第52話 『The third root』
「蛇ぃ?なんのこっちゃ……寝言…じゃねぇよな?」
勇護がマガジンを戦闘が始まる前のモノに戻しながらあからさまに眉根を寄せる。
「ん〜……あ、合い言葉だ!ほら、合流隊に変なのが混ざらないように!!」
かなたは気が付いた、と言うように勇護を指差し誇らし気に言う。
「そういえば増援来たんだったね、母さん今日は冴えてるねぇ、どうしちゃったの」
「んふふふ〜」
アルの取り方によってはイヤミに聞こえなくもない言葉に軽やかに微笑んで胸をはる。元々若く見えるが誇らし気にしている姿は幼ささえ感じる。
「で?どういう意味?」
一応の期待を込めてアルが尋ねる。
「……ん?…ふ…ふふ………専門外…」
「…うんまぁ…そんなコトだろうと思ってたよ……とにかく!合い言葉解読の専門家なんて居ないんだから早く皆で答え見付けなきゃ」
皆普段と変わらない口調で会話するが表情が微妙にかたい。眠っている少年達が目を覚ます前に合い言葉の答えを見つけ出さなければいきなり撃って来るような相手に情報を平和的に聞き出すコトが出来ないからだ。
「……なぁかなた、今回の敵の名前は?」
「ん?大元は『ユグドラシル』、で、今回の敵は分隊みたいな感じの『The third root』、つまり『第三の根』って意味ね、よくわかんない名前よねぇ?」
「『ユグドラシル』………『第三の根』……?またそんなよく分かんない名前つけて…合い言葉のヒントになんないのかな…」
アルがうつ向いて蒼い右目の上につけられた眼帯を人差し指でコツコツと叩く。考える時の癖らしい。
「あの、勇護さん、かなたさん、アルさん。もしかしたらですけど」
ハルが3人に向かってそこまで言った時
「おい!おまえたち何者だ!!弟になにした!?」
眠っていた少年が完全に目を覚ました。