第1話~邂逅~
久し振りに連載作品を投稿したので、ちょっと、とっちらかって、変な前書きを書いてしまいました(笑)混乱してしまった読者の方が居られましたら、ご迷惑をお掛けしました。
ーβ128星雲宙域ー
かつて、宇宙の覇権を巡り、凄まじいまでの争いの舞台となったこの宙域も、過去の戦争から、1億年と少しの時が経過した今。
とても穏やかな静かな宇宙と成っていた。
その静かな海を、母星への帰路に着く、第17補給艦隊が航行を続けていた。
旗艦【医王殿】にある、艦長席に座り、航宙日誌に目を通そうとしていた艦長《摩利支天》の行動は、艦内にけたたましく鳴り響くアラート音と赤く染め上げる警戒ランプの明滅により遮られた。
『レーダー感!前方2光年先の宙域に、空間断裂波を確認』
オペレーターの報告を聞いた、摩利支天は即座に自分が取るべき行動に移った。
「第2種警戒体制に移行!速やかに該当宙域に《探査型自動人形を送り込め」
艦長の命令を、履行するべく全てのクルーが、自分達の仕事をこなす。日頃からの訓練の賜物により、命令から然程の時間も掛からずに、ビットドール自身が吐き出す、推進残光のエーテル帯が、伸びて行くのが、艦橋のモニターに写し出された。
『ビットドール到達、該当宙域の探査に移行します』
オペレーターからの報告を聞くとともに、日頃からの訓練が活かされている事に、満足の笑みを浮かべる、摩利支天。不意に、脇に控えている副長の《達磨大師に声を掛けられた。
『この普段は、穏やかな海に空間断裂波とは、珍しいですな、善からぬ事の前触れでは無ければ良いのですが……』
副長の言葉に、摩利支天は、さっきまで浮かべていた笑顔を消し、不吉な事を言うな。そう思った。
奇しくも、この副長の言葉がこの後に、第17補給艦隊全ての者へと降りかかる、悪夢の始まりだとは知らずに……。
『ビットドールによる、目標の探査が終了しました、しましたが…………』
普段、合っては成らないオペレーターからの曖昧な報告を聞いた、摩利支天は、若干の戸惑いを隠すかのように、強くオペレーターへと報告の続きをするように、叱責を与えた。
『目標……質量ゼロ……重力ゼロ……霊波浸透率ゼロ%です……それと……何かの間違いだと、思われるのですが……』
叱責を受けたオペレーターは、即座に報告された内容を読み上げた。
「思われるのですがか? 続きは何だね?」
『目標は、空間の向こう側から、こちらに向け侵食している模様です、後……目標は、周りの空間を喰らっているとしか言えない、事象をもたらせています』
「空間を喰らうだと? それは我々が持つ空間を支配する能力とは別の意味なのか?」
摩利支天とオペレーターとの、やり取りの間も、目標は空間の裂け目から、その姿をじょじょに現して行く。
その姿は、その物自体が淡く発光し、13対の翼を持つ、有機生命体に酷似した姿をしていた。
『ビットドール、反応ロスト! 目標からの攻撃によるものと推測されます!』
「全艦に発令、第1種警戒体制に移行、全砲門開け、目標は前方発光生命体、次いで、全艦が保有する《攻撃型自動人形》及び《防御型自動人形》順次射出! 急げよ!」
艦隊司令である、摩利支天の激により、第17補給艦隊全ての艦隊が、砲門を開き、同時に各種ドールを射出していく。
全ての攻撃準備が整い、後は摩利支天から発する、命令を待つだけとなった艦隊は、次の瞬間に、光り輝く発光を受けた。
発光が始まる刹那、第17補給艦隊司令である、摩利支天は、発光生命体が微かに笑っている事を、確かに認識したのである。
発光が治まった後には、50隻からなる補給艦も、30隻からなる補給護衛艦も全てが、始めから存在していなかったかのように、消失していた……。
そこは、それまでと同じように、穏やかで静かな海だけが、残されていた……。近くにある、まだ若い恒星が発する、雄々しい光が瞬くのを残して……。
これが、我々【仏の軍団】と【神の軍団】との初めての邂逅であり、今尚、いつ終わるとも知れない、戦いの狼煙であった……。
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