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1029年05月22日
新しいことに皆で取り掛かることはとても素敵なことだと思うのです。
ハーブ園なんて誰もつくった経験がないものであれば、なおさらそう感じるものではないでしょうか。
皆であれこれと悩んで取り組み、少しずつ進んでいく感覚は誰でも興奮を覚えるものだと思うのです!
新しいものなどの手助けをしたい私としては、そんな光景を見ることが出来ること自体が喜ばしいことなのです。
ハーブの素晴らしさは良く知っていますので、より今回の体験は有意義に感じたのかもしれませんね。
魔王様、前回連絡させて頂いた「フユユン」のハーブ園について、調査を行って参りましたので報告させて頂きますね!
目的は当然ながら、ハーブ園つくりの現状把握や薬士についてを確認するためです。
薬士について「ティルファ」でも軽く確認してみましたが、あまり情報は集まりませんでした。
薬士と直接やり取りのした売買組合でも、病が流行った時に有効な薬を手配してくれたことや、ハーブを常備するようにといった助言のことくらいしか知らないのです。
基本的には既に確認出来ていた情報しか集まらなかったわけなのです。
ますます「フユユン」での調査が重要だと感じたものです。
「フユユン」へ向かうための準備は2日ほどかけてから出発をしました。
隣町なので、依頼を受けてすぐに向かっても良いのですが、多少は準備がありますからね。
仕事道具は「フユユン」に揃っているみたいなので、何か特別なものを用意する必要はありませんでしたけどね。
「シンデレ」への許可とかそういったものです。
組合長も調査については納得して頂けましたので、快く許可をくれました。
話が分かる方なので、こういう時はスムーズに進めることが出来るのは良いことです。
まぁ、話の分からない 絡まない蔦あたりは少し不満な声をあげていましたけどね。
「フユユン」はフユズの木々が豊富な町なので、浴場にも力を入れていたりします。
「ティルファ」の浴場とは違った楽しみが出来る場所でもあるのですよ。
そのためか、絡まない蔦としては羨ましく感じたのでしょう。
仕事なのに何を考えているでしょうね、そうは思いませんか魔王様?
大体、朝の3刻程度で辿りつけるほど近いのですから、個人的に行けばよいだけなのですよ。
さて、快く許可を頂いて「フユユン」へと向かったわけですが、安全面を考えて影が薄く染まるころに出発しましたね。
この辺りでは基本的に危険な獣は夜行性なので、このくらいの時間帯に移動することが好ましいのです。
今回は3人だけの移動でしたので、慎重に行動することは悪くはないものです。
そうなのです、今回の依頼を受けたのはアルメーネとジロナと私の3人だけなのです。
といっても、何回も依頼を出しているみたいなので、それなりの人数は既に「フユユン」で仕事しているらしいとのことですが。
ああ、ちなみにジロナですが、職人区に住んでいる衣装職人の娘さんです。
まだ若いのですが、語り話の会にも積極的に参加しているほどに勤勉なのですよ。
やはり職人を目指しているのでしょう、シゲタエーム語を覚えようとしていますね。
私も少しですが教えたことがありますが、飲み込みが早くて教えやすかったですので、なかなか優秀だと思っているのです。
今回の依頼については、私が情報収集しているところを偶然見かけたみたいでして、そこでハーブに興味を覚えたみたいですね。
肉体労働になるので少し心配ではありますが、活発な子でもありますし、大丈夫でしょう。
あ、魔王様?もしかして、お前の方が心配だとか思っていませんよね!
魔王様に心配されるのはとても嬉しいことですが、体力が特別ないわけではありませんからね!
情報収集の基本は足なので、体力はそれなりだと思いますよ。
早めに出発すれば早めに辿りつけますので、時間的に余裕が出来るのは良いのですが、朝が弱い方には厳しいかもしれませんね。
しかし、獣は馬鹿に出来ませんので、魔王様も是非覚えてくださいませ。
腕に自信があったとしても、覚えておいて損はありませんので。
ただ、神樹祭の前であれば、実はあまり気にする必要がなくなったりしますけどね。
そうですね、大体来月の下旬あたりからが比較的に安全になるのですよ。
神樹祭の巡礼に向けて、危険を排除するために周辺の獣狩りを行っていますので。
獣狩り後は外に出るのが安全へとなりますので、時間の自由がきくようになるのです。
それでも、夜の移動はやめた方が良いとは思いますけどね。
ああ、話がそれてしまいましたね!
それでですね、魔王様!
「フユユン」はとても良いところなのですよ!
「フユユン」の周辺にはフユズの木々が豊富に生えておりまして、様々なフユズの実が木々を色付ける景色は見ていて飽きないものです。
時期によっては実がなっていない木もありますが、それは時期を変えるとまた違った楽しみが出来るというものなのですよ。
町の中でも所々にフユズの木がありますので、町の中を歩くだけでも十分に目や香りで楽しむことはできるので、お得な感じがしますね。
少し登った高い位置に小さな広場があるのですが、そこから眺めるフユズの木々は私がお勧めしたい景色となります。
訪れるたびに足を向けてしまう場所なのですよ。
魔王様も機会があれば是非一度見てくださいませ!
