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手足が痛くて仕方ないですが、ハーブ園の形が整ってきたのではないでしょうか。

土も十分に解れてきており、柔らくて良いものです。

これならきっとハーブも立派に育つものでしょう。

と町の人と頷きながら、リリーズクビィを飲むのも楽しいものです。

フユズの実で作られたリリーズクビィは少し苦いですが、疲れた体には丁度良いものです。

話し合いながら作りだした"花壇"というものも立派なものが出来た気がします。

綺麗に整えることが出来たので、とりあえずは満足をしているのですよ。


魔王様、早いもので「フユユン」に着いてから6日も経ってしまったのです。

作業は進み、完成が見えてきたせいか、町の人々は多くの笑顔を浮かべてきていますね。

元々、陽気なところがある町ですが、よりそれが感じられるものなのです。

新しいハーブ園に大きな期待を浮かべていることなのでしょう。


さて、そんなハーブ園なのですが、少しずつ分かってきたのですよ。

ふふ、調査することに多少時間が掛かりましたが、しっかりと調べ上げることが出来たのです!

魔王様、ハーブ園には"花壇"というものが必要となるというのは、前の報告書でも書かせて頂きました。

その"花壇"ですが、どうもそこに様々なハーブを植えるためのものらしいのです。

薬士さんが描いている図を眺めていると、部分的に区切っているように見えたのです。

そこから解析したところ、ハーブの種類を分けて植えるのではないかと思いついたわけなのです。

もちろん、町の人達からも聞き取りを行いまして、より確実なものとなったのですよ!

薬士と仲が良いという若い男が言うには、薬士は花壇に様々なハーブを植える時に分かりやすくすることが出来ると言っていたようですね。

恐らく同じものを固めるという意味なのでしょう。

効率化を考えると確かに良いのかもしれませんね。

ハーブを育てる時に、どんな効果があるのか楽しみではありますね。


残念ながら、私は「ティルファ」に戻りますので、その光景を眺めることは出来ないでしょうが。

ただ、「フユユン」へまた訪れた時の楽しみが出来たと考えれば、素敵な気がしてきますね。


あと、薬士さんについてですが、分かってきたことがあります。

私としては、的確な指示や今後のことも見据えることが出来る先見の目を持っていらしたので、熟練の技術を持つ中年の男性かと思っていたのですが、違ったようなのです。

若い男が言うにはですよ、見た目は女にも見えるような青年だったということなのです。

薬士さんが若い男性だったとは、少し驚いてしまいましたね。

「フユユン」に訪れた時も、町の人達を診てあげて、薬を出してあげている姿は堂々としていたらしいです。

そんな姿は凛々しかったみたいなのですが、ハーブ園の案を出した時は結構おどおどとしていたようなのです。

あまり自信がなかったのでしょう。

ただ、とても真剣に考えて発言した内容でしたので、町の人達は快くその案に乗ったようなのです。

少しの間で人の心を掌握する薬士さんの信頼は素晴らしいものだと思います。

私達、情報機関組合の者であれば、人の心を掌握する技術を褒めるところですが、恐らく狙ってはやっていないでしょう。

そうだとしたら、人望というのでしょうか?

なかなかの人望を備えているのかもしれませんね。


薬士さんは勤勉でもあったみたいで、「フユユン」に豊富に生えているフユズの実にも興味があったみたいです。

色んなことを聞いて勉強していたようですね。

少し実を頂いて、薬の調合にも励んでいたみたいなのです。

フユズの実は皮が厚く、湯につければそれは甘酸っぱい香りが漂ってくるのですが、薬に香りづけが必要なのでしょうか?

残念ながら、その時に調合した薬は薬士さんが持っていったみたいでして、どんなものを作ったのかは分からなかったのです。

しかし、気になりませんか魔王様?

今回は会えませんでしたが、薬士さんに会えた時に確認してみたいと思うのです。

確かハーブの種を用意すると言ってたみたいなので、「フユユン」に居ればいずれ会えるでしょうが、さすがにずっと居るわけにはいけませんからね。


そういえば、ハーブの種と言えば、薬士さんは西側へと種を求めて行ったらしいのです。

大きな町で種を買うと思いますので、もしかしたら魔王様の町に訪れているかもしれませんね。

ふふ、私より先に魔王様が会ってしまうのかもしれませんね。

その時は私に教えて頂けると大変嬉しく思います。


冗談ですからね、魔王様!

