ガベジ登場
服屋に入ったアポローンさんは、静かによってきた店員に、短くなにか指示したわ。
で、棒立ちのアタシは、店員さんに手取り足取りで、いろんな服やらクツやらをとっかえひっかえされていたの。
店を出た時には、アタシはすっかり、アタマから足まで、新調されていたわ。
しかし、新しいお洋服って、なかなかよね。
布地の感触が、さわさわしてて、くすぐったいようような、ヘンなカンジ。
でも、アタシの荷物は、どうしたのかしら?
お店の人に預けたまま、アポローンさんにくっついて、そのまま出てきちゃったけど……。
おそるおそる、尋ねてみるアタシ。
「あの、アタシの服は……?」
「店に処分してもらうよう言ったよ」
う……。
結構大事なものだったんだけど……。
ああ、アタシのメガホン……。
地元の駅前で、主人公(仮名)ちゃんと、脇役(仮名)ちゃんは、ガベジくんを待っていたわ。
脇役(仮名)ちゃんは、背中を丸めて、地面に座り込んでいるわ。
そのそばで、主人公(仮名)ちゃんは、周りを見ながら、人待ち顔。
「あいつ、ほんとに来んのかよ」
くわえタバコで言う、脇役(仮名)ちゃん。
「たぶん。きのう約束したし」
「わざわざ、うちらに会いに来るって、ヒマ人かよ。大学生のくせに」
「ヒマなんじゃない」
実は、主人公(仮名)ちゃんは、ガベジくんが来る目的を、まだ脇役(仮名)ちゃんに言ってなかったのよね。
(まあ、そんなこと言うと、脇役(仮名)はひねくれものだから、逆ギレか、逃げ出すに決まってるし。
とりあえず、ほっとこう)
と、主人公(仮名)ちゃんは、考えたのよ。
「そーいえばさー、カレシ、どうしてる?」
なにげなく、質問する主人公(仮名)ちゃん。
脇役(仮名)ちゃんは、ものすごい怒りの形相で、主人公(仮名)ちゃんをにらむわ。
「あ? 知んねーよ。別れたっつったろ? 昨日の電話で言ったじゃねーかよ」
「ごめんごめん。仲直りは、無いんだ」
「ねーよ! あいつ、ケンカしてから、家に一度もかえってこねーし、一回も連絡してこねーし、もう二日も姿見てねーよ。
どーせ、別の女んとこに行ってんじゃね?
いまさら、どーでもいいけどさ」
「そっか。じゃ、今日は派手にやらかすか~」
「おっ、いいね! ガベジも一緒に、ひさしぶりに騒ごーぜ!」
と、その時、二人の前に、すらっとした背の高いモデルみたいなイケメンが現れたの。
二人に向かって、笑顔を作ったわ。
きょとんとする二人に、イケメンは言ったの。
「むん……久しぶり。一目でわかったよ。時間通りだよね。と思う」
「うそ??? もしかして」
「オメー、ガベジかよ?」
二人は、びっくりして大声を上げたわけ。
ダイエー行ったら、サービスの日に楽曲がかかっているわよね。木曜モックンデー……。あの歌詞って地味にヘンじゃない? 会いに来て、とかメガホンで応援とか、なんなのかしら、一体? ところで、次回の主人公(仮名)ちゃんは、どーなっちゃうのかしらね……?