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                                                                  1029年06月02日






上手く獲物を捕らえた狩鳥は素早く立ち去り、後姿すら追えなくするべきなのです。

そこで自慢気に獲物を見せびらかす狩鳥は未熟な三流といったところでしょう。

油断した姿を見せる愚かな狩鳥は、せっかくの獲物を奪われるか、自ら価値を落とすほどに汚してしまうものなのですよ。

失った獲物を嘆き、哀れに小さく鳴く狩鳥を嘲笑うように多くの狩鳥が鳴きかけるものです。

私達、情報機関組合の調査員はこれらを笑い、そして恐れるものです。


さて、今回もメイズラン商隊を調査した内容を報告させて頂きます。

前回の報告で少しだけ連絡しましたが、最近いつもとは違う積荷を持ち運んでいるという噂があります。

通常はウネクワやスラームアサの糸がほとんどのようですが、どうもそれ以外もあるとのことなのです。

もちろん、メイズラン商隊は大きな組織なので、さすがにウネクワとスラームアサ以外を取り扱わないことはないでしょう。

ただ、新しい商品を取り扱っているのであれば、その情報は素早く手に入れておきたいものですね。

魔王様の気持ちは私も痛いほど良く分かります。

そのために必要な情報を仕入れてきましたので、ご利用くださいませ。


それで気になる積荷の内容ですが、"宝石時計"というものみたいなのです。

細かくいうと、"宝石時計"を作成するための部品を最近取り扱っているようです。

しかし、魔王様は"宝石時計"をご存知でしょうか?

どうもまだ完成されていない商品のようでして、まだまだ出回っていないようなのです。

時刻を調べる道具のようでして、手で持ち運べる大きさのもののようです。

聞いた話では球体の形をしており、球体の中には色んな宝石を散らばらせて配置しているとのことです。

使い方は良く分からないのですが、球体の一部を取り外して日を当てることで利用するみたいです。

日の当たり方かなんかで、時間に適した宝石が光に反射してその色で時刻を判断するようなのです。

扱うのが難しそうなので、私としては何の役に立つのかは良く分かりませんね。

ただ、運び屋などにそれとなく話を聞いてみると、持ち運びが便利なことが良いみたいですね。

旅をしている身としては、どこでも時刻が調べられるのが良いようなのです。

そう考えますと、完成すれば結構世の中に出回るのかもしれませんね。


まだまだ"宝石時計"は完成していないようですので、完成するまでの援助をメイズラン商隊は行っていると考えるとよろしいかと存じ上げます。

聞いただけでも難しそうだったので、時間が掛かっているのかもしれませんね。

宝石の配置や色合いなどがどうとか言ってましたが、良く分かりませんね。


そんな"宝石時計"を作成している職人がいる街ですが、「シェローム」というところみたいです。

鉱石がとれる街のようでして、"宝石時計"は上手く鉱石を利用するためのものなのでしょう。

さすがに職人の名前までは確認が出来ませんでした。

申し訳ございません。


「シェローム」はラルグシラ川の上流に位置する街でして、メイズラン商隊の進行に含まれているところみたいですね。

もともと訪れていた場所でもあるので、新しい商品の取引なども効率的に行えることでしょう。

それでですね、最近になって"宝石時計"についての噂が流れたのは、メイズラン商隊がウネクワを取り扱うためにラルグシラ川の上流へと良く向かうからでしょう。

スラームアサを商品として扱う場合は、もっと広く街を廻るのですが、この時期はウネクワを主に扱っていますからね。

もう少し暖かくなった頃にスラームアサを収穫する時期になりますので、まだ商品としてはあまり出回らないものです。


ウネクワを手に入れるためにラルグシラ川の上流へ向かうのですが、生き物のせいかあまり多くは扱えないようなのです。

出来れば生きたまま取り扱いたいみたいなのですが、さすがに長い期間は難しいですからね。

近隣の村や街まで生きたままのウネクワで商売を行い、それからは長く取り扱えるように加工してしまうようですね。

生きたままのウネクワを手に入れようと、メイズラン商隊がラルグシラ川の上流へと向かうと、近隣の街へ人が集まるものです。

多くは新鮮なウネクワを食べようとする貴族や、その貴族らに商売を持ちかける商人と言ったところでしょうか。

活気も溢れるので、近隣の街としては喜ばしいことでしょうね。


ウネクワがとれるところまで向かうとなると、それは大変な道のりとなるようです。

やはり危険も多いようですしね。

なかなか交流の持てないラルグシラ川の上流に位置する村などは、メイズラン商隊を心待ちしていることでしょうね。

日用品や人の移動など、メイズラン商隊がそこで勝ち取った信頼は確かなものになっていると思われます。


そんなメイズラン商隊ですが、この時期はウネクワを扱っているので、基本的にラルグシラ川の上流で行商も行っているようなのです。

ウネクワだけでは心もとないと考えたのか、それとも職人から声をかけたのか分かりませんが、"宝石時計"も合わせて取り扱うことにしたようなのです。

確かに今の時期であれば、連絡も比較的に取りやすいので、新しく手を広げるには良いのかもしれませんね。

魔王様、メイズラン商隊は前を見て、先を進んでいるようなのです。

この情報を是非ともお役に立てくださいませ。


ふふ、何とか魔王様に納得のいく情報を渡すことが出来たと思うのです!

あとですね、一応注意させて頂きたいことがありましたね。

魔王様は援助していない組織となるのですが、情報機関組合「アカスキ」にはご注意くださいませ。

実を言うと今回の情報源はここの調査員から得たものとなるのです。

少し、話を振ってみますと面白いほどに情報を提供してくれましたね。

私としては、メイズラン商隊の新しい商品は結構重要な情報という認識でしたが、彼らは違ったのでしょうか?

それか、同じ調査員として喋り過ぎだと感じましたので、念のために魔王様にお伝えさせて頂きます。

彼らに重要な情報を握らせると思わぬところで漏れてしまう可能性がありますので。


ああ、魔王様は心配していないと思いますが、「アカスキ」からの情報をそのまま信じてはいませんからね。

メイズラン商隊に参加した商人や運び屋は多くいますので、彼らからも情報を得て裏を取っていますので、ご安心くださいませ。


ふふ、優秀な調査員は哀れな狩鳥から素敵な獲物を奪い取ることが出来るというものなのですよ。



それでは、魔王様、今回の報告はここまでとさせて頂きます!

またの依頼を楽しみにしています!





                                                                     埋もれた蛙

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