えがありません、って話だったわ。慣れ過ぎてて、意味わからなくなってる決まり文句って、わけわかんないわよね。
ところで、次回の主人公(仮名)ちゃんは、どーなっちゃうのかしらね……?