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1029年07月03日
快晴で気持ちの良い日は、仕上げたばかりの衣装に袖を通したような爽やかな気分にさせてくれます。
こんな日に良い仕事が舞い込んで来れば、臆病なルゲラッタだって地中から這い出てしまうほどなのですよ!
雑踏が激しくなりつつある街中だって、遠く離れたみたいに気にならないのです!
私達、情報機関組合「シンデレ」は波に乗ってきているのではないでしょうか!
何だかそんな気がするのですよ魔王様!
さて、少しばかり疲れているせいか気持ちが昂ってきていますが、是非とも魔王様にお伝えしたいことがあります!
2日ほど前のことになるのですが、組合長よりあるものについての調査を指示されたのです。
光に当たり続けることによって、様々な色へと変化される"ドルペトロス"について、性質や流通を調査しろといったものでしたね。
ふふ、魔王様?この依頼を聞いた時にすぐに分かりましたよ!
ああ!この依頼は魔王様が私の報告書を読んで頂いてから出してくれた依頼なんだって!
駄目な調査員のギョージが見せびらかしてきたあの石だとすぐに分かりましたからね!
正式な依頼は誰からとかは詳しくは聞いてはいませんが、そんなことは分かりきっているのですよ!
魔王様、あなた様の調査員「埋もれた蛙」が"ドルペトロス"についての報告をさせて頂きますね。
少し黒ずんだ青色をしている"ドルペトロス"ですが、光を当て続けることによって少しずつ緑色へと変わっていきます。
その様子が神秘的に感じてくるようでして、とても綺麗に見えるみたいですね。
そう聞きますと、現物を見てみたくあるのですが、残念ながらそれらは手に入れることは出来ませんでした。
「ティルファ」やこの近辺では出回っていないものとなりますので、手に入れることは難しいようなのですよ。
それだけ綺麗なものであれば首飾りなどの装飾品にでもすれば、良い商品になりそうだと思いませんか?
でも、そこが難しいところみたいなのですよ魔王様!
光を当てていれば綺麗な色となるのですが、光が当たってなければ元の色へと戻っていくようなのです。
元々の色は黒ずんだ青色ですので、それらで首飾りなどを作ってもあまり見栄えが良いものにはならないのかもしれませんね。
なかなか面白いものだと思うのですが、もったいなく感じてきます。
では、"ドルペトロス"は基本的にどんな風に扱っているのかですが、儀式用のものとして使っているようです。
"ドルペトロス"がとれる周辺では、大きな神殿があるようでして、そこで使われているみたいですね。
神殿には所々に数所くぼんだ台が置かれているようでして、そこに小指ほどの大きさに加工された"ドルペトロス"が置かれているようなのです。
それぞの台に日の光が当たるように作られているようでして、その光景は神秘的で心が洗われるようだったと、見たことのあるという商人が語ってくれましたね。
神殿にある"ドルペトロス"は綺麗に磨かれているみたいでして、より美しく見えるんですって!
ああ!それは見てみたいと思ってしまいますよね!
熱弁してくれた商人がその神殿の場所を良く覚えてなかったのが、残念でなりませんよ!
そんな素敵なところは是非とも魔王様と一緒に行ってみたいものですね!
ふふ、少し想像してしまいました。
ああ、そんな素敵な"ドルペトロス"ですが、もっと可能性があると思うのです!
きっと魔王様もそう感じたからこそ、今回の依頼を出したことでしょう!
「ティルファ」の職人達が"ドルペトロス"を手にすることができれば、きっと色んな商品ができるのではないかと思うのです。
どうにかしてこの辺りでも手に入れる方法がないか、調査を続けていきますね。
アマンズ商隊あたりなら取り扱ったりしないかしら?
また、進展がありましたらご報告させて頂きますね!
以上で、魔王様より依頼頂いた内容の報告となります。
お役に立てたでしょうか?
私としては早く調べることができましたので、満足のいくできだったと思います!
駆け巡ったことで疲れた足も、心地よく感じてくるものですね!
あと、この報告書は組合長の報告書よりも早くあなた様の手に届いていることだと思います。
やはり一番目は私の報告に目を通して頂きたかったため、知り合いの運び屋に少しばかり無理をお願いしてしました!
ご了承くださいませ!
<追伸>
今回の"ドルペトロス"は、ギョージから聞いた時は見落としてしまっており、
申し訳ございませんでした。
本来であれば、あの時点で魔王様のためにも調査するべきことでしたね!
より、魔王様の調査員として今後は注意して行動をいたします!
もっと魔王様のための情報をご提供させて頂きますので、楽しみにしてくださいね!
埋もれた蛙
<補足>
・ルゲラッタ
地中に潜って生活するネズミ。
夜行性であり、昼間は地中で寝て過ごしている。
夜に地上で活動している姿を見かけることがあるため、
光に弱いとも言われている。
見つかるとすぐに地中に逃げ、滅多に地上に出ないとも
言われているため、臆病なルゲラッタと称される。
地中深くに潜むため、無理矢理に地上に追い出そうとする
には、巣を根気よく壊さないといけない。
ルゲラッタの巣壊しは重労働である。




