プロローグ
時は20XX年、日本
輪廻転生を心から信じる人はどれだけ居ただろうか。
ここ十数年の間に数々の異世界転生、転移の物語が溢れた。
中でも魔法や、魔術などの科学では理解出来ない現象に、人々は憧れていたのだろう。
新しい文学のジャンルとして確立され、ファンタジーと呼ばれる世界すら何気ない日常で受け入れられるようになった頃、不思議な現象が世界各地で起こった。
前世の記憶をもって生まれてくる子供が、現れたのだ。
当時の大人たちは子供の戯言と気にも留めないものがほとんどだったが。とある心理学者だけは別だった。
真剣に子供たちの話を聞き、調査を進めた。
そして、心理学では解明出来ない事態に遭遇した。
何人かの子供たちの前世に共通点を見つけ出したのだ。
そして、結論へ至る。
ー 前世は存在する。
だが、この結論を受け入れる事が出来ない者もいた。
前世の一部世界では、科学では理解出来ない現象、魔法や魔術の類が存在したらしいからだ。
幾重にも渡り議論を交わし、研究をしてきた科学者達にも意地やプライドがあったのだろう。
だが、この結論の発表をかわきりに、世界は混沌へと向かう事となる。