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公式企画に混ざってみた +α

金曜日、放課後、あの空気

作者: あいお明
掲載日:2025/04/20



 家帰ってすぐ、忘れ物に気がついた。


「あちゃー……体操服、置きっぱや」


 (さいわ)い、自転車(チャリ)で5分もあれば学校に着く。(かあ)ちゃんに言って、さっさと取りに行こう。


「……ほうか、ほな気ぃつけて」

「うん。行ってきます!」



 ◇


 学校に着いた。

 市内じゃ普通の、市立(いちりつ)小学校だ。いや、よそがどうとか知らないけど。


 正門よりも近い、運動場(グラウンド)側の門から入って、すぐの所に自転車を置く。

 もう10台分ぐらい先客がいる。といっても、ほぼ遊びに来た奴らだと思う。


「へいパス!」

「OK!」


 まあ、()いてれば広く使えるからな。気持ちは分かる。

 早い者勝ちだし、大体混んでるけど。


 適当に運動場を横切って、4階建ての校舎に向かう。

 上履(うわば)きに履きかえて、「5ー4(ごのよん)」の教室へ。



 ◇


 3階の、西日が()廊下(ろうか)を歩く。

 聞こえるのは、俺の足音と、運動場で遊んでる奴らの声くらい。

 この辺は2階建ての家が多いから、3階でも景色がいいんだよな。


とか思ってたら5ー4の教室。電気ついてる。


 誰かいるな?



 ガラガラ……と戸を開けると、友達のSがいる。なぜか(ほうき)で床を()いていた。

 あ、塵取(ちりと)りもある。


「よおS、居残り?」

「イェス、ウィ~ケ~ン」

「何で大統領なん……?」


 聞きながら、自分の机に向かう。

 話題の外人さんのモノマネ、下手(へた)だねぇ。あと、ツッコミ所は無視で。



「“we(おれら)”? 今お前1人やろ」


とか


「“we can(おれらはできる)”と“weekend(しゅうまつ)”引っかけとん?」


とか、言いだしたらキリがない。



「で、何しとん?」

学級日誌(にっし)書けたから掃除(そうじ)。消しクズぶち()けてもてさぁ」


 ……あぁ、たしかに。Sの机の周りに、消しゴムのカスがポロポロ落ちてる。

 こいつ頭も性格もいいのに、色々雑で抜けてるんだよな。まあ勿体(もったい)ない……

 黒板消すとか、日直(にっちょく)の仕事もちゃんとやってたのに。日誌忘れてたのかよ。


「いや、(ちゃ)うねん。来週までこのまま……はアカンかなぁ? と(おも)て」

「何も言うてないで。で、終わるん?」

「すぐ終わるけど。Kは?」

忘れ物(わっせもん)。これや」


 机の横に()るしてある体操服袋を、右手に持って、高く(かか)げる。

 別に意味はないから、すぐ机の上に置いた。これなら忘れない。たぶん。


 Sのほうは、塵取りで消しクズを集め出した。


「ごみ箱持ってこよか?」

「ありがと、助かるわ」


 ごみ箱といっても、ここのは大きな()(かん)だ。バスケのボールがすっぽり入るくらい。

 何が入ってたんだろうな……?



 ◇


 掃除終わって、片付けた。荷物持った。

 窓閉めたし、電気も消した。来たときよりも、西日がさらに赤っぽい西日が気がする。

 ガチャッ、て音がして、Sが一言。


「後ろ閉めたで。出よか」

「おっけー」


 あとは前の戸から教室を出て、(かぎ)かけて返すだけ。じゃあ廊下に出よう。


「なんかこの空気、ええよな」


 ランドセル、手提(てさ)げ、体操服、給食エプロン…………週末らしい大荷物と、学級日誌を(かか)えたSが言う。

 前の戸の鍵かけながら、聞き返す。


「どゆこと……?」

「何て言うんやろ。周り静かやから、ちょっと遠くの音が回り込んで聞こえよる、この感じ。なんか好きやねん。 ……いや、居残りとか忘れ物は嫌やけどさ」

「あー、そうなんや。分からんでもないけど……好き、とは言えんなー、俺」


 でも面白いよな……とか何とか言いながら、やることやって帰った。



 ◇


 ちなみに次の日、土曜日。

 学校あったわ、参観日。何で忘れてたんだろ?

 とにかく、いつも通り起きて、飯食って登校して。

 席ついて数分後、いつもの時間にSが来た。


「おはよう。普通に学校あったな……」

「まあええんちゃう? 参観日やし」


 傍目(はため)には、変なやり取りだったのか。何も知らないクラスの女子が、俺らの横を通りすぎていった。

 不思議そうに、首を(かし)げながら――――



 お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m



【追記】一部加筆/修正しました

(2025/12/14)



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