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1029年05月18日
飛び交う情報の果実を今かと狙う姿は、まるで狩鳥のようです。
「ティルファ」にはそんな狩鳥がゴロゴロといるものだと、そんな話を聞いたことがあります。
確か組合長が言っていた言葉です。
普段は頼りないのですが、この信念?のようなことを言った時はなかなか恰好良かったような気がします。
と組合長のことはどうでもよいのですが、ただこの言葉のことが何となく分かった気がしたのです。
魔王様、あなた様の調査員「埋もれた蛙」です。
前の報告書に少しだけ書かせて頂いた隣町について、分かったことがありますのでご連絡いたします。
なかなか馬鹿に出来ない情報と思いましたので、申し訳ございませんがお付き合いくださいませ。
近ごろのことなのですが、「ティルファ」の請負勘定所に隣町である「フユユン」から依頼が多く来るようになったのです。
内容としては、ハーブ園を作るための労働力とだけ記載されているのです。
今まではこんな依頼はなかったと思いましたので、情報機関組合の調査員としては怪しく感じたのです。
「フユユン」はフユズの実が豊富に生息している町なので、定期的にお手伝いを求めることはおかしくはありません。
ただ、今はフユズの実を収穫する時期ではありませんので、「フユユン」からの依頼は大体来ない時期となっているのです。
そんなところで珍しく「フユユン」からの依頼で、ハーブ園のお手伝いという依頼ですよ!
これはどうみても怪しくて、何かが起こっていると思いませんか魔王様!
そこで、私は請負勘定所の窓口に聞いてみたのです。
話を聞いてみますとね、どうやら前から少しずつ依頼書が届いていたようだったのです。
ただ、内容がハーブの知識に詳しい人や、ギュフロ語の読み書きが出来る人などと良く分からない依頼だったようなのです。
こんなことは情報機関組合にでも依頼をまわせば良かったのに、どうやら担当者はそのまま請負勘定所に依頼を出したようなのです。
ハーブのことが詳しい人なんてそうそういませんので、依頼書に興味を覚える人はいなかったみたいなのです。
そんなところにアルメーネとヴァラムーキという男性がやってきたようなのです。
と言っても、お二人とも請負勘定所には良く訪れるみたいなのですけどね。
頻繁に来るせいか、請負勘定所の窓口を担当している方とも仲が良いみたいなのです。
どうも、私は請負勘定所の担当者とは馬が合わないので、羨ましいような、そうでもないような気分になりますね。
仲が良かったせいか、窓口の方は思わず興味を持ってくれない依頼について愚痴ってしまったようなのです。
そこでアルメーネは初めて依頼書を手にして、依頼を受けることに決めたようです。
アルメーネは「ティルファ」周辺の地理を把握したいと思っていたようで、それの良い機会になりそうだったからと言ってましたね。
ハーブのことはまったく分からなかったようですが、ギュフロ語の読み書きは出来るから大丈夫だろうということでした。
大胆だと思いませんか!
そんな決断が出来るのが、アルメーネの素敵なところなのですよ!
もう一人のヴァラムーキさんですが、彼も同じように依頼を受けたようなのです。
どうも丁度西側に用事があるところだったようで、「フユユン」も途中で通るのでそのついでに依頼を受けたようです。
彼も豪快に笑いながら話してくれましたね。
そうなのです、アルメーネに話を聞こうと探してましたら、ヴァラムーキさんも見つけましたので話を聞いてみたのです。
普段は商人の荷物を町から町へと運ぶ「運び屋」のような仕事をしているようです。
そんな肉体労働をしているせいか、凄くガッシリとした体格をしていました!
力強い姿は見ていて惚れ惚れとしてしまうものですね。
魔王様のあの威圧感を感じるオーラには敵わないと思いますけどね。
いえ、申し訳ございません。
比べるのもおかしいことでしたね。
そんな依頼内容には適しているとは思えない彼らでしたが、「フユユン」の方は快く迎え入れてくれたようなのです。
さて、ここからが本題ですからね魔王様!
どうやら「フユユン」の人達がハーブ園を作るきっかけになったのは、前に「ティルファ」で流行った病のためだったみたいです。
あの時、色々助言をしてくれた薬士が実はあの後に「フユユン」にも訪れていたようなのです。
「フユユン」は山の中にあることもあって、「ティルファ」ほど薬が手に入りやすいわけではありません。
そのため、薬士さんが周辺の土を調べて、ハーブを育ててみてはどうかと言ってくれたようです。
なるべく育ちやすいものについてを書き記してくれたものを残してくれたようなのです。
薬士さんの親切心に喜んだ「フユユン」の人達は、みんなでハーブ園を作ることにしたようです。
ただ、薬士さんが書き記してくれたものなのですが、ギュフロ語で書かれていたのです。
一般的に利用している言語ですが、そもそも「フユユン」の人達は読み書きが出来る人が少ないので、困り果ててしまったようですね。
薬士さんは種を用意するために違う町へと行ってしまっているようでして、聞くことも出来ないようなのです。
薬士さんが帰ってくるまで待っていれば良いような気もしますが、どうも先に準備をしておきたかったようなのですよ。
そして、「ティルファ」へ依頼を出したということみたいです。
アルメーネとヴァラムーキさんは、基本的に必要な道具を揃える手伝いをしていたようなのです。
薬士さんが書き記したものにはそういったことが書かれていたようです。
あとは、ハーブを育てるための土を耕したりですね。
それを少しずつやってきたようです。
ただ、今まで利用していなかった場所を整備するわけですので、準備には人手がいることに気づいたようです。
そこでハーブ園作りの依頼が増えて来ていたわけだったのです。
怪しかった内容について確認が取れたので嬉しくはあるのですが、少しだけ残念に感じてしまうところがあります。
隣町「フユユン」のハーブ園を新しく作るということは「ティルファ」にとってもとても大きな影響があります。
そんな情報をこんな時期まで気づけなかったのは恥ずかしく感じてしまうのです。
週に1度は請負勘定所を訪れてもいましたので、なおさらなのですよ。
本当に情けなく感じてしまうものです。
情報の果実を手に入れて喜んだ狩鳥が横風に叩かれるとはこういうことなのでしょうね。
魔王様のお役に立つためにも、もっと視野を広げていきますのでご期待くださいませ。
<追伸>
聞いた話だけですが、薬士さんはとても素晴らしい人なのだと思います。
ここは是非とも、薬士さんについても調べています。
きっと魔王様のお役に立てる人物なのではないかと思うのです。
あ、それでですね、私も「フユユン」の依頼を受けてみることにしました。
アルメーネと一緒に、ハーブ園作りを手伝ってみることにします。
「フユユン」の人達に色々聞いてみたいですしね。
あと、薬士さんが書き記したものも読んでみたいので。
少し、報告が遅くなるかもしれませんがご了承くださいませ!
きっと役に立つ情報を手に入れて見せますので!
ふふ、「フユユン」に行くのは久しぶりなので、少し楽しみもあります。
埋もれた蛙




