表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

切り札を手中に



ー 現在、世界各地では『記憶持ち』と呼ばれる人々が多数存在しています。


『記憶持ち』とは、魂に刻まれた記憶。

つまり、前世の記憶を垣間見た事がある人を指します。

その内容は様々。

この地球の遥か昔の人であった方もいれば、十数年前であったり、または異世界ご出身の方もおられます。

記憶持ちの方々は、人類の約1/3と年々増加しています。


その中でも、特殊な方々は『前世持ち』と呼ばれています。

特殊と言われる理由は、前世の記憶を見た、というよりも実際に体験したと言える程、魂の本質が強いからとされています。

『異世界転生』と言われれば、納得される方もいるかと思われます。

時に『前世持ち』の方々は、魂を具現化される事があります。

単純なもので言えば、奇抜な髪や目の色、獣の耳や尻尾もその1つですね。


そして、何故か『前世持ち』が異常に多い国が、ここ日本です。

トリガーとなりやすいアニメや漫画、小説が多数存在する事が理由とされておりますが、未だ謎。

日々研究が行われています。

事実『ヲタク』と呼ばれる方々は、皆さま記憶持ちではあるのですが…


さて、話は戻りますが『前世持ち』の方々には様々な理由で、保護が必要とされています。

その見た目や能力を利用しようとする悪い人から守る為、世界各地からありとあらゆる『前世持ち』の方々が集まって作られたのが、魔都『イデア』です。


出入りには厳重な審査があります!

悪い人は入れませんのでご安心ください。


中に入ればそこは夢の世界!

現地の方々は前世持ちや、そのご家族。

最早、独立国家とも言われているこの人工島が魔都と呼ばれる理由は2つ!

人々を惑わせてしまう異世界の雰囲気。

そして、魔法です。


地球上での魔法の使用は、イデアでのみ許可されています。

その為、魔法使いや、魔術師、治癒師などが至る所で働いています。

ファンタジー世界のそれを間近で見る感動!

あなたも『前世持ち』になってしまうかも知れません。


イデアには現在、300万人程が暮らしています。

人が集えば問題事も増えてしまう訳ですが、ご安心ください。

イデアには頼れる『前世管理局』があります。

局員は至る所で働いています。

前世管理局は全世界の情報を管理しており、能力値や前世の経歴、家族構成から、趣味、嗜好までありとあらゆる情報が集められています。

あなたの秘密も、局員は知っているかもしれません…


そんな前世管理局の中でも、エリート中のエリートである対策部隊、通称『トランプ』がイデアの人々を守ってくれています!

ファイター、ウィザード、ヒーラーの3人1組のパーティがいつでもどこでも駆けつけて、問題を解決いたします。

運が良ければ、有名な2つ名持ちのパーティにも出会えるかもしれません。


イデアでのルールは日本と変わりません。

滞在期間はしっかりと守り、一生の思い出を作ってください!

それでは、良い観光を!…ー





飛行機で観光者向けのPR動画を見終えた僕は悩んだ。

何故、イデアへと招かれたのだろう?


僕はこの動画を見ても、イデアが前世持ちを隔離し、収容している施設と感じてしまう。

危険があるからわざわざ本土から離して作ったのだ。

何かあったとしても、遠くでやってくれと言わんばかりに。

人間皆平等!なんて、言えはしないけど、前世持ちには色々と思うところがある。


僕は前世持ちではない。

そして、家族は居ないはずなので、イデアに住むなんてありえない話だ。

しかし、イデアへ呼ばれるという事は拒否出来る物ではなく、本来なら具現化したら最後、その日のうちにはイデア入りを果たすらしい。


僕への通達はこうだ。


『三島 光殿


貴殿の類い稀なる魂を、イデアにてご活用いただきたい。


前世管理局 対策本部』


…説明もなく短すぎる。

しかも、トランプの元締めである対策本部からの命令。

そして、なんとお迎えにスペードのキング“円卓の騎士”を寄越した。

しかも驚く事にこのパーティは4人組。つまり、スカウトが存在している。


ネットなどで噂になっている、スカウトと言う役割。

密偵、暗殺者、盗賊まさか実在しているとは…

それを包み隠さず見せられる、僕の立場とは…


「どうしても、通達以外は話してくれないんですか?」


ため息をつきながら、このパーティのリーダーであるガウェインさんに話を聞く。


「すまない。許されている情報は全て開示して、これなのだ。」


許されている内容と言っても、一文である。

そして、僕がこの人達の素性を知っているのもネット情報…というか、ある意味常識だ。

しかし、テレビでも、新聞でも見た事のある顔が目の前に並び、一般人に紛れながらの通達…

魔法ではないのに、誰にも見つかる事なく飛行機へ乗せられている。


やはり前世持ちに隔離は必要かもしれない。

なんとも言えない不安に駆られる。

自分は一体、どんな魂を持っているのか…


イデアへの到着を前に、機内は期待感が高まっている。

僕だけが取り残されたようで息苦しさを感じる。


スカウトの人がポツリと呟くのが聞こえた。


「トランプ初のジョーカーが誕生か…」


ジョーカー…僕は…どうなるんだろう…


三島 光 ーみつしま ひかるー(15)

所属:???

魂ランク:???

中学卒業と同時にイデア入り

黒髪、黒眼、生粋の日本人男子である

身長はやや低めで顔立ちは幼さがまだ残る

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