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『未来世界』

『未来世界』




僕にも変わっていくことを恐れない時代があった


むしろ毎日何かが変わっていってほしいと願っている時代があった


例えばボクが住んでいた雨漏りのするボロいアパートだったり


食器棚の一番上にすら手が届かない自分の小さな体だったり


両親や姉からよく馬鹿にされる子供っぽい自分の性格だったり――


時の経過が全てのモノを解決していくと信じていた


『「あの頃の僕は……」』






この世界に変わらないモノなんて存在しない


全てのモノはその意志に関わらず変わっていかなければ存在しえない


人間も建物も風景も思い出も……


「それは最初ボクにとって希望だった」


『でもいつしかそれは僕にとって呪いになった』



かつて住んでいた家は取り壊され巨大なビルが立った


かつて小さかった自分の体はいつの間にか成長しなくなっていた


かつて多くの時間を共に楽しく過ごした両親と姉は今何をしているのだろう?



『でも僕はそのことを悲観しているわけではないんだ』


「じゃあなんでボクという存在を僕の中で生かし続けてきたの?」


『さあ、何故だろう……僕にもはっきりした理由はわからないんだ……でもおそらくは――』





遠い昔の日


何も無いような気がしてた世界


でも全てのモノが備わっていた世界で僕はボクに言う





『大人になって涙を流せなくなった僕の代わりに、ボクに泣いてほしいから、だと思う……』






全てのモノが変化し確定した現実を受け入れることしかできなくなった僕







そんな僕の代わりに






ボクは未来世界で涙を流す







『未来世界』について


 先に進むためには痛みを伴い何かを犠牲にして変わっていかなければならない。でも気がつけばその痛みと犠牲に慣れてしまっている自分がいて、ちょっと悲しくなった……。

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