星月夜(二人用/性別不問)童話風
配役:星、月
星「ねぇ僕、君に相談があるから聞いてくれるかな」
月「どんなことだろう?」
星「僕、ちょっとだけ移動したいんだけどダメかな」
月「移動か。ふぅむ、良いか悪いかを答える前に理由を聞かせてくれないかな」
星「うん。えっとね……」
月「君はずっとずっと昔から、私のそばで誰かに見つけて欲しそうにしていただろう」
星「うん、僕の気持ちに気付いていたんだね」
月「見つけて欲しいから移動したい、ということでは無さそうだね」
星「うん、違う。見つけて欲しい人が出来たっていうか」
月「見つけて欲しい人ができた、ね」
星「うーん、ちょっと違うかな。気付いて欲しいって言うか、なんて言うんだろう」
月「選ばれたいのではなく、選ばせたいに近い感覚かい?」
星「うん、そう。それ!!
僕をね、見て欲しいんだ。だからちょっとだけ場所を変えたら気付いてくれるかなって」
月「そうか、なるほど」
星「君は誰にでも愛される唯一の存在で、僕は君の近くにいるだけの小さな存在」
月「そう感じていたってことだね」
星「他の星たちからしたら、僕は君のそばにいるから誰からにでも見てもらえる存在なのかもしれない。
でもね、僕が望んだのはそんなことじゃなくて……」
月「ずっと誰かに君自身を見て欲しかった、そういうことかな」
星「そう。
だからといって沢山の人たちが願いを掛けてくれるからと、
たった一瞬の流れる光になるために、まだ僕は消えたくない」
月「君の寿命は、まだあるからね」
星「それにね、僕が見つけちゃったんだ。僕を探し出して欲しい人に」
月「だからその相手に近づきたいってことでいいかな」
星「うん、僕のできることは限られているから。
だから僕が出来る範囲で僕のために行動に移そうと考えて」
月「自分で考えて出した結論なんだね、良い子だ」
星「もう、あんまり子供扱いしないでよ。ところで、ダメ……かな」
月「短い時間で沢山の距離を移動するのは君が疲れるだろう。
だから、すこしずつなら良いんじゃないかな」
星「やった、ありがとう」
月「ただ、仮にわたしがダメと答えていたらどうするつもりだったんだい」
星「少し出す光を大きくしたり小さくしたり」
月「瞬くのも良いね。移動しながら瞬きの練習をしても良いと思う」
星「そうだね!!やってみる、相談してみて良かった」
月「行ってらっしゃい」
誰かに自分の小説を選んでもらいたい、会話劇ならこの役を自分がつかみ取りたい。そんなイメージです