春の出会い
みょんみょんさんとは友達です!
よろしく♪
ザアーーーー
神社の桜が風で揺れ、爛漫と咲いている桜の花を容赦なく散らす。
「この風じゃ、せっかくの桜も観れないわね・・・・」
この波莢神社の巫女、波莢憂羅は残念そうにため息を漏らした。
ここは、『霊幻卿』人や妖怪、魔女の住まう世界。そして闇の生き物妖魔が蠢く場所。
巫女である憂羅は主に妖魔退治と異変解決を仕事としている。
しかし今は神社に散った桜の花そうじに追われている。
「!」
憂羅の第六感が邪悪な妖気を感じ取った。
(この妖気・・・・まちがいない・・妖魔だわ・・ここから南の20キロ先・・)
憂羅は大幣を手に取ると迷うことなく飛びたった。
南へどんどん飛んで行く。
「あれは・・・!」
憂羅の視界に驚きのものが移った。
滅多に人の寄り付かぬ森の一角が真黒な影のようなもので染まっている。
憂羅は、じっと目を凝らした。その時、影の中心部からバリバリと雷撃が放たれた。
(・・・誰か妖怪がいる!!妖魔に捕まったんだわ!手遅れになる前に助けないと!!)
妖魔は妖力を吸って大きくなる。妖怪は妖力がなくなると消えてしまう。
つまり早く助けねば中心部にいる妖怪は死んでしまうということだ。
憂羅は妖魔に向かって飛び出していった。
(ものすごい闇の力ね・・・)
「霊波結界!」
結界を張り妖魔の中心部へと確実に進んで行く。
(見つけた!)
妖魔の中心部でボロボロになりながらも必死に闘う妖怪がいた。
(・・・あれでよく闘えるわね・・普通の妖怪ならとっくにやられてるはずだわ)
しかし彼は闘っていた。痛みや苦しみを堪えて・・・立っているのだ。
(って、見てる場合じゃないわね!)
憂羅は、お札を何枚か取り出しヒュッと投げた。
お札は妖魔に命中し、妖魔の力が弱まった。
「!!」
妖怪が驚いたように上を見上げ、憂羅がいることに気づいたようだった。
憂羅は自分は仲間だというように頷いた。
妖怪は戸惑ったような表情をしている。
(なんとかして彼をこの妖魔の中からださないと・・・!封印ができない・・!)
憂羅の使う封印は妖魔だけでなくその中にいる妖怪も封印してしまう。
憂羅は妖怪に向かって妖魔の中心部から出るようジェスチャーした。
最初は、ワケがわからないような顔をしていたが何回もジェスチャーを繰り返すと意味を理解してくれたようで、憂羅とは逆の方向の外へ向かって飛びさっていく。
(よし!あとは・・・)
憂羅はキッとばかりに妖魔の中心部を睨んだ。
『ええい・・・・あともう少しで、あの妖怪を闇に引きずりこめたのに・・・
波莢の巫女め・・・許さん・・ゆるさんぞぉぉぉぉ・・・・・』
ぞっとするような声が悔しげに呟いた。
「悪いけど、妖魔退治が私の仕事。あんたの思惑通りにはさせらんないのよね~」
『生意気なっ・・・・・こうなれば貴様を引きずりこんでやるぅぅ・・・』
「全く・・だから妖魔って嫌いなのよね。できもしないことを言うんだから。
調子に乗るとあんまり楽しいことにはならないわよ?・・・私は楽しいけど」
憂羅の瞳が危険な色を帯びた。
妖魔は一気に闇をぶつけてくる。だが前もって張っていた結界にはね返されてしまう。
憂羅は、その隙に妖魔の中から脱出し、お札を何十枚も投げる。お札は憂羅に向かって来る闇の触手に当たる。妖魔が苦しみの声を上げた。
(今だわ!)
「ブッ潰してあげる☆『波莢流 凛奏封印!!』やぁぁぁっ!!!」
憂羅は、持っている大幣を妖魔に向かって振り下ろす!
すると、憂羅の周りからたくさんの輝くお札が現れ妖魔に向かって行く!!
『ギャァァァァァァァーーーーーー!!!!!!』
妖魔は絶叫を上げながら消えていった。闇色に染まっていた森もゆっくりと元のおだやかな森に戻っていく。
「ふう・・・」
憂羅はほっとため息を漏らす。
「やれやれだわ。ホンット妖魔って油断してると、どこにでも現れるんだから。
あっ、そういえば・・・・・」
憂羅はあわてて妖怪の所へ飛んで行く。
妖怪は、少し離れた場所から憂羅と妖魔の闘いを見守っていた。
「あんた、大丈夫?よく闇に引きずりこまれなかったわね。普通ならひきずーー」
その瞬間、グラリ、と妖怪の体が傾いた。
「わっ!」
憂羅は妖怪の体を支える。
「しっかりしなさいって!!」
憂羅が声をかけるがどうやら気を失ったらしく返事はない。
(しかたないか・・・。とにかく神社で手当てしないと。)
憂羅は妖怪の肩を支えるようにして、神社の方向に飛んでいくのだった。
これから、のんびりやっていきます^^