第50話 被弾、撃退。
「ッ!!?」
その場にいた全員が身近な物を遮蔽物代わりにして身を隠し、ハルはスナイパーライフルをハル以外の全員が拳銃を手にする。
アルと勇護はマガジンをグリップから落としそれぞれ薄いピンクと鉛色のマガジンを装填した。アルは眼帯を外している。
モモは左手をバックパックに手を入れ円形の機械を取り出す。
「和秋!!」
勇護が叫ぶ。
「分かってる!!5時の方向!おそらく1〜3人!負傷無し、9mm弾のただのハンドガン。確認頼む!」
その声に対して和明は敵の方向、人数、武器のおおまかな情報を伝える。
「モモちゃん!!」
かなたがモモに声をかける
「2人!!」
モモは手に持ったアクティブソナーで正確な人数を伝える。
「かなた!!チャフ」
「もう投げた!」
地上15m程の位置でくぐもった比較的小さな爆発音が短く響くとキラキラと光る薄い金属片が辺りに舞った。
森から乾いた発砲音が響く。
迷彩服を着た人間が2人飛び出してきた。飛び出した後の慌てた動作にも身長にも幼さが感じられた。
「梓!撃て!!」
「あいよッ!!!」
2発分の発砲音が響き幼い(?)2人はその場に力無く倒れた。ハルが沈痛な表情でうつ向く。
「っあ〜……緊張したぁ…私こういうの苦手なんだよね」
葵が拳銃を腰のホルスターに戻しながら森の木の影からスッと出て来た。倒れた2人に近づく。
「ハル君、縄取って。木箱の端に架ってるから。あと弾入ってる袋も、麻袋、おんなじトコにあるから。」
「わかりました。けど縄なんて何に使うんですか?」
「この子ら縛んの、ちなみに趣味じゃないよ」
葵は倒れた2人の襟首を無造作に掴むと引きずりながら染赤に向かい歩く。やはり2人共幼い。
「え…?その子達をですか!?」
ハルは驚いた。死体を縛るコトになんの意味があるか理解出来ない。
「そそ、ギュッと縛ってグイッて。ハル君勘違いしてるかもだけど…生きてるよ?」
「…え?」