暇潰しバトル!!まさかの決勝戦?!(後編)
「シュルル・・・・・・・」
大蛇はルナを刺すように睨んでいる。
反対にルナは満面の笑みを浮かべている。
「それが本来のお姿ですか?雷蛇さん?」
ルナは皮肉たっぷりな言い方をした。
それがカチンときたらしい。
大蛇は目にも留まらぬ速さでルナに向かって大きな口を開けて飛び掛かった。
ルナは手を大蛇に突き出す。すると、ルナの周りに渦巻いていた死の精霊達が大蛇に向かう。
大蛇と死の精霊達が激しくぶつかり合った。
「あ~、もう!早く止めなきゃいけないのに!ちょっと、何か方法はないの?!」
憂羅がヒステリックな声で言う。
「う~ん・・・・方法なぁ・・・・・」
鏡水達も必死に考える。
“アレじゃ、時間通りに止めてくれそうもないしね・・・・・・・”
零はフゥとため息を吐く。
その時、
「あ!」
紅葉が声を上げた。
「何!?」
皆、紅葉を見る。
「いや・・・・その・・・・前、鏡水さんのお屋敷にお邪魔した時に見たんですけど・・・・・
あの『鈴』使えませんか?」
「『鈴』?」
憂羅、魔奈里、零は首を傾げる。しかし、岩源と鏡水は分かったようで、
「ああ!『静福の鈴』の事か!」
と納得したように言った。
「何、ソレ?」
憂羅は聞いた。
「『静福の鈴』ってのは綺麗な水晶でつくられた鈴で、その鈴の音を聞けばどんな怒り狂った者でも、幸せになって冷静になるんだ。」
「おい、鏡水。今すぐその鈴を取りに帰るぞ。」
「言われなくたってもそのつもりさ!」
それだけ言うと鏡水と岩源は飛び立っていった。
「ヒュン!ヒュン!」
ルナの放つ『死の炎』と呼ばれる赤黒い炎を大蛇はきように首を動かしてかわす。
そして、ルナに電撃を吐く。
だが、その電撃さえも死の精霊が阻む。
「キャハハハハハッッ!!!!そんなんじゃ私には勝てませんよ!」
ルナは鋭い笑い声で大蛇を馬鹿にする。そして、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・何だかツマラナイですね。」
と呟いた。
「シュルルルル・・・・・・・」
大蛇は赤い舌をチロチロと出す。
ルナはニィ・・・・・と笑った。
「アナタの血をチョウダイ!アナタのその体、真っ赤に染めて上げる!キャッハハハハハハハハ!!!!」
ルナの狂った笑い声と共に死の精霊達が刃となり、大蛇を襲う。
「!」
大蛇は咄嗟で避ける事が出来ず、刃をもろに喰らった。
「ブシャァァ!」
大蛇の体から血が噴き出す。
大蛇の体を切りつけた刃はルナの周りに来るとまた邪悪な姿に戻った。
「シュルルルッ・・・・・!シャァァァァァ!!」
大蛇は怒りに狂い、クワッと口を開けた。
その時、
「・・・・・・・・・チリン・・・・・・チリリ・・・ン」
と澄んだ音が響いた。その音は小さいのによく聞こえた。
その音を聞いた途端、大蛇は口を大きく開けたままユックリと倒れた。倒れた体はみるみる元の雷蛇に戻って行く。
ルナもハッと我に返る。死の魔法陣も精霊も消えていく。
「・・・・間に合ったみたいだな!」
「危なかったな。間に合って良かった。」
岩源もホッとしたように言った。
「・・・・・本当に申し訳ありませんでした。」
ルナは手当てを受けている雷蛇に何回目になるか、ふかぶかと頭を下げる。
「もう良い。私も平静を失ってしまったしな。お互い様だ。」
雷蛇は微笑む。
「オメーはルナに怪我させてないけどな。まぁ、大事にならなくて良かったぜ!」
鏡水はうんうんと満足げに頷く。
「にしても、あれぐらいでおかしくなるなんてね。君もまだまだだねぇ。」
炎孤は鼻で笑った。
ルナはたちまち笑顔になる。
ズバーン!ゴン!バリッ!
「結局、引き分けで終わりましたね。」
紅葉は苦笑する。
「まあ、暇潰しバトルだからな。」
“それに、またバトルするしね。”
「「「ええ!?」」」
憂羅、魔奈里、紅葉が同時に声を上げる。
“そうよ。命約の物語が終わったら今度は手加減なしの大勝負をしようと思ってるのよ!”
「う、嘘でしょ・・・・・。」
憂羅達は唖然とする。
“まぁ、そういう事でお楽しみに!”
炎孤「ちょっと!僕は無視なのかい!?誰か助けて!ギャァァァァ!!!!!」
(ルナさんがバズーカをぶっ放そうとしている。)
作者の言葉 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・(笑)^^」