112. ある男の日記
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ようやく彼女を手に入れることができた。手枷、足枷を掛けられた彼女は初めは戸惑っていたが、すぐに私を嫌悪の目で睨みつけた。初めて会った時よりも大人しくなってしまったが、私がすぐに本来の彼女に戻してあげよう。
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彼女は虐げられれば虐げられるほど、美しさを増す人だ。まずは一日水を与えないでみた。私の手から直接水を与えようとすると、喉が乾いているはずなのに強い言葉で拒んだ。蔑む視線にゾクゾクする。
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彼女は今日も水を飲まなかった。唇が切れ、肌が潤いを失っていた。せっかく美しく整えられた容姿が台無しだ。それでも彼女の高貴さは失われず、私を拒み続けていた。私は彼女の容姿が好きなのではない。その魂の高潔さに惹かれているのだ。
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衰弱した彼女に水を近づけると野良犬のように舌を出して啜った。自分が飲んだ水がどこにあったのかに気付いた時に見せたあの顔が忘れられない。もっと絶望すればいい。もっと絶望して、私を憎んで。
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昼間、水と一緒に薄い粥を与えた。私の手からものを食べることに変わらず抵抗があるようで、私のことを酷く罵った。美しい彼女の唇から発せられる悪態はどうしてこうも私を熱くさせるのだろう。
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昼間、部屋の中から大きな音が何度も聞こえたと報告があった。けれど私が会いに行った時には暴れた様子もなく、壊されたものもなかった。逃げ出そうとしているのだろうか。私が生きている間は逃げ出せることなんてないと、早く気付いてほしい。
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相変わらず部屋からは音がするそうだ。枷が外れるはずはないが、もっと分かりやすく頑丈なものに変えてみようか。ああ、部屋の中、彼女が届かない場所に鍵を置いてやるのもいい。手足が千切れるほど暴れて、それでも届くことはないと知った時、彼女は私にどのような言葉を吐くのだろう。
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部屋の音は止んだようだ。逃げ出すのは諦めたのかもしれない。彼女の侮辱を聞きたくて頬を叩いてみると、彼女は嘲笑した。ああ、思い出しただけでも胸が熱くなる。彼女はこんなところに閉じ込められ、私の手からしかものを与えられなくなった今ですら、私を見下しているのだ。それでもまだ足りない。まだ、憎しみが足りない。
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彼女の頬についた粥を舌で舐めとってやると、彼女は今までに見せたことのない憎悪を浮かべた。私は性行為に興味はないが、彼女を最も美しくするためには必要な行為なのかもしれない。私の愛する人が、私に犯され、孕ませられ、私を嫌忌する。そうして私を。ああ、なんて、甘美なんだろう。
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