『消滅』
『消滅』
なぜ父親は俯いているのだろうか……
私には分からない
なぜ弟が祖母に抱き付いているのだろうか……
私には分からない
なぜ叔母が鼻を啜っているのだろうか……
私には分からない
なぜ私の家族は皆で泣いているのだろうか……
私には分からない
なぜそれが私には理解できないのだろうか……
私には分からない
※
泣く理由なんて何もないはずだ
だってそうでしょ?
母はこの世界から救出された
醜くて、汚らわしい、絶望に満たされた世界から……
そして天国にいった
悩みも、悲しみも、苦痛も何もない天国へ……
だって母は誠実な人だったし
なにより慈愛に満ちた人だったし
全ての人から好かれていた
だから天国にいくのは当然の報い
それは母にとっても、私たち家族にとっても、悲しみではなく祝福となるはずだ
母に会えないことが悲しいの?
ただ肉体が滅びただけなのに?
いままでたくさんの思い出を作り、それらを私たちは記憶しているというのに?
母と同じように私たちが善良であるならば、また再会できるというのに?
私には分からない
私には分からない
だから私は……
母の棺の前で慟哭する
これから後書きではその詩を書くにあたり、自分が何を思っていたり考えたりしていたのかを短めに記していきます。興味のある方は作品と一緒に見てください。
『消滅』について
どんなに喜ばしい報いがあっても、どんなにその死が正当なものだとしても、私たちは“死”というものに直面した時、それを受け入れることをためらう。そして、それが何故なのかを全て理解することはとても難しい……。




