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ガーベッジ・コレクション

 あら、日比谷駅ってところまで来たわ。

 でも、まだ先があるのね。

 てっきり、日比谷ってところが終点だとばかり思い込んでいたわ。

 特に根拠はないんだけど、やっぱり大々的に路線の名前になってるんだから、もっとインパクトのある順序になってると思うじゃない、ね~? って、なんの根拠もないんだけどね。

 

 さて、続きよ。

 

 ……

 

 失意のアルテウスは、トロイゼーンを去り、自らを救ってくれたピタロス一族のもとへ身を寄せた。

 

 一方、やむなき理由によって、アルテウスが捨てたアリアドネーは、クレーテーを追われ、ナクソス島で一人の娘を生み落した。

 

 これが、クリューソテミスである。

 

 アリアドネーは、出産で命を落とし、クリューソテミスは、アリアドネーの最期をみとったデュオニューソスと共に、レームノス島へと移った。

 

 長じて、デュオニューソスから、自らの出自を聞くに及んで、クリューソテミスは、クレーテー島を支配していたミーノース王の一族を破滅させた末に、母を悲嘆の挙句、死に追いやった父に、深い恨みを抱いた。

 

 母の復讐を遂げるため、クリューソテミスは、レームノス島を治めるヘーパイストスの手になる、必ず仇敵を討ち果たす、両刃斧ラブリュスを授かった。

 

 この強力な武具は、仇敵を斃すまで、持ち主を死から守り、目的を果たすや凱歌を上げる魔法が掛けられていた。

 

 その頃、ミーノース王の禍々しき力の象徴でもあるミーノータウロスを殺害し、アテーナイを救済した英雄は、アテーナイの僭主、イテコン将軍の息子、テーセウスだと世間では言い伝えられていた。

 

 そのテーセウスは、政争に敗れ、アテーナイから追放され、リュコメーデース王の治める、スキューロス島へと逃げ延びていた。

 

 クリューソテミスは、スキューロス島へと渡り、リュコメーデース王の娘、デーイダメイアと勇者アキレウスの子、ピュロスの愛人におさまり、テーセウスを殺害するよう、そそのかす。

 

 たくらみによって、丸腰のまま、断崖絶壁に追い詰められたテーセウスは、命乞いをする。

 

 そこで、クリューソテミスは、自分の父が、目の前にいるテーセウスではなく、世間から忘れ去られた英雄、アルテウスであると告げられる。

 

 信じないクリューソテミスは、斧をテーセウスに振るうが、血にまみれた魔法の武具は、しかし、沈黙を保ち続けていた……。

 

 ……

 

 うーん……なんつーか、いきなり別のストーリーが始まっちゃうのね。

 

 しかも、父親をぶっ殺そうとする娘に、魔法の武器をあげちゃうレームノス島ってのは、かなりアナーキーなところとしか思えないわ。

 とはいえ、そこは、アマゾーンゆかりの地でもあって、レスボス島とも並ぶ男嫌いの土地柄だから、ひょっとしたらありえないでもないかもしれないけど。

 

 義父のデュオニューソスにしたって、マイナデス(狂信女集団)を配下に持つ、理性を捨てた狂乱、酩酊状態の主でもあるわけだしねえ。

 

 っと、いまは、霞ヶ関駅に着いたわね。

 

 やれやれ、続きはまた次回でね。


 『むん……やめたほうがいい。と思う』

 

 「え? そう? ガベジ的には、ダメだと思う?」

 

 『むん……絶対にダメってことじゃない。でも、良くもない。どちらかというと、やらないほうがいい。と思う』

 

 主人公(仮名)ちゃんは電話中よ。

 

 床にだらっと寝そべりながら、スマホでしゃべっているの。

 相手は、中学時代のお友達、ガベジくんよ。

 ちなみに、ガベジっていうのは、あだ名なの。

 

 主人公(仮名)ちゃんと、ガベジくんは、クラスメイトで、席が近かったから、よくお話しする間柄だったけど、中学卒業で、高校が別になったから、縁が切れちゃったのね。

 

 でも、主人公(仮名)ちゃんの知り合いでは、一番頭が(正確には学校の成績が)良かったから、なんとか相談相手になってもらおうと考えたのよ。

 電話番号は、脇役(仮名)ちゃんからゲットしたの。

 

 ガベジくんとお話しするのは久しぶりだったけど、すぐに、昔みたいに、気軽に話せるようになったわ。

 主人公(仮名)ちゃんも、ガベジくんも、あんまり細かいことを気にしないたちなのよね。

 

 「そうかあ……。せっかく考えたけど、いまいちだったかあ……。

  なんでダメなのか、理由、教えて」

 

 『むん……主人公(仮名)は、アーティストの名前をたくさんあげているけど、それ、本当に全部聞いているの?

