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1029年03月26日
年中、暖かな風を感じる街ですが、最近はさらに暖かさを感じてきています。
魔王様の街ではどうでしょうか?
まだ肌寒いかもしれませんね。
でも、こんな時には爽やかな風を感じたいと思いませんか魔王様?
間違っても薄汚れた泥水や、鼻の曲がりそうな異臭は嗅ぎたくありせんよね!
もう聞いてくださいよ!魔王様!
ここ一週間ほどはずっと一般生活区の清掃を手伝っているのです。
結構、水路の水が濁って詰まっていたりするので、そこを掃除していたのですが、本当に汚いですよ!
ゴミとかも色々混じっていますし、本当「清掃協会」は何をしていたのかと怒りが沸いてきますね!
でも、私がもっと言いたいのはですね魔王様!
なんで私も清掃を手伝うはめになったのかってことですよ!
あ、一応言っておきますが、別に清掃が本当に嫌で嫌で仕方ないわけではないのですよ。
ただ、不満がありましたので、ちょっと魔王様にもこの気持ちを知って頂きたいのです!
まずは、なぜ清掃の手伝いをするようになったのかですが、そのために私の仕事を少し説明しますね。
私が定常的に行っている仕事なんですが、街で不足している人手や困っている出来事を調べるというものがあります。
調べた情報から使えそうなもの選び出してから、街で管理している「請負勘定所」へと情報を渡します。
渡した情報を「請負勘定所」の担当者が街にとって必要なものをさらに選び出します。
そして選ばれた情報は依頼書という形で作成され、協会や組合などに仕事を渡すのです。
そう、私がやっている仕事は、協会や組合に仕事を与えることだったのです!
ふふ、協会も組合も私がいないと困ったりするものなのですよ!
なーんてね、ちょっと自慢気に書きましたが、情報機関組合や情報屋の中ではかなりポピュラーな仕事となります。
私以外にも情報を持ってきますので、結構競争率が高かったりするのですよ。
そんな仕事を「シンデレ」の中では任されているのです。
というより、この仕事を多めに行っていると言った方が正しいかもしれませんね。
そして、一週間前もいつも通り情報を集めて「請負勘定所」へ訪れたのです。
基本的に私が集める情報は、一般生活区や職人区でちょっと困っている人のお手伝いをするものです。
大体は人手が凄く必要になることや、協会や組合に仕事が割り振りやすいものの情報が多いものが持ち込まれるのですが、これはちょっと気に入りません。
魔王様は知っていますでしょうか?
本来の「請負勘定所」は街で管理するべきものであり、人々の助け合いを行うためのものということを。
手の空いた住人や、力の有り余っている若者達に効率良く仕事を割り当てるものだったと。
しかし、この「ティルファ」では協会や組合が多々ありますので、仕事はそちらへと基本的に流れていきます。
「請負勘定所」では簡易的な依頼書を掲示板に貼り付け、そこから仕事を選んでもらうというものです。
基本的に仕事は平等に受けることが出来るものなのですが、協会や組合に仕事が流れるとそうはいきません。
協会や組合に所属していないものは仕事を受けることが出来ないのです。
別に協会や組合に仕事が流れるのが決して悪いとは思いません。
それぞれの得意分野で仕事を受けるのですから、効率も良くなることでしょう。
協会や組合は信用を大事にするべきものなので、仕事に手を抜くこともあまりありませんので、安心して仕事も任せられます。
とは言っても、元の情報を渡す時から協会や組合へ渡しやすい情報を選ぶのは違うと思うのです。
大体の情報機関組合や情報屋は情報を受け取ってもらうために分かりやすいものを持っていきます。
誰に任せれば良い仕事なのか、とにかく人手が多く必要となる仕事などです。
自分が持ってきた情報が選ばれるようにするための工夫だということは分かるのですが、私はこれは違うと思うのです!
協会や組合に仕事が流れているため、「請負勘定所」には依頼書は少ない現状となっています。
私はもっと街の住人同士で助け合いが必要なのではないかと思うのです!
そのために少しでも「請負勘定所」で仕事を受けることが出来るように、そちらで選ばれるような情報を持っていっているのです!
魔王様!私は間違っていませんよね?
あー、申し訳ございません魔王様。
話が大分外れてしまっていましたね…
もうしばらくお付き合いくださいませ。
そう、話を戻しますと、一週間前に情報を「請負勘定所」に持っていた時のことです。
以前報告させて頂いたように、清掃組合「ホウチリ」が一般生活区の清掃を任されています。
彼らは頑張っていますが、なかなかすぐに全てが綺麗になるわけではありません。
一般生活区の住人はそれは分かっているのですが、情報機関組合の調査員などが話を聞けば、やはり汚れの話となってしまいます。
正直、それは分かっている情報なのだから不要だと思うのですが、みんなその情報を持っていくのです。
「請負勘定所」の担当者も清掃組合が今活躍していることを知っているので、どんどんその仕事を振ろうとするわけです。
でも、清掃組合はあまり余裕がない状態のため、仕方なく依頼をこなすためにも人を雇い入れているようです。
魔王様の援助があるとはいえ、あのペースは結構ヤバイのではないかなっと個人的には思っております。
元々、清掃組合は少人数で仕事を行っていたので、多くの人を管理するのもどこかで問題が発生しないかと心配でもあります。
魔王様の名に傷がつかないかだけ、少しだけ心配なのです。
それで、いつも通りに「請負勘定所」で掲示出来るような情報を渡していたところに、なぜか私に清掃の仕事を受けないかと話が来たのです。
「シンデレ」で仕事を受けろと言うことかと聞いてみれば違ったのです。
私が持ってきた情報を依頼書にしてあげるから、清掃の仕事を受けろと意味不明なことを言ってくるのですよ。
酷いと思いませんか?
「請負勘定所」の担当者がそんなことを言って良いものかと思いましたよ。
どうも、「請負勘定所」の担当者から見ても清掃組合が無理しているように見えたので、手伝ってほしいということです。
いえ、手伝うことは良いんですよ?
私だって「ティルファ」に住んでいるのですから、街を綺麗にすることに抵抗があるわけではありません。
ただ、おかしいですよね?
一応、依頼書が作成されるので報酬はありますが、それとこれは別だと思いませんか?
ということで、不満を覚えていたわけです。
私は大分軽く見られているのでしょうか?
魔王様はどう思いますでしょうか?
<追伸>
あ、報告の冒頭で分かると思いますが、依頼は受けましたよ。
一人だったら受けなかったのですが、広げない翼先輩が今回は一緒でしたので。
先輩は結構お人よしなので、こういう時に簡単に受けてしまうんですよね…
先輩の良いところなんですが、今回はやめてほしかったです。
埋もれた蛙