自分で調べてこその調査員ですから。

でも、魔王様からのお手紙は頂けると本当に嬉しく思いますけどね。


さて、話は戻りますが、薬さんが書き起こしてくれたメモについてです。

ハーブの資料は貴重だと思いましたので、町の代表者にお願いして写したものを一部頂きました。

写しの作業はジロナにも手伝ってもらいましたので、実は数が少し多くなっていました。

それもあってか、快く一部を手に入れることが出来たのです。

ハーブの資料なんて、きっと 広げない翼先輩は興味を持ってくれるものと思います。

少しだけ楽しみでもあるのです。


あと、丁度良い機会でもありましたので、ジロナの写し作業はシゲタエーム語でやってもらいました。

翻訳しながらの作業は難しいでしょうが、きちんとやってくれますので、ジロナはやはり教えがいがありますね。

あと、さすが職人の娘といったところでしょうか。

私よりも絵を写すのは早くて綺麗なのです。

私も器用な方だと思うのですが、そこはかないませんね。


と魔王様、「フユユン」の調査も終わりましたので、そろそろ「ティルファ」へと戻りたいと思います。

まだハーブ園の作業は残っていますが、残る人達だけでも大丈夫でしょう。

明確な期間などを設けていないので、途中から参加しやすく、そして途中で抜けやすい仕事なのですよ。

そのたびに賃金を払っていてはお金が大分かかると思うのですが、町からは快く出してくれました。

少し聞いてみると、フユズの実で稼いだ金を全てこのハーブ園つくりに注ぎ込んでいるようなのです。

確かに、フユズの実は「ティルファ」や多くの町で欲する人気商品ではあります。

結構な額を手に入れることは出来るでしょうが、しかし、それは「フユユン」の全財産と言えるでしょう。

ハーブ園に「フユユン」の命運をかけていることを知り、大きく驚いてしまいました!

魔王様!まさかそんなことは想像できないと思いませんか!

あんな人が集まらなさそうな依頼状を作成するくらいなので、そんなに力を入れていないのかと思っていましたよ!

実際に来てみてそれは違うことは分かりましたが、それでもです。


少し心配にもなりましたので、町の代表者に依頼状を作成する時は「シンデレ」に一度訪れてくださいと伝えておきましたよ!

ふふ、営業活動もしっかりやっているのですよ。

まぁ、私もハーブ園は楽しみにしていますので、成功させたいという気持ちが強いですけどね。

これからも力になってあげるのですよ魔王様!



「フユユン」は食べ物も美味しいので、是非訪れてくださいませ!

それでは魔王様、今回の報告は以上とさせて頂きます。

そろそろ、荷造りもしないといけませんので!

その前に3人で浴場に行きますけどね、「フユユン」の浴場は絶品ですから楽しまないともったいないのです!

フユズの木が浴場の近くに生えていまして、そこには豊富なフユズの実と甘酸っぱい香り。

ええ、とても素敵な体験が出来るのですよ!

普段では感じることのできない濃厚な香りを楽しみながら…


ああ、アルメーネとジロナに置いていかれそうなので、ここで失礼いたしますね。



<追伸>


 慌てていたせいで最後の文章が少しおかしいですが、気にしないでくださいませ!


 また「ティルファ」に戻りましたら連絡させて頂きますね!




                                                                     埋もれた蛙

<補足説明>

 ・リリーズクビィ

  果汁を煮詰めた飲み物のこと

  水などで薄めて飲む


 ・フユズの実

  甘酢っぱい香りのする果実。

  皮は厚く、湯につけると若干柔らくなる。

  皮を体にこすりつけて体を洗うのが定番。

  果実は小さく、苦いため、そのまま食べる人はいない。


  果汁を絞り、他の果汁を少しだけ混ぜてから煮詰めた

  リリーズクビィは少し苦味を感じるジュースとなる。

  「フユユン」くらいしか作らないものでもある。


  「フユユン」特有、フユズの実料理は他にもある。

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