そんな「フユユン」に着いたのが昼前だったのですが、多くの人達は起きたばかりの人が多かったですね。
町の人達は少しのんびり屋さんが多いのかもしれませんね。
丁度良くハーブ園に向かう人達が準備しているところで合流出来ましたので、のんびり屋で良かったのかもしれませんね。
せっかく早めに着いたのですから、仕事にはその日から参加したいものです。
事前にアルメーネから聞いていた話だと、ハーブ園は少し山へと入っていく必要があるみたいなので、3人だけで進むのは避けたかったのです。
アルメーネは場所を知っていると言っていましたが、まだ山道も整備が終えてないと思えますので、慣れた方々と一緒に行動したいものなのですよ。
まぁ、合流出来なかったとしても薬士のことを調べることは出来ましたけどね。
ええ、今思いついたわけではありませんよ?
ちゃんと計画に入れていましたので、ご安心してください!
さて、注目のハーブ園なのですが、予想通りの整備がされていない山道を向けた先にありました。
フロズの木々を抜けた先に、柵で囲まれたハーブ園の予定地がありましたね。
近くには休憩場と倉庫代わりになっている簡易的な小屋が1つあるだけです。
元々開けていた場所を利用したのでしょう。
木々を切り落としていたのは、精々2本くらいでしたね。
丁度良い場所を見つけることが出来ていたみたいです。
無理に開墾すると手間も時間も大いに掛かりますからね。
ハーブ園を囲っている柵はどうも完成しているようでして、今は土を耕して整地する作業のようでした。
所々に草根が混ざった土が掘り起こされていましたね。
これは結構な力仕事でしたよ魔王様!
もう、1日目から腕が、体が痛くてどうしようかと思いましたよ!
あと、「ティルファ」から依頼を受けた人達が時々薬士の書き記したメモを確認しながら、作業を進める感じでしたね。
作業をしながらメモを触るので、土で大分汚れてしまっているのが気になりましたけどね。
まったく、読めなくなったらどうするのでしょう。
考えが足りない行動をしているのが、少し怒りを覚えてしまいそうでしたよ!
そのため、早速1日目の作業が終えた時にメモについて町の代表者とお話をさせて頂きました。
元々貸して頂く予定はあったのですが、さらにメモを書き写させてもらうお願いです。
土で大分汚れてしまっていたことは代表者も分かっていたようでして、読めなくなる危険性があることを言いましたら、快く許可を頂くことが出来ました。
ということで、現在はメモを書き写す作業を行っているのですよ!
結構多忙だとは思いませんか?
でも、調査の一環でもありますので、意外と苦にはならないものなのです。
さて、メモですが、紙1枚だけなのかと思っていましたが、全部で4枚までありました。
必要な道具を記載したものと、ハーブ園のつくり方を指示したものとです。
植える予定と思われるハーブの種類や、育て方も書いていましたが、今は特に必要のないものでしょう。
書き写すだけなら簡単だったのですが、図を描いているところが時々ありましたので、それを写すのに時間がかかりましたね。
今後のことも考えて、作業用と予備とで何枚か書き写しておこうと思います。
あと、少ない枚数としても紙束で保管しているのは良くないと思いましたので、綴っておきました。
これでなくすようなことはないと思うのです。
と、ついつい手を出してしまいますね。
まぁ、他にやりそうな方がいないので、仕方ないのかもしれませんね。
あ、あとですね、メモを写していく際に内容を読み込んだのですが、ハーブに詳しくないせいか良く分からないところがありますね。
特に"花壇"というものを細かく説明をしているのですが、必要性が良く分からないのです。
図に起こしてまで書いてあるので、恐らく重要なことなのですが、用途が分かりません。
どうもハーブの種類ごとに区切るのか、分けるのかをしたいのだと思うのですが、てきとうに植えては駄目なものなのでしょうか?
魔王様は何のことか分かりますでしょうか?
いえいえ、忘れてくださいませ。
魔王様に聞くのはおかしいことですね、とりあえずはもう少し読み解く必要があるようなのです。
しかし、個人的には少しどうかと思うところはありましたが、有意義な時間を過ごせていると思います。
単純労働の土の整備ですが、これからのことを考えてかワクワクした表情を見かけることが出来ます。
先程の"花壇"についても、多くの人が考察をして、自分の考えを述べる光景がちらほらと見かけます。
皆さんも良く分かってないようですが、一緒に考えていくのも良いかもしれませんね。
恐らく「フユユン」の人達は薬士から直接説明を受けていると思いますので、聞いて回りたいと思います。
覚えていたら良いのですが。
ここまでが、今回の報告とさせて頂きます。
途中経過報告となりましたが、思った以上に長くなるかもしれませんので、一旦連絡させて頂きました!
もちろん、「シンデレ」への報告もしっかりとしてますからね。
少し日が開くかもしれませんが、報告はさせて頂きますので、お楽しみにしてくださいませ!
<追伸>
今回は「フユユン」から報告させて頂きましたので、もしかしたらいつもよりも遅く届いたかもしれませんね。
「フユユン」は"運び屋"が常駐しているわけではないので、タイミングによってはなかなか送ることが出来ないのですよ。
いつもと違う"運び屋"を利用していることも影響があるかもしれませんけどね。
なかなか届かない時もあるかもしれませんので、そちらもご了承くださいませ。
埋もれた蛙
<補足説明>
・時間について
日の出を1日の始まりとする不定時法が一般的。
朝2刻で、約3時間程度と思ってください。
・運び屋について
商人の商品や荷物などを請け負って運ぶ人達。
基本的に町と町を往復する生活をしている。
頻繁に街を渡るので、手紙などの配達も一緒に請け負っている。
ただ、手紙などはあくまでついでなので、荷物の運送がない場合は基本的に受け取らない。
よっぽど、礼金の羽振りが良ければ別。




