17/23
樹齢千年
その大木は
梅香る
山の麓を
少し上がったところに
長い 長い
枝葉をのばし
たたずんでいた
大きな
太い幹が
人の命よりも長く
根を張り
歴史を見つめてきた
倒れかからんばかりの
風雨にさらされた日も
あることだろう
火の手がせまり
燃え盛る炎に
耐えかねたこともあるだろう
それでも大木は
無言で
人の世を
自然界の掟の中を
生き続けてきた
じっと、じっと
命をつなぐ日々は
孤独だっただろうか
いや、そんなことはない
鳥や植物たち
そして山を訪れ
山に暮らす人々が
大木に話しかけ
優しく触れることで
その孤独は癒されていたに違いない
大木でさえ
決して一人ではないのだ