4
1029年03月13日
あー、なんてことなんでしょう!
魔王様、今日はとても素敵な日です!
まるでフワックロに抱き抱えられたようにです。
私の大好きな"広げない翼"先輩が帰ってくるんですよ!
それはそれは喜ばしいことだと思いませんか魔王様!
もう待ちきれないほど楽しみなのです。
っと、申し訳ございません魔王様。少々、興奮し過ぎてました。
何のことかさっぱりでしたね。
お久しぶりです魔王様、あなたの調査員「埋もれた蛙」です。
さて、いきなりですが本題に入らせてもらいます。
魔王様は「ティルファ」の行商についてはご存知でしょうか。
知っているかと思いますが、念のために軽く説明させて頂きますね。
商業都市「ティルファ」はこの街を市場とし、多くの商人や人々を集めて商売を行っています。
街と街の通り道が交差している場所といえば良いでしょうか?
人通りが多く、川が近いこともあり、船を使った交易も可能となっているのです。
そのあたりは街の設立者がかなり考えていたようですね。
商売を仕切っている「商売協会」では、持ち込まれたものをなるべく高く買い取り、商人が「ティルファ」に定期的に集まるように仕向けているようです。
腕の良い職人を職人区に住まわせ、良い衣服や装飾品を生産していますので、それらを求める商人も多いですけどね。
基本的には持ち込まれた商品で商売を行っているのですが、たまに他の街へ行商することがあるのです。
まだ「ティルファ」のことを知らない地域があるかもしれないので、地名度を上げるためというものです。
確かにそれが名目ではありますが、実際は職人達が見聞を広げるために街の外へ出たいからなのです。
見たことのないものに触れるというのは素敵だと魔王様も思いませんか?
それにいくら「ティルファ」が大きい街とはいえ、たまには違うところに行きたくなるものです。
ああ、もちろん職人だけではなく、私達のような組合員も参加することは可能なのです。
まぁ、私達の場合は、この機会に外の情報を仕入れることが目的でもありますけどね。
行商は大体3ヵ月から6ヵ月程度の期間を色んな街を巡り歩くことになります。
道ならない道を進むこともありますので、あまり時間は読めないそうです。
あと、行商にはもう一つ目的がありまして、街道を整理するというものもあります。
街道が整っていないことは「ティルファ」にとっては死活問題にもなりますので。
それでですね、4ヵ月前の11月に行商に行っていたメンバーがこのたび帰ってくることが分かったのです。
実に久しぶりでしたので、少し興奮してしまったということのなのです。
今回の行商には「シンデレ」の先輩である広げない翼先輩が行っていたのです。
広げない翼先輩には色々お世話になっておりますので、また会えることが嬉しく思うのです。
ちなみに行商は結構人気がありますので、参加者は限られてしまいます。
出来れば私も参加したかったのですが、組合につき一人という制限があるので、残念ながら参加出来ませんでした。
今度参加することがあれば、一番に魔王様に連絡しますね!
それで行商が帰ってくるのは今のところでは、3日後くらいになるそうなのです。
広げない翼先輩ももっと早く教えてくれたら良いのに!
久しぶりにお話できる内容を考えていましたら、もういてもたってもいれなくなりまして!
この気持ちを魔王様にも伝えたくて、報告を書かせてもらいました!!
ふふ、久しぶりに腕によりをかけて料理をしなくてはいけませんね!
先輩が好きだったスープとか、ふふ、魔王様なんだか楽しいですね。
料理のことを考えていたら、楽しくなってきましたので、今日はここまでとさせて頂きます。
お身体には気をつけてくださいませ。
<追伸>
お気づきかもしれませんが、"フワックロに抱き抱えられたように"も私達が利用
している隠語となります。
フワックロのふわふわとした羽に抱きしめられたら、心地よくて幸せに感じる
って意味です。
正直あまり使い道はない言葉ではあるのですが、私はフワックロも好きだし、
結構気に入っているのですよ。
魔王様もあのふわふわとしたフワックロは好きでしょうか?
埋もれた蛙
<補足>
フワックロ:ふわふわとした羽を持つ鳥。まんまるくて可愛い。