孤独なドア
6階建であり、全体が薄黄色いコンクリートの壁、その中
の102号室が私の部屋であった。
黒い金属のドアを開けると男物の靴が散乱している。
横には小さな木の棚があり、そこには女物の靴がとても綺
麗に並べられていた。散乱した靴を掻き分け、小さな段差
を上がる。
正面には少しだけ開いたドアがあり、その隙間から光が漏
れていて、私はドアをゆっくりと閉め、そのまま怠く他人の肩にもたれかかるように、私は光が漏れなくなった扉のドアノブにもたれかかり、正面を向こうと体を動かす。
若干の廊下の先には、リビングへと続くドアが閉じられて
いて、そのすぐ近くのドアは半分ほど開けられていた。
半分ほど進むと白い洗面台が見えた、決して綺麗とは言え
ない、でもドアは半分ほど開いている。
その反対そこが私の部屋であり、私にとっては当然そこだ
けにはドアは存在しないのです。
でも無いはずのドアに貼られた家族写真、皆が笑顔でした。ドアの下に寄りかかるように置かれた綺麗な花束がより美しく見せるのです。このドアの奥の私は今は笑っているのでしょうか、ドアはこの私の部屋にだけ、いつからか存在していたのかもしれません。