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一冊目・小さなせむしの少女 リヒャルト・レアンダー

 リヒャルト・レアンダー 「小さなせむしの少女」


 レアンダーは知る人ぞ知る童話作家です。また私が尊敬してやまない作家であります。翻訳文でしか読めないですがもっと年をとって暇を持て余す、ご隠居さん? になれたらぜひ原著で読みたいと思っています。

 彼の作品は「小さなせむしの少女」を筆頭に「錆びた騎士」「小さなオルガン」などあります。多作でもなく、小作品ばかりですが童話史に残る珠玉の作品だと思っています。

 そのわりには彼は全く有名ではありません。理由は以下ではないかと勝手ながら推測している。


一、 彼の作品には、あからさまな黒人への蔑視表記があります。当時のヨーロッパの時代背景ではたとえ知識人であってもかような表現をするのも仕方がないのかもしれない。実は皮膚が黒い黒人がよいことをして、段々と皮膚の色が白くなる童話まであるのだ。今の時代でこれを書いたらおそらく出版すら許されないだろう、映画にしたらやりようによっては芸術作品になるかもしれないが人種差別阻止団体が黙っていないと思う。


二、 またせむし、めくら、びっこ……作品上に必要な表現ではあってもタブーな言葉が結構ありそれがストーリー上でこの言葉がないと成立しないような話が多い。これまた現在では致命的で世間的にこの作品いいよと広めにくい。

 また私がこうしてプッシュすることで、私もそういう蔑視表現を容認するのかという狭量な読者さんから攻撃を受けるかもと思ったりする。個人的な話で恐縮だがアマチュアでも小説を書いていることを公言していると、一部の人は私のことをこういう人なんですね、こんなこと考えてるのね? とか勝手に私の人生ドラマを作ってこういう考え方はいけないと説教をされたり、架空の話なのにあの時こうすればよかったのにとか言われたりする。小説上の話を現実にあった私の過去だと勝手に思い込んでおられるのだ。(←正直頭にきますけどこれも通らないといけない道かと我慢して決して反論せずにこやかに聞くように努力しています。ネット上でも最近ちょっとありましてね、むかつきますけど我慢してます)

 あとレアンダーの作品はシリーズものとかではないので、出版社も儲からないと思っているのではないか。映画には詳しくないが探せばあるかもしれない。また精霊など出てくるものはバレエ化にはいいかもしれないと思うのもある。


 以下は翻訳家が書かれた彼の伝聞です。

 作者リヒャルト・レアンダーはドイツ人、本職は作家ではなく外科医だった。彼が生きていた時代は十九世紀なので常に戦争が背景にある。千八百七十年独仏ドイツ・フランス戦争があって戦場に軍医として従事したがその時にはすでに外科医としての地位を確立していて大学教授並びに病院の要職についていたという。

 これら一連の作品は実は自分の子供のために書かれたという。童話を書いたのは戦争中に長く家庭を離れて従軍しないといけなかった時代だ。家庭に残してきた自分の子供のためにだけ書いたのだ。まさか出版されるとは思ってはいないかったに違いない。百年以上も時間がたって遠い日本の国の片隅であなたの作品が好きだとネットに書くヤツが出てくるとは彼も思ってはいないだろう。

 軍医としての職務も忙しかったには違いないがそれでも無から創作をしてこれだけ上質な童話を残していけるのは尋常な才能ではないと思う。

 作品に対して上記のことを書いたが、ある種の人種差別も当時の常識がそうであったという哀しむべき世界観ではあるが、彼の作品に対しては許してやってほしいと思う。彼には子供たちが無垢に見えていたに違いない。終始文章にはやさしい思いやりの心が流れていると感じる。翻訳家さんの実力もあるのだろうが詩情溢れるよい文面だと思う。


 私が彼の作品を知ったのはもう数十年前のことだが何気なく読んだこの小さな本に衝撃を受けた。

 全般にキリスト教系統の匂いはするが全く説教がましくないし、子供にコビうってるところはみじんもなく、高品質、良質、上品な童話だと思った。

 彼の研究本などは寡聞にして知らず、もう少し突っ込んで他の作品をも読んでみたいと思いつつもそのままの状態である。

 レアンダーの作品はやさしく思いやりある心豊かな人たちや精霊が出てくる。彼の実在した当時の世界は戦争で殺伐としていた。戦時中に病院の外科医として名をなしても当時の医学では抗生剤も何もなく瀕死の重病人を目の前で診てもやれることも少なかったのではないか。彼がもしこの想いを随筆にでも残していたならさぞや名文だろう。多忙な日常から離れて深夜遠く離れた自分の子供を思いやり手紙で童話をこつこつと書いていく。周囲の人を起こさぬように音を立てないように配慮しつつペンにインク壺を何度となくひたして白い紙を横文字で埋めていくのだ……彼の子供は大人になっても父親の手書きの童話は忘れられなかったに違いない。

 そこから出版にいたり全世界に広まる過程も知りたいがそれもレアンダーの名前が有名ではないので全くわからない。

 かくして日本の片隅で生息している在万年なろう生息底辺アマチュアの私に読まれてここに書かれるに至る。

 


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