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第一部

ちょっとむかし、ある所に、タム・ジョンイルという少年が、斉藤さんと暮らしていた。



「なぁ、ジョンイル、お前は小池栄子好きか?ん?」


「僕は小池栄子より研ナオコの方が好きだなぁ。だってナオコって超クールじゃん」


「研ナオコだと!?テメェ!!」


「テヘッ」


この日も2人は、小さな小さなプレハブの中で、つまらない話をしている。



「じ、実は俺も研ナオコのこと…大好きなんだ!!今まで隠しててすまんかった!!」


「ふーん」


「ふーんってあんた…ジョンイルのバカ!!そんなに冷たくしなくていいじゃん!!もういいもん!!」


斉藤さんはプレハブのドアを勢いよく開け外へ飛び出すと、ドアを閉めることなく、どこかへ一目散に走って行った。目に刺さるような刺激臭を残しながら。


「斉藤さん…あいつ、米田さんの所に行きやがったな…まぁいい」


ジョンイルはそう言いながらプレハブのドアを閉めると、3ヶ月以上洗わずに穿き続けている、ボロボロで、異臭を放つズボンの右ポケットから、一枚の紙切れを取り出した。


「ママ…」


ジョンイルは紙切れを見つめながら悲しそうにつぶやいた。


この紙切れは、3年前に、ジョンイルが、祖国である北夜鮮から旅立つ際に、母に手渡された手紙だった。


--------

ジョンイルへ


ジョンイル、私はとても不安です。


あなたは私が何度反対しても、僕は黄金の国ジパソグに行くんだと言って聞きませんでしたね。


ジパソグに何があるのかはママにはわからないけれど、あなたがそこで、素晴らしい何かを見つけて、大きくなって帰ってくると信じています。


あなたはまだ13歳だというのに、とても勇敢な子ですね。天国に居るパパも、あなたのことを誇りに思っているでしょうね。


では、くれぐれも健康には気を付けて下さいね。ジョンイル、愛してますよ。







追伸

あなたも年頃の男の子…これがいい機会ですね。あなたに我が一家に代々伝わる、秘密のウェブサイトを教えようと思います。


寂しい夜には是非活用して下さいね。


【URL】

http://otokono.yorokobi.eroero.movies/


「喜びすぎ組のウハウハ秘蔵ムービー集」

というウェブサイトです。天国のパパも良く使ってたんですよ。私という者がありながら。


あなたもきっと気に入ってくれると思います。


ママより

--------




「あれから3年も経つんだなぁ…ママは元気かな。ていうか喜びすぎ組のサイト潰れちゃったみたいだな…最悪。何より最悪なのは…斉藤さんに出会ってしまったことだな。クソッ!!」

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