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『納豆と妹(のぞみ)』

『納豆と(のぞみ)



僕は納豆が大嫌いだ


なぜかって?


そんなの簡単だ


あの気味の悪い粘り気


そして食べ物とは思えない匂い


まさに最凶のタッグ


実際に食べたことはないけど……


食べずとも僕には分かっている


絶対にマズくて食べられるものではない


そうにきまっているんだから!





大人たちはのぞみが大嫌いだ


のぞみを一度も見たことないのに嫌いだった


なぜかって?


そんなの簡単だ


父と母が離婚した後にお腹の中に居ることがわかった子供だし


すでにその時、母一人で僕たち三人の子供を養っていたし


なにより早い段階で障害があることがわかった


生まれてきても不幸になる運命……


だから祖父は母に言った


「堕ろしなさい」と……


そして祖母も母に言った


「堕ろしなさい」って……


叔父や叔母も母に言った


「堕ろしなさい」


母は泣いた


あんなに強かった母が……


涙を流していた


でも母は言った


『私は産みます』って……


大人たちはそんな母を蔑むような目で見た


僕はなんだか悲しかった





(のぞみ)は納豆が大嫌いだ


なぜかって?


そんなの……かつての僕と同じだ


「ネバネバしてて臭いよぅ」


遠目で納豆を睨み付ける(のぞみ)


一度も食べたことがないくせに……


いつの間にか僕は笑っていた


目の前に居るのは確かに僕の妹


愛しくて愛しくてたまらない僕の妹


「よし、だったらお兄ちゃんが一口食べてみるから、のぞみも真似してみるんだよ?」


そういって僕は納豆を口に運んだ


怪訝そうに僕を見るのぞみの瞳


「お兄ちゃん……おいしーの?」


「うん、おいしいよ。のぞみも食べてごらん」















(のぞみ)はその日から納豆が大好きになった




『納豆と(のぞみ)』について


子供と大人。問題の本質についていえば、両者に大差はない。違ってくるのは、大人になるほど現実を避けるのが上手くなる。ただそれだけのこと……。

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