  疑わしいな。 と思う』

 

 「うん。一回も聞いたことない。

  名前は全部、スマホで調べた。主に、ウィキペディアとか」

 

 『むん……一回も?

  ビートルズなんて、かなり有名だけど、聞いたことないはずないだろう。と思う』

 

 「そうかなあ?

  有線とかでそれっぽいのは聞いたことあるかもしんないけど、そもそも全く曲を知らないんだからさ、誰のだかさっぱりだよね」

 

 『むん……論外だね。

  いっちょかみですらないって、ある意味、その度胸に感心してしまうな。と思う』

 

 「でもさー、なんかカッコよくない?

  だいたい、昔、ガベジに借りたマンガのまねなんだからね?」

 

 『むん……それって、パクリだよ。

  それに、オマージュ的な命名も、そもそもオマージュの対象についての知識がないんだから、ただの知ったかぶりだね。

  みっともない。と思う』

 

 「そーかな?

  でも、マニアックなの付けたら、ばれないでしょ」

 

 『むん……ばれるよ。

  たとえば、主人公(仮名)が、”Perfume”とつけたとする。すると』

 

 「あー、それは知ってるって! CMで見た。踊りがうまいんだよね!

  ビ・ス・コ~♪」

 

 『むん……話の腰を折るのは、変わっていないね。

  とにかく、”Perfume”と付けたとする。すると』

 

 「せ・い・さ・ん~す~る、お・と・も・だちっ♪

  し・か・え・し~て~る、お・て・も・やんっ♪」

 

 『あーーーもーーーー!

  タイムタイムターーーーイムーーーーー!』

 

 「あーでた。ガベジのタイム。

  久しぶりだから、ちょっとひいた」

 

 『むん……言わせといて、ひくなよ。

  とにかく、”Perfume”と付けたとする。すると』

 

 「ビ・ス・コッ♪」

 

 『あーーーもーーーー!

  タイムタイムターーーーイムーーーーー!』

 

 「きゃひゃひゃ! ごめんごめん。

  もう言わない。許してオクサマ」

 

 『むん……懐かしいフレーズを使うね。もう邪魔しないでくれよ。

  とにかく、”Perfume”と付けたとする。すると……』

 

 「なんで、黙んの」

 

 『むん……いや、ちょっと警戒して。

  また来るんじゃないかと、身構えてしまった。と思う』

 

 「ひどーい。センセー、ガベジくんが、わたしのこと、信じてくれませーん!」

 

 『むん……ほんとに、懐かしいフレーズをぶっこんでくるなあ。

  すまんすまん。じゃあ、”すると”、から続けるよ。

  すると、きっとPerfumeが好きな人は、きっと主人公(仮名)も、好きなんだなあ、と勘違いしてしまうわけだよね。

  で、Perfumeについて一緒に語り合いたいと思うだろう。

  例えば、一番好きな曲は、なんなの、とか、尋ねてきたりするかもしれない。

  そんなとき、主人公(仮名)は、なんてこたえることができるんだ? と思う』

  

 「ぜぇーんぜん、わっかんないよね~」

  

 『むん……だろうね。

  とすると、相手はがっかりしてしまうわけだ。

  ポーズかよ! うそつきだな、こいつ。

  なんて、傷ついてしまうかもしれない。と思う』

  

 「おーげさだなあ。でも、一理ある」

 

 『むん……わかってくれてうれしいよ。

  だから、スタンド名とかいって、安易に洋楽の名前をつけて、ましてや名乗る、なんてのは、本当によしたほうがいいね。と思う』

  

 「そっか~。じゃあ、なんて言えばいいのかな?」

 

 『むん……ていうか、それって、主人公(仮名)の、気のせいじゃないのかな。と思う』

 

 「えっ……ウソ? ガチで??」

 

 『むん……主人公(仮名)は、いささか独りよがりな思い込みが激しいところがあったように記憶しているけど、今回のも、それに近いんじゃないのかな。もしかしたら、もっと深刻な、アレ、かもしれないけど。と思う』

 

 あれ? 他の人から見ると、主人公(仮名)ちゃんは、ちょっと頭の調子がおかしい人に見えているのかしら?

 なんだか、かわいそうねえ(笑)


 このあいだ、非常食のカップめんの容器に穴が開いて、中がかじられていたのよ! しかも、動物の毛みたいなのが、ちらばってて、アタシ、震えてしまったわ……こういう場合、どうすればいいのかしら? ところで、次回の主人公(仮名)ちゃんは、どーなっちゃうのかしらね……?

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