退屈(紅葉視点)
紅葉から見た気持ちを書きます♪
「なんで、巫女の修行をさせてくれないんでしょうか~・・・うう・・」
オレンジの巫女服を着た紅葉は床を雑巾で拭きながらそうため息を吐く。
・・あれから一ヶ月、紅葉が来た日ににやらされた事は宴会の準備。そしてドンチャカ騒ぎの宴会の後片付け。しかしその時は別に良かった。(明日から巫女の修行が出来る!)と胸を踊らせていたのだ。
だが、紅葉の期待も虚しく次の日からやらされたのは掃除、洗濯、後片付け・・・・・。それだけだ。
料理は紅葉が出来ないと言うのと、必ず転んで皿を割るのでしなくて良いと言われた。けれど、紅葉は不満だった。
(私は巫女になりたくて弟子入りしたのにやらされるのは雑用ばかり・・・・・・。)
紅葉は面倒になって雑巾を放り出した。そのまま座り込む。
(弟子入りする神社を間違えたんでしょうか・・・・)
紅葉がこの神社に来たのはここの巫女が最も優れた巫女だと聞いたからだ。波莢神社に来れば(立派な巫女になれる)と紅葉が判断したのだ。けれど家事(料理以外)をやらされてコレでは家政婦である。
かといってこの神社を出たところで、行くあてなんて無い。
(私、ずぅっとこんな事ばかりさせられるんでしょうか・・・・)
紅葉はそんな事を思い気が重くなるのだった。
そんなある日、紅葉は憂羅に呼ばれた。
部屋には憂羅が真ん中に座り雷蛇が壁際に座っている。紅葉は正座をし、憂羅の言葉を待った。
憂羅は中々口を開かない。
「・・・・・あの何でしょう~・・・?」
紅葉はいささかドンヨリしながらも聞いた。大抵の場合、呼び出される用と言えば「洗濯物の畳み方がダメだ」とか「もっと床を丁寧に拭け」などの文句だ。だが、この日は違った。
「えっと・・・」
憂羅は何か言おうとしたが言えないのか雷蛇に助けを求める。しかし雷蛇は「お前が言え」と軽く睨み返しただけだった。憂羅は呆らめたのか小さくため息を吐き、
「あんたにも、いい加減巫女の修行をさせようかなと思ったのよ。」
とふて腐れたように言った。
「え・・・・・?」
紅葉は一瞬意味が分からなかったが意味を理解すると嬉しさが込み上げてきた。
「ホントにっ!?ホントですか?!」
「ホントに決まってんでしょ。全く・・・」
憂羅は目を三角にしている。
「んで、あんたに聞きたいんだけど紅葉は得意な武器とかある?」
紅葉はブンブンと頭を横に振った。
「魔法は?」
(ブンブン)
「わ、技は?」
(ブンブン)
紅葉は全て頭を横に振った。
憂羅はこめかみに指を当てる。
「それはそうだろうな。」
唐突に言ったのは雷蛇だった。
「もし何か武器があったらとっくに憂羅に反抗している所だ。誰も家事しかさせない師匠などいらぬからな。」
憂羅は雷蛇を睨んだ。
「紅葉に何をさせるか決めるのは私よ。勝手に口出さないで。」
雷蛇は押し黙った。それを確認にした憂羅は言った。
「今、ルナさんを呼んでるわ。その人に武器を貰って頂戴。」
「えっ・・・師匠が教えてくれるんじゃないんですか~?」
「私が教えるのは巫女の決まり事とか封印の仕方とかだけよ。」
「そうなんですか~?」
「そうよ。何か文句ある?」
憂羅は紅葉に冷たい視線を送った。
「いえっ・・・ありません~・・・」
紅葉はブルブルと震えながら言った。
「そう。ルナさんは10分位で着くって言ってたから。」
と、素っ気無く言ったのだった。
「と言う事なのでお願いしま~す・・・・」
紅葉は頭を下げる。
ルナはそれににこやかに答えた。
「こちらこそ。紅葉さんは武器が無いって事らしいですね。申し訳ないんですけど、私めが選ばさせて頂きました。」
ルナはそう言って武器を差し出す。
「こっ、これですか?」
紅葉は武器を見て面食らってしまった。
ルナの差し出した武器は小さな鎌が長いチェーンで二つ繋がれた物だ。
(鎖鎌って言うんでしょうか~何か自分を切りそうで怖いです~・・・)
不安げな紅葉の表情に気付いたルナは笑顔で言った。
「大丈夫ですよ。紅葉さんに合った物を選んだんです。これを使いこなせるようになれば妖魔だって万々倒せちゃいます。」
「はあ・・・・」
紅葉は鎖鎌を受け取る。重みが感じられて緊張する。
「最初は慣れないかもしれませんが、ゆっくりやって行きましょう。慣れてしまえばどうって事ありません。私だって最初は鎌で自分の首を切らないかと心配でしたから。」
それを聞いて紅葉はなおさら不安を掻き立てられる。
「・・・・怪我しませんか~?」
紅葉の問いにルナは少し考え込む。
「・・・・そうですね。1,2回は切る事を覚悟して下さい。それから怪我するのが怖いからってへっぴり腰でやるのは止めて下さい。そんな事では上達なんてしません。時間の無駄です。宜しいですね?」
「はい~・・・分かりました~・・・・・」
紅葉の返事にルナは笑顔で頷いた。
「頑張りましょうね?やる気がないと八つ裂きにしますから。」