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駆け巡る走馬灯

走馬灯です。

それが終わるまでルーナの一人称になります。


31話、入れたかった話を一つ差し込みましたので、それも合わせてお願いします。



「ルー・・ド・・・」


「ルー・・・・ま! ・・・しっかり・・・・て!!」


「ル・・・ルドさま!」


・・・・・・ユフィ・・・・・?

どうした、ユフィ・・・?

・・・・・泣いているのか?

なぜ・・・?

なにがあった・・・?


「ルーナルドさま!」


・・・・・俺・・・・?

俺の名を呼んでいるのか・・・?

まさか、なぜ・・・?

俺は悪魔のような男で・・・・。


『ばかみたい!!』


『そんなに言うんなら、一人で死んでしまえばいいのだわ!』


どこからか声が聞こえる。

子供独特の高い声。

少し気の強そうな、つんつんした声。


・・・・そうだ、これは初めて【ユフィ】にあった時に言われた言葉・・・。


そう思ったのを最後に意識は暗いところに落ちていった。






 物心ついた頃にはすでに周りには誰もいなかった。

赤子の俺が一人で生き延びることなど不可能だし、一応言葉も理解できていたので、最低限の世話役はいたのだろうが。

優しく世話をしてくれた人間の顔など一人も覚えてはいない。

もともとそんな人間などいなかったのか。

それとも俺が薄情なだけか。

・・・・まあ、多分両方、だろうな。

とにかく人の温もりなど一切感じずに育った。


住家として与えられていたのは、使われなくなって久しい小さな小屋。

今思うとなぜ王宮の一角にそんなものがあったのかと不思議に思うが。

確かにそこには王宮にふさわしくないほどボロボロの小屋があった。

すき間風が入り込む、みすぼらしい狭い小屋。

不衛生窮まりないその小屋の、汚く薄い毛布一枚が当時の俺の寝床だった。

毎日それにくるまっては眠り、昼過ぎに起き出して小屋の前に誰かが置いた固いパンと冷たいスープを食べる。

そしてまた汚い毛布に包まって眠る。

眠っているのが一番体力の消耗が少ない。

あんな劣悪な環境に育っても、生存本能だけは働いたようで。

俺は一日のほとんどを寝て過ごしていた。


小屋の外に出ることはほとんどなかった。


向けられる【視線】が嫌だったからだ。


誰も近寄ってはこなかった。

誰も構ってはくれなかった。


けれど、誰もが【俺】という存在を苛烈なまでに憎んでいた。

まだ幼かった当時の俺がそう感じ取れるほど。

それとも幼い故、感じ取れたのか。

とにかく、周りから向けられる刺すような視線と、憎しみに満ちた感情が怖くて仕方がなかった。


なぜ、自分はこんなにも憎まれているのか。


わからなかった。


誰も教えてはくれなかった。

自分はなにも悪いことはしていない。

していないはずだ。

だからなにか誤解があるのかもしれない。

それさえとければ・・・。


そんなふうに希望を持っていたときも確かにあった。


けれど、そんなものなどないのだと、思い知らされることになる。


あろう事か、王妃。

つまり母親の、その口から。


俺は自分が憎まれている理由を告げられた。







呼んでくださりありがとうございます。

感謝しています。


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