2日目
2日目
支度をして車で妻と病院に向かう。
遠く2時間かかる。
途中近道をしようと曲がると妻が何処に行くの?
何処って、えっ?何処に?何処に行くんだ?
頭が真っ白になる。
そうだ病院に向かうんだ。分かってる。でもこの道は反対の道。高速に乗らないと行けない。引き返す。ペダルが重い。運転したくない。気分が悪い。電車にすれば良かった。それなら座っていれば絶対目的地に向かうのに。自分で目的地に向かうのが辛い。
途中SAでタバコを吸い、コーヒーを飲み落ち着く。娘に早く会いたい。
集中治療室に着くと娘はぼんやり起きていた。水とゼリーを食べられたらしい。良かった。喉が渇いているのに飲ませてあげられなかったのが可哀想で仕方なかったんだ。
『いつ帰れるの?』
弱々しい声でそれだけ話す。
可哀想、悲しい。
でも話せる、考えられている。
それは嬉しい。
妻と2人涙が堪えられない。
DVDを見れるらしく車に取りに行く。
病室を出ると堪えられず廊下の隅でタオルを口に当てて号泣する。
妻も横におらず、我慢せず泣きたいだけ泣けた。
随分泣いて車からDVDを持って病室に戻るともう娘は眠っており妻はずっと娘を撫でている。集中治療室の面会は1時間と限られており娘が眠っている内に帰宅した。
帰りは普通に運転が出来た。
食欲が無いと言う妻をまた強引に食事に誘う。近くのイオンモールに行く。
お互い思ったより食べられて少し元気が出る。ようやく妻の声に少しの明るさが出てくれた。