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どれだけこの時を待っていたことでしょう。

魔王様、情報機関組合「シンデレ」に依頼を出して頂いたようですね。

大変嬉しく思います。


ただ、私はとても悲しくも思います。

私の報告には未だに返答がないことも悲しくありますが、何よりも何故このタイミングなのでしょうか。

魔王様がそんな意地悪をしないことは分かっていますが、よりによって私がいない時に依頼を出さなくても良いではありませんか!

「フユユン」から戻り、意気揚々として「シンデレ」へ向かった時の衝撃は分かりますでしょうか!

私が報告する「フユユン」の状況よりも、大事である魔王様からの依頼内容を組合長から聞いた時は、本当に何も考えられなくなるほどでした!

しかも、既に「シンデレ」の調査は完了しており、報告書も送っているのです!

もう、胸が裂かれるほどの痛みを感じましたよ!

呑気に「フユユン」なんかに行っている場合ではなかったですね!


もう既に魔王様の手元には、我ら情報機関組合「シンデレ」からの報告書が届いていることでしょう。

「シンデレ」の調査員は優秀ですので、きっと魔王様の要望に応えることが出来ていることでしょう。

しかし、しかしですよ魔王様!

せっかくの魔王様からの大事な依頼なので、是非ともあなた様の調査員である「埋もれた蛙」も参加させて頂きたいのです。

遅ればせながらの調査とはなってしまいましたが、私からも報告をさせて頂きます!

急ぎの調査により、手元の報告書よりも多少精度が低いかもしれませんが、ご了承願います。


今回、私達「シンデレ」に依頼された内容は『メイズラン商隊』についてとお聞きしています。

現在『メイズラン商隊』が運送している積荷の内容について確認したいようですね。

『メイズラン商隊』といえば、ラルグシラ川周辺では大きく幅を利かせている商隊と言ってよいでしょう。

大きな町を転々としていますので、各地での影響力も大きいものと思われます。

商業都市「ティルファ」でも定期的に訪れるので、親しみやすいものとなります。

大きな商隊となりますので、多くの商人は移動する時は一緒に行動するのがほとんどですね。

共に行動する商人が多いせいか、『メイズラン商隊』が訪れた町には様々な商品が飛び交って、街が活気に満ち溢れると言いますね。

私も『メイズラン商隊』が来ると少しわくわくしてしまうものです。


とても多くの商人らを率いて街を転々としている、そんなイメージが『メイズラン商隊』に持っているものと思われます。

ただ、それだけ認識されていますが、どんな商品を主に扱っているかはあまり知られてはいないことでしょう。

多くの商人が商隊と一緒に行動をするため、『メイズラン商隊』が主に扱っている商品が分かりにくいのです。

様々な商品を扱う商人と常に一緒に行動しているので、仕方ないのかもしれませんね。


聡明な魔王様はそこに目をつけたのでしょうか?

『メイズラン商隊』を主に融資しているメイズラン家も力が大きい貴族ですので、『メイズラン商隊』のことを知っておいても損はないことでしょう。

なかなか知ることが出来ないと思われる『メイズラン商隊』の扱っている商品が分かれば、何かと役に立つ機会があるのかもしれませんね。


さて、そんな『メイズラン商隊』が取り扱っている商品ですが、大きく分けて2種類のものがあります。

1つめは、ラルグシラ川の上流でしか取ることが出来ない"ウネクワ"となります。

ラルグシラ川の上流しか生息していませんので、上流に位置する街まで進行する必要があるようですね。

まぁ、そのための商隊なのでしょう。

私としてはあまり好まないのですが、食しても、薬としても用途が多用と言われるものなので、求める方は多いものでしょう。

「ティルファ」でも、ごく稀に"ウネクワ"を商品として持ち込む商人がいますが、大抵はすぐに売り切れてしまいますね。

あんなクネクネした生き物の何が良いのかは私には分かりませんが、人気商品と言っても良いものでしょう。


あ、魔王様がお好きでしたら、先程の失言は忘れてくださいませ。

人それぞれ好みがあるものなのです。


2つめですが、これは「ティルファ」でも多く買い取っているものと思われます。

スラームアサと呼ばれる植物から作られた糸なのです。

丈夫な糸を作ることが出来ると聞いたことがありますので、「ティルファ」の職人達は好んで買いますね。

スラームアサは衣服を作るにも適していますが、日用品や紙などを作ることにも良いみたいなのです。

私も紙にはこだわりたいのですが、さすがにスラームアサで作られた紙を手にしたことはありませんね。

魔王様もご存知だとは思いますが、凄く高いのですよ。

いつか重要な時にでも利用してみたいので、手に入れたいのですが、なかなか難しいものです。


スラームアサは"スラーム"という地域で生息しているらしく、そこはラルグシラ川を下った先にあるようなのです。

『メイズラン商隊』の融資者であるメイズラン家も、確かあの辺りに居を構えていたと思います。

もしかしたら、スラームアサはメイズラン家が独占しているのかもしれませんね。

そこは随時調べていくのも良いかもしれません。

ふふ、調べていくことが増えていきますね。

でも、魔王様のお役に立てるのであれば、私にとっては喜ばしいことなのですよ!



魔王様が確認したかった『メイズラン商隊』の積荷についてですが、"ウネクワ"と"スラームアサの糸"が答えとなります。

求めていた答えを私は導き出すことが出来たでしょうか。

ただ、どうも最近は違う積荷があるような噂を聞きましたので、もしかしたら魔王様が確認したい内容はこちらかもしれませんね。

しかし、申し訳ございませんが、こちらはなかなか情報が掴めず時間がかかりそうなのです。

今回の報告はあまり時間も置きたくなかったので、中途半端かもしれませんがここまで報告とさせて頂きます。


また何か追加情報があればお伝えさせて頂きます。



<追伸>


 今回の報告書は急ぎのため、運び屋にも早めに送るように伝えています。

 先日、少し浮かれた報告書を送っていますが、もしかしたらそれよりも早く届いているかもしれません。


 前後どちらになるか分かりませんが、前に送った報告書は処分してくださいませ。

 今回の依頼を考えると恥ずかしく感じますので。


 よろしくお願いいたします。


                                                                     埋もれた蛙


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