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命約  作者: 翡翠蝶
18/19

妖魔は人の心なり

「何か変じゃない?」

憂羅は険しい顔で言った。

「変って何が?」

魔奈里はポカンとした。

「・・・・・・・・・・この頃、妖魔が増えてきた事か。」

雷蛇が言う。

“そう言えばそうだわ。なんでかしら?”

零は首を捻った。

「たまたまじゃないですか?」

紅葉はそれが何だと言いたげだ。

「たまたまなワケないでしょ。そんなテキトーな理由で妖魔に出てこられたら、たまったもんじゃないわ。きっと、誰か主犯がいるはずよ。探しに行くわよ!」

憂羅は立ち上がった。




「・・・・・・・だからと言って吾輩の所に来るな。来られたって吾輩が困る。」

岩源は腕組みをして言った。

「まぁ、そう言わずどんな事でも良いから気になる事があったら言って!」

「と言われてもな・・・・・・」

岩源はジッと考えこんでいたがふと言った。

「関係ないかもしれぬが、馬鹿蛙の所の妖怪の中に妙な動きをする奴がいたと思うぞ。」

「妙な動き?」

「ああ。馬鹿蛙が文句を言っていたな。アイツはそのうち俺を裏切るだの何だの・・・・・」

「ありがと!」

「サンキューな!」

憂羅と魔奈里は飛び出して行った。

「待って下さ~い!」

“二人とも早いって!”

紅葉と零も後を追う。

岩源は苦笑する。

「お前も大変だな。雷蛇。」

「はあ・・・・・・。」

雷蛇も苦笑して出て行った。


(馬鹿蛙とは鏡水の事です。分かると思いますが。)


鏡水の屋敷は明るい感じの屋敷で岩源の屋敷とは真逆だった。

憂羅達はルナに付いて鏡水の元に向かう。

ルナは大きな襖の前で止まった。

「鏡水様。巫女達がお見えでございます。」

「いいぜ。入れ。」

中から返事が返され、ルナは襖を開けた。

「何か用か~?」

相変わらずやる気のない顔で鏡水は座っていた。

「単刀直入に言うわよ。あんたの所に妙な動きをする妖怪がいるらしいわね。誰なの?」

憂羅の問いに鏡水は答えた。

「カラカサの事か?確かにアイツは怪しいけど。」

「そいつよ!そいつが妖魔を増やしてるのよ!」

憂羅は大声を上げてしまう。

“カラカサってカラカサお化けの事なの?”

「そうです。カラカサさんは以前から変な動きが多くて、怪しいと思っていたんです。ですが、妖魔と繋がっていたとは・・・・・・。考えもしませんでした。」

「カラカサの妖怪は今どこなんだ?」

魔奈里が尋ねた。

「さあね。アイツとはあんまりウマがあわなくてな。アイツの事は何にも知らねーんだ。」

鏡水は退屈そうに言った。

「もしかしたら西の洞窟かもしれません。鏡水様、行った方が宜しいのでは?」

ルナが淡々とした口調で問う。

「う~んそうだなぁ~。面倒だが行ってみるか。」

鏡水はノロノロと立った。




「ここのハズですが・・・・・」

ルナはポッカリ空いた洞窟の前で足を止める。

「ここ?」

憂羅達も洞窟を見る。

“・・・・・・・・・いるわね。物凄く邪悪な気配がする。”

零は強張った表情で呟く。

「ええ。さっさと片付けましょ。」

憂羅は大幣を構え、声を張り上げる。

「妖魔達!あんたらがいる事は分かってんの!出てらっしゃい!」

すると、洞窟の奥から邪悪な妖気が押し寄せてくる。

『なぜだ・・・・・・なぜ我々の居場所が分かった・・・・・』

妖魔の一匹が悔しげに言う。

「そんな事は話す理由が無いのよね。とっとと消えちゃいなさい!」

それを合図に皆、一斉に攻撃を始める。



(面倒なので、戦いのシーンは省きます。なのでご想像にお任せします。)



「ふぅ~・・・・・やっとおわっったわ。」

憂羅は腰の手をあてる。

「はい。裏切り者も捕まえましたし。」

そう笑顔で話すルナの手には傘の妖怪がぶらさがっている。

きっと、今からタップリルナに拷問される事だろう。

「でも、こんな事したって妖魔は消えねーんだけどな。」

鏡水はポツリと言った。

「仕方ないでしょう。妖魔は人や妖怪の心の闇から生まれるもの。妖魔を消すには、人や妖怪も消えなきゃいけないんですから。」

紅葉はあくびをする。

「それに、いざとなれば巫女がいるしな!」

魔奈里は呑気に笑った。

「そうね。妖魔がいなくならない限り、巫女もいなくならない。」

憂羅は空を見上げた。

「・・・・・・・・・それって良い事なのかしら・・・・・?」